193 / 210
涼くんのパパ 1
しおりを挟む
「おかえりなさい、青くん」
「た、ただいま・・・です」
21時ちょっと前。帰宅した俺は、涼太の母親に笑顔で出迎えられた。
「青くん、すっかり大人っぽくなっちゃって~。おばちゃんなんだかときめいちゃう~!きゃっ」
おばちゃん、には見えない若々しくて綺麗な小林母。
「はは。ご無沙汰してます。すみません、一度ご挨拶にとは思ってたんですが・・・」
ええ~・・・昼間の電話の事だよな、コレ。まさかと思うけど、涼太の父親も・・・?
リビングのドアを開けると、バツが悪そうな顔で腕と足を組んでソファに座る涼太・・・の横に同じポーズで座るスーツ姿の中年男性。
おいおいおい、やっぱり来ちゃってるよ父も!実家に顔出せっつー話じゃなかったか?
突撃お宅訪問には、さすがにビビるぞ、俺も。
「君が、青くんか」
小林父が立ち上がり、俺に歩み寄ってくる。
「あ、はい。すみません、本来ならこちらから伺わなければいけないのに・・・。山田 青と申します。涼太くんとは、真剣にお付き合いさせて頂いてます」
頭を下げる俺を、目を見開いて凝視する小林父。初対面でこのガン見・・・。これは・・・値踏みされてるな・・・。
お父上、細身で身長もそんなに高くはないけど、堂々とした貫禄があって、何より視線がこえーよ、マジで~。
小林父、よく見ると目元が涼太と似てるな。涼太みたいな中性的な感じは無いけど、端正な顔立ちだ。
小林母も昔から綺麗で年齢不詳な美魔女だし、さすがは涼太の両親だな。
「パパぁ?なんにも言わないの?」
小林母の呼びかけに、ハッと我に返るようにして小林父は話し出す。
「青くん、君はなぜ男の涼太と?顔か?顔なのか?ん?父の私から見ても、美しい人形のようだと思う時があるからな。・・・それともなんだ、まさか涼太の、かっかっ、体が目当てなのか?ああ?」
食い気味に顔を近付けて来た小林父に捲くし立てられる俺。
「・・・イヤ、決してそんな・・・」
顔にも体にも溺れてます、なんて言える訳ねーだろ!
つーかなんかヤバそうだぞ、この人。
涼太の方を横目で見る。目が合って、涼太は首を覆うニットを口元が隠れるくらいまで引き上げ、ふいっと目を逸らす。
何も言うなって事か?
「君のその容姿で女性に不自由しているようには到底見えないんだが・・・・・・・・・君は、研修医とはいえ医者だそうだな?じゃあ何か?うちの病院が狙いか?そのために涼太を利用しているのか?」
・・・は?
そりゃあ、涼太の祖父や父に医者として認められたい気持ちがあるのは確かだ。
涼太の曾祖父が築いて、現在は祖父が理事長、父が院長の総合病院。在籍する医師達は皆腕が良く、スタッフ達の対応も丁寧だと専らの評判。そのブランド力に魅力が無いわけじゃない。だけど・・・
悪い、涼太。何も言わないなんてできない。
「もし、お義父さんが考えている通りだとしたら、涼太ではなく美織さんを口説いてます」
「なっ、お義父さんと呼ぶな!」
「病院が目当てなら、医療にも従事していない男の涼太を好きになんてなってない。涼太を愛してるんです。ただそれだけです」
どう伝えていいか分からない。
でも、家が目当てだなんて、絶対に思って欲しくない。
「・・・今は好きにやらせているが、美織が開業医に嫁ぐ以上、いずれは理事として涼太に病院を継がせるつもりだ。涼太にはそれなりの相手をあてがう。もちろん男などではない」
「ちょっと待てよ親父!ふざけんな!」
今まで黙って聞いていた涼太が、突然立ち上がって小林父に詰め寄る。
涼太の勢いに圧されて、一歩後退る小林父。
「ふ、ふざけてなんかいない!もうお前しか跡取りはいないんだぞ!恨むなら、家を出る美織を恨め!」
「美織はカンケーねぇだろ!オレの相手を親父が決めるのがおかしいって言ってんだよ!クソハゲが!」
「禿げてなんかいない!このフサフサがお前には見えていないのか!」
「心がハゲてんだよ!親父は心の髪が枯れて腐ってハゲてるっつってんだよ!」
・・・なんの言い合いになってるんだよ・・・。
「涼くん!本当にわからないのか?お前は昔からそうだっただろう?」
小林父も涼くんて呼んでんのか・・・。
「ああ!?何がだよ!?」
「パパは心配なんだ!幼い時、家政夫の男に誘拐されたじゃないか!」
ええ!?マジで!?・・・つーか、パパって。
「美織が警察に知らせて、結局未遂だったじゃねーか」
「小学校の時に近所の大学生に何年もストーキングされてただろう、気持ちの悪い男だった・・・」
ええ!?また男!?
「それだって、美織がボッコボコにして・・・」
「まだあるぞ。空手の指導者にセクハラだってされたじゃないか!」
・・・もちろん男だよな、この流れ。
涼太が空手を辞めたのは、それが原因だったのか。
「涼くんは男からそういう対象として見られているんだ!この男だって奴らと変わらない。お前をいやらしい目でしか見てない・・・」
「うるっせぇ!!わかってんだよ、そんな事言われなくたって!!」
「涼くん、落ち着いて」
小林母が、宥めるように涼太の背中を撫でる。
「わかってるよ、青にもそう思われてるって。けど、それでもいいよ。オレなんかの体で、青が満足して一緒にいてくれるなら、それでいい」
涼太は握った拳を口元に持っていき俯いた。表情はよく見えなかったが、少しだけ震えている声が、いつもは強気な涼太を弱々しく感じさせた。
すぐにでも抱き締めたい。
そんな状況じゃないのはわかっている。今の俺の言動や行動は、きっと小林父の神経を逆撫でするだけだ。
何も言えず、動けない自分がもどかしい。
「た、ただいま・・・です」
21時ちょっと前。帰宅した俺は、涼太の母親に笑顔で出迎えられた。
「青くん、すっかり大人っぽくなっちゃって~。おばちゃんなんだかときめいちゃう~!きゃっ」
おばちゃん、には見えない若々しくて綺麗な小林母。
「はは。ご無沙汰してます。すみません、一度ご挨拶にとは思ってたんですが・・・」
ええ~・・・昼間の電話の事だよな、コレ。まさかと思うけど、涼太の父親も・・・?
リビングのドアを開けると、バツが悪そうな顔で腕と足を組んでソファに座る涼太・・・の横に同じポーズで座るスーツ姿の中年男性。
おいおいおい、やっぱり来ちゃってるよ父も!実家に顔出せっつー話じゃなかったか?
突撃お宅訪問には、さすがにビビるぞ、俺も。
「君が、青くんか」
小林父が立ち上がり、俺に歩み寄ってくる。
「あ、はい。すみません、本来ならこちらから伺わなければいけないのに・・・。山田 青と申します。涼太くんとは、真剣にお付き合いさせて頂いてます」
頭を下げる俺を、目を見開いて凝視する小林父。初対面でこのガン見・・・。これは・・・値踏みされてるな・・・。
お父上、細身で身長もそんなに高くはないけど、堂々とした貫禄があって、何より視線がこえーよ、マジで~。
小林父、よく見ると目元が涼太と似てるな。涼太みたいな中性的な感じは無いけど、端正な顔立ちだ。
小林母も昔から綺麗で年齢不詳な美魔女だし、さすがは涼太の両親だな。
「パパぁ?なんにも言わないの?」
小林母の呼びかけに、ハッと我に返るようにして小林父は話し出す。
「青くん、君はなぜ男の涼太と?顔か?顔なのか?ん?父の私から見ても、美しい人形のようだと思う時があるからな。・・・それともなんだ、まさか涼太の、かっかっ、体が目当てなのか?ああ?」
食い気味に顔を近付けて来た小林父に捲くし立てられる俺。
「・・・イヤ、決してそんな・・・」
顔にも体にも溺れてます、なんて言える訳ねーだろ!
