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混沌のお茶会
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玄関前に馬車が止まる。
恐る恐る屋敷の扉が開く。
「お帰りなさいませ、パーグレー様」
私は優雅に本来の屋敷の主人を招き入れる。
「・・・どういう事かね?」
そう言って私が送った招待状を見せてくる。
「招待状の通り・・・お茶会ですわ。それに・・・どういう事か聞きたいのはわたくしの方ですのよ・・・ねぇ?そうは思いませんか?・・・パーグレー様・・・」
「・・・・・・」
あら、黙ってしまわれたわ。
ここは何も知らないという顔をする所ですわよ。
チラリ、パーグレーの後ろに隠れるように立っているビッチェに視線をやる。
・・・挨拶もしないなんて・・・。まぁ、無理もないかしらね、だってお顔が真っ青ですもの。
「・・・ビッチェさん」
声を掛けた途端ビクッと面白い程に肩を揺らす。
あらあら、そんなに怖がらなくてもいいのに・・・私じゃなくてパーグレーの方かしら?怖いのは。
「来て頂けたようで嬉しいですわ」
「・・・・・・」
まだ私を睨み付ける元気はあるみたいね。
「ビッチェ嬢、しっかり挨拶をしなければいけないよ」
流石にパーグレーは年の功と言うやつか、平然とそう言った。
びっくした顔でパーグレーを見るビッチェ。まさか挨拶しなさいと言われるなんて思わなかったと言う顔ね。
・・・挨拶は当たり前のことでしょ?
「・・・お、お招き頂き光栄です」
ビッチェはそれだけ言うので精一杯のようだ。・・・しょうがないわね。
「先にお着きの方がお待ちですのでご案内いたしますわ」
「・・・ミレニア嬢はこの屋敷を良く知っているようだが・・・」
とじこめられていたのでは無いのか?と聞きたいのね。
「このお屋敷はパーグレー様のものですものね。わたくしが案内するのもおかしいですわね、ですが諸事情で少し早くこちらへ来させて頂きましたので屋敷の中を少々見させて頂きましたの。勝手に申し訳ありません」
「・・・いや、構わない」
そりゃ、そうでしょ。貴方達が私をこの屋敷に置き去りにしたのだから。
「ところで、他の招待客とは?」
「行けば分かりますわ」
「こちらです」
そう言ってサンルームへと案内する。
「やぁ、パーグレー殿本日はお招きありがとうございます」
お父様が立ち上がって挨拶をする。
「・・・ご招待とは?」
パーグレーが訝しげな顔でこちらを見る。
「いやですわ、パーグレー様。今日のお茶会はパーグレー様がわたