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高2になった俺は、夏休みを利用して柊さんの会社でバイトをさせてもらう事になった。
柊さんと昼も夜も一緒だと思うと、めちゃくちゃ嬉しかったはずなのに・・・
代表取締役の柊さんは、自ら仕事を取ってきたり現場に同行したり、挨拶回りに行ったり・・・結局ほとんどオフィスにいないし。
俺は雑用しかできないし。
はっきり言って、つまらない。
「夏くん、今、社長と一緒にFORESTのタレントさんとマネージャーさんが来るって。レセプションルーム片して、あとコーラ買ってきてもらっていい?」
庶務の女性社員に言われて、レセプションルームのテーブルを拭いた後、近くのコンビニまでおつかい。
・・・ったくよ~!コーラ買って来いってなんだよ!めんどくせぇな、ぜってーあのオバサンの飲むやつだろ、コレ!
イライラを噛み殺しながらレジで数百円のために領収書を出してもらう。
数百円の領収書でも、嫌な顔ひとつせずに出してくれる店員さん。
見習わなきゃな・・・。
俺は仕事 何もできないんだから、オバサンのおつかいくらい快く出来なくてどーする!
コンビニ店員さんのお陰で気合を入れ直した俺は、オフィスに戻って、庶務のオバサン・・・もとい、おねえサマに1.5リットルのコーラを差し出す。
「何?こんな大きいの買ってきたの?もー!・・・まあいいわ。グラスに入れて出しましょ!コーヒーふたつとコーラ、持ってってね!」
え?おねえサマが飲むんじゃなかったのか。
つーか、コーラ出す客って。タレントってもしかして子どもなのかな。
コーヒーふたつとコーラをトレイにのせ、レセプションルームのドアをノックして入る。
「失礼します」
部屋の中に入って、冷や汗が出た。
万里さん・・・。
「やあ、夏くん久しぶり。湊の所でバイトしてるんだってな」
「・・・はい。お久しぶりです」
爽やかな笑顔を万里さんに向けられて、俺は顔が引き攣ってしまう。
最後に会ったのが、柊さんの過去を聞いたあの日。
万里さんは・・・あのくそエロ柊さんを知ってる・・・というか、開発者・・・。
「マネが知ってる子?」
ソファに座る万里さんの奥から、ハスキーがかった低い声。
あ!この人、HIPHOPアイドルグループの元メンバーじゃん!確か・・・シウとかいう超美形ハーフ芸能人。
「ああ。湊の息子だよ」
紹介された俺は軽く会釈して、コーヒーを柊さんと万里さんの前に、コーラをシウの前に置く。
つーか、コーラ飲むの こいつかよ。
「・・・へぇ~。息子にしては大きい。湊さんて実は相当おじさん?」
湊さんに対するシウの言葉は、なんだかトゲがあるように思える。
「ははは。夏とは血が繋がってないから。でも、シウくんと夏からしたらおっさんだよ」
シウの言葉も軽く受け流す大人モードの柊さん、カッコイイな!
最近、家で甘えてる姿しか見てなかったから、こういうの久しぶりで、グッときちゃうな~。
「夏くんも座ったら?」
万里さんに言われて、また嫌な汗が出てくる。
親であり恋人でもある柊さんと、その元セフレ兼開発者と、偉そうなハーフ芸能人と、俺、・・・ってビミョーな空気にしかなんねぇだろ!
「いや・・・遠慮しておきます。仕事の話でしょうし・・・」
「バイト、お茶汲みだけでいいのか?少しくらい湊のサポートしたいと思わない?」
う・・・。それを言われると・・・。
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・勉強させてください」
なんとか笑顔を作って、柊さんの横に腰を下ろす。
「今回、シウくんのソロデビュー1周年って事で、何か特別な事が出来ないか・・・って万里に相談受けててさ・・・簡単に言えば、新しいプロモーションの案が欲しいって所なんだよね」
プロモーション・・・宣伝って事でいいのか?
「ウチが広告を作るのはもちろんなんだけど、ただ紙をバラ撒くのも面白くない。かと言ってメーカーとコラボさせるのも在り来りだしなぁ。夏、何かいい案無い?」
ええ!?社長がド素人の俺に意見求めるんですか?
「夏って、いくつ?」
突然、シウになんの脈絡も無い話を振られる俺。
「今年17ですけど・・・」
「ふーん。3コ下かぁ。老けてんね、同じくらいかと思った」
ほっとけ!
これが一般人の歳相応ってやつだ!芸能人の物差しで見るんじゃねぇ!
つーか、さすが世界イケメンナンバーワンのシウ様は透明感もさることながら、年齢不詳性別不明な美しさで神々しい程だな。
・・・口と態度は恐ろしく悪いけどな!
「シウさんこそ、テレビで観るのと印象が違いすぎませんか?」
人懐っこくてカワイイ、って世の女性達は思ってるだろーに・・・
「そうなんだよ。ほんとに手が掛かる商品でね。困ってるんだ」
万里さんが溜息混じりにシウの頭に、ポン、と手をのせる。
「商品扱いすんな。クソマネージャー」
頭にのせられた万里さんの手を払い除けるシウ。
・・・あれ、なんかシウの顔が赤いような・・・
もしかして・・・この二人・・・
柊さんと昼も夜も一緒だと思うと、めちゃくちゃ嬉しかったはずなのに・・・
代表取締役の柊さんは、自ら仕事を取ってきたり現場に同行したり、挨拶回りに行ったり・・・結局ほとんどオフィスにいないし。
俺は雑用しかできないし。
はっきり言って、つまらない。
「夏くん、今、社長と一緒にFORESTのタレントさんとマネージャーさんが来るって。レセプションルーム片して、あとコーラ買ってきてもらっていい?」
庶務の女性社員に言われて、レセプションルームのテーブルを拭いた後、近くのコンビニまでおつかい。
・・・ったくよ~!コーラ買って来いってなんだよ!めんどくせぇな、ぜってーあのオバサンの飲むやつだろ、コレ!
イライラを噛み殺しながらレジで数百円のために領収書を出してもらう。
数百円の領収書でも、嫌な顔ひとつせずに出してくれる店員さん。
見習わなきゃな・・・。
俺は仕事 何もできないんだから、オバサンのおつかいくらい快く出来なくてどーする!
コンビニ店員さんのお陰で気合を入れ直した俺は、オフィスに戻って、庶務のオバサン・・・もとい、おねえサマに1.5リットルのコーラを差し出す。
「何?こんな大きいの買ってきたの?もー!・・・まあいいわ。グラスに入れて出しましょ!コーヒーふたつとコーラ、持ってってね!」
え?おねえサマが飲むんじゃなかったのか。
つーか、コーラ出す客って。タレントってもしかして子どもなのかな。
コーヒーふたつとコーラをトレイにのせ、レセプションルームのドアをノックして入る。
「失礼します」
部屋の中に入って、冷や汗が出た。
万里さん・・・。
「やあ、夏くん久しぶり。湊の所でバイトしてるんだってな」
「・・・はい。お久しぶりです」
爽やかな笑顔を万里さんに向けられて、俺は顔が引き攣ってしまう。
最後に会ったのが、柊さんの過去を聞いたあの日。
万里さんは・・・あのくそエロ柊さんを知ってる・・・というか、開発者・・・。
「マネが知ってる子?」
ソファに座る万里さんの奥から、ハスキーがかった低い声。
あ!この人、HIPHOPアイドルグループの元メンバーじゃん!確か・・・シウとかいう超美形ハーフ芸能人。
「ああ。湊の息子だよ」
紹介された俺は軽く会釈して、コーヒーを柊さんと万里さんの前に、コーラをシウの前に置く。
つーか、コーラ飲むの こいつかよ。
「・・・へぇ~。息子にしては大きい。湊さんて実は相当おじさん?」
湊さんに対するシウの言葉は、なんだかトゲがあるように思える。
「ははは。夏とは血が繋がってないから。でも、シウくんと夏からしたらおっさんだよ」
シウの言葉も軽く受け流す大人モードの柊さん、カッコイイな!
最近、家で甘えてる姿しか見てなかったから、こういうの久しぶりで、グッときちゃうな~。
「夏くんも座ったら?」
万里さんに言われて、また嫌な汗が出てくる。
親であり恋人でもある柊さんと、その元セフレ兼開発者と、偉そうなハーフ芸能人と、俺、・・・ってビミョーな空気にしかなんねぇだろ!
「いや・・・遠慮しておきます。仕事の話でしょうし・・・」
「バイト、お茶汲みだけでいいのか?少しくらい湊のサポートしたいと思わない?」
う・・・。それを言われると・・・。
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・勉強させてください」
なんとか笑顔を作って、柊さんの横に腰を下ろす。
「今回、シウくんのソロデビュー1周年って事で、何か特別な事が出来ないか・・・って万里に相談受けててさ・・・簡単に言えば、新しいプロモーションの案が欲しいって所なんだよね」
プロモーション・・・宣伝って事でいいのか?
「ウチが広告を作るのはもちろんなんだけど、ただ紙をバラ撒くのも面白くない。かと言ってメーカーとコラボさせるのも在り来りだしなぁ。夏、何かいい案無い?」
ええ!?社長がド素人の俺に意見求めるんですか?
「夏って、いくつ?」
突然、シウになんの脈絡も無い話を振られる俺。
「今年17ですけど・・・」
「ふーん。3コ下かぁ。老けてんね、同じくらいかと思った」
ほっとけ!
これが一般人の歳相応ってやつだ!芸能人の物差しで見るんじゃねぇ!
つーか、さすが世界イケメンナンバーワンのシウ様は透明感もさることながら、年齢不詳性別不明な美しさで神々しい程だな。
・・・口と態度は恐ろしく悪いけどな!
「シウさんこそ、テレビで観るのと印象が違いすぎませんか?」
人懐っこくてカワイイ、って世の女性達は思ってるだろーに・・・
「そうなんだよ。ほんとに手が掛かる商品でね。困ってるんだ」
万里さんが溜息混じりにシウの頭に、ポン、と手をのせる。
「商品扱いすんな。クソマネージャー」
頭にのせられた万里さんの手を払い除けるシウ。
・・・あれ、なんかシウの顔が赤いような・・・
もしかして・・・この二人・・・
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