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王子が「婚約破棄は卒業まで待って欲しい」なんてとんでもない事を言い出してから1週間。
表面上は以前と何ら変わらない婚約者を演じている。
女避けとして婚約者のままでいろと言われた時はそれはもう腹が立ったものだが後々冷静に考えると卒業までの自由は無いが卒業と同時に婚約破棄される事は確実になったのだ…!ものは考えようだ…兎に角これで婚約破棄は確実になったのだから卒業するまで王子の嫌いな物を食べさせまくろう、それこそ私の気が済むまで!それで王子の偏食がちょっとでも治れば将来王子と結婚する方の為にもなる!
ここまで婚約破棄婚約破棄としつこく言って来た私。今直ぐにでも婚約破棄して欲しいと言った気持ちは嘘では無いが王族との婚約がそう簡単に無かった事に出来ることでは無いと分かっている、その上で王子の嫌いな物をしつこく食べさせる事は王子が私との婚約を破棄するにあたって1つの理由になるのかもしれない…そんな魂胆もあり今まで以上に嫌いな物を食べさせようと思っているのだ。(恨みとかではないですよ……多分)
「よし!そうなれば…私のやる事は1つ!今まで以上に王子の嫌いな物で美味しいお弁当を作る!明日のお弁当何にしようかな~」
そう言って私は腕にピーマンを抱えて厨房へ向かった。
やっぱり初心を忘れたら駄目だと思う、いや原点回帰?
「本日のメニューはピーマンづくしですわ!」
相変わらずの照準搭載の無表情に弾む声でそう言った私に何がそんなに嬉しいんだと言わんばかりの王子。
「そんな顔をなさっていては王子の本性がバレてしまいますよ?」
私のその言葉に王子は
「大丈夫ですよ、こんな顔ロゼの前でしかしませんからね」
と嫌味のように似非王子スマイルを炸裂させる王子。
…ほんとに性格が悪いわ。
「で?今日も私の嫌いなピーマンですか」
うわぁ…すっごい笑ってる…言葉と顔がこんなに合わない人なかなかいないわよ。
しかしここで怯んでは居られない!
「ええ、なにせうちのピーマンは全て王子の為に栽培しているものですから。責任を持って王子に全て食べて頂きませんと」
「「…………………………………」」
無表情の私と嫌味な程の笑顔の王子…睨み合う事数分。
どちらからとも無くため息をつき椅子に腰掛ける。
いただきます。私は心の中でそう呟いてお弁当を食べ始める。
「…お前は…」
「はい?」
王子の方を見ずに一心不乱に食事を続ける私に王子がボソリと何かを呟いた。
「なんですか?」
「……………お前は本当に笑わないな」
はっ?笑わない?…………ああ、私か。
「それが何か?」
「仮にも婚約者同士が食事をしているのに笑顔のひとつも見せないとは…」
「………嫌いな私がどんな顔をしていた所で王子には気に入らないと思いますが…」
「それでも…仲良く見せようと思うのならば…笑顔のひとつも見せろ」
「………ご命令ですか?」
「!いや、命令とかでは…!」
王子が慌てたように何か言っていたがそんな事王子のあまりの言い草に頭に血が上っていた私には聞こえない。そして私は満面の笑みを王子に向けた。
「つまらない女のつまらない笑顔を見てこれでご満足ですか?」
そう言って私は椅子から立ち上がりその場を後にした。
「人の表情にまでケチをつけてくるなんて……しかも笑顔のひとつも見せろ?なんでもかんでも自分の思い通りになると思ったら大間違いよ………あのクソ王子が!」
表面上は以前と何ら変わらない婚約者を演じている。
女避けとして婚約者のままでいろと言われた時はそれはもう腹が立ったものだが後々冷静に考えると卒業までの自由は無いが卒業と同時に婚約破棄される事は確実になったのだ…!ものは考えようだ…兎に角これで婚約破棄は確実になったのだから卒業するまで王子の嫌いな物を食べさせまくろう、それこそ私の気が済むまで!それで王子の偏食がちょっとでも治れば将来王子と結婚する方の為にもなる!
ここまで婚約破棄婚約破棄としつこく言って来た私。今直ぐにでも婚約破棄して欲しいと言った気持ちは嘘では無いが王族との婚約がそう簡単に無かった事に出来ることでは無いと分かっている、その上で王子の嫌いな物をしつこく食べさせる事は王子が私との婚約を破棄するにあたって1つの理由になるのかもしれない…そんな魂胆もあり今まで以上に嫌いな物を食べさせようと思っているのだ。(恨みとかではないですよ……多分)
「よし!そうなれば…私のやる事は1つ!今まで以上に王子の嫌いな物で美味しいお弁当を作る!明日のお弁当何にしようかな~」
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やっぱり初心を忘れたら駄目だと思う、いや原点回帰?
「本日のメニューはピーマンづくしですわ!」
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「大丈夫ですよ、こんな顔ロゼの前でしかしませんからね」
と嫌味のように似非王子スマイルを炸裂させる王子。
…ほんとに性格が悪いわ。
「で?今日も私の嫌いなピーマンですか」
うわぁ…すっごい笑ってる…言葉と顔がこんなに合わない人なかなかいないわよ。
しかしここで怯んでは居られない!
「ええ、なにせうちのピーマンは全て王子の為に栽培しているものですから。責任を持って王子に全て食べて頂きませんと」
「「…………………………………」」
無表情の私と嫌味な程の笑顔の王子…睨み合う事数分。
どちらからとも無くため息をつき椅子に腰掛ける。
いただきます。私は心の中でそう呟いてお弁当を食べ始める。
「…お前は…」
「はい?」
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「………嫌いな私がどんな顔をしていた所で王子には気に入らないと思いますが…」
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「………ご命令ですか?」
「!いや、命令とかでは…!」
王子が慌てたように何か言っていたがそんな事王子のあまりの言い草に頭に血が上っていた私には聞こえない。そして私は満面の笑みを王子に向けた。
「つまらない女のつまらない笑顔を見てこれでご満足ですか?」
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