つーかなんかヤバそうだぞ、この人。
涼太の方を横目で見る。目が合って、涼太は首を覆うニットを口元が隠れるくらいまで引き上げ、ふいっと目を逸らす。
何も言うなって事か?
「君のその容姿で女性に不自由しているようには到底見えないんだが・・・・・・・・・君は、研修医とはいえ医者だそうだな?じゃあ何か?うちの病院が狙いか?そのために涼太を利用しているのか?」
・・・は?
そりゃあ、涼太の祖父や父に医者として認められたい気持ちがあるのは確かだ。
涼太の曾祖父が築いて、現在は祖父が理事長、父が院長の総合病院。在籍する医師達は皆腕が良く、スタッフ達の対応も丁寧だと専らの評判。そのブランド力に魅力が無いわけじゃない。だけど・・・
悪い、涼太。何も言わないなんてできない。
「もし、お義父さんが考えている通りだとしたら、涼太ではなく美織さんを口説いてます」
「なっ、お義父さんと呼ぶな!」
「病院が目当てなら、医療にも従事していない男の涼太を好きになんてなってない。涼太を愛してるんです。ただそれだけです」
どう伝えていいか分からない。
でも、家が目当てだなんて、絶対に思って欲しくない。
「・・・今は好きにやらせているが、美織が開業医に嫁ぐ以上、いずれは理事として涼太に病院を継がせるつもりだ。涼太にはそれなりの相手をあてがう。もちろん男などではない」
「ちょっと待てよ親父!ふざけんな!」
今まで黙って聞いていた涼太が、突然立ち上がって小林父に詰め寄る。
涼太の勢いに圧されて、一歩後退る小林父。
「ふ、ふざけてなんかいない!もうお前しか跡取りはいないんだぞ!恨むなら、家を出る美織を恨め!」
「美織はカンケーねぇだろ!オレの相手を親父が決めるのがおかしいって言ってんだよ!クソハゲが!」
「禿げてなんかいない!このフサフサがお前には見えていないのか!」
「心がハゲてんだよ!親父は心の髪が枯れて腐ってハゲてるっつってんだよ!」
・・・なんの言い合いになってるんだよ・・・。
「涼くん!本当にわからないのか?お前は昔からそうだっただろう?」
小林父も涼くんて呼んでんのか・・・。
「ああ!?何がだよ!?」
「パパは心配なんだ!幼い時、家政夫の男に誘拐されたじゃないか!」
ええ!?マジで!?・・・つーか、パパって。
「美織が警察に知らせて、結局未遂だったじゃねーか」
「小学校の時に近所の大学生に何年もストーキングされてただろう、気持ちの悪い男だった・・・」
ええ!?また男!?
「それだって、美織がボッコボコにして・・・」
「まだあるぞ。空手の指導者にセクハラだってされたじゃないか!」
・・・もちろん男だよな、この流れ。
涼太が空手を辞めたのは、それが原因だったのか。
「涼くんは男からそういう対象として見られているんだ!この男だって奴らと変わらない。お前をいやらしい目でしか見てない・・・」
「うるっせぇ!!わかってんだよ、そんな事言われなくたって!!」
「涼くん、落ち着いて」
小林母が、宥めるように涼太の背中を撫でる。
「わかってるよ、青にもそう思われてるって。けど、それでもいいよ。オレなんかの体で、青が満足して一緒にいてくれるなら、それでいい」
涼太は握った拳を口元に持っていき俯いた。表情はよく見えなかったが、少しだけ震えている声が、いつもは強気な涼太を弱々しく感じさせた。
すぐにでも抱き締めたい。
そんな状況じゃないのはわかっている。今の俺の言動や行動は、きっと小林父の神経を逆撫でするだけだ。
何も言えず、動けない自分がもどかしい。
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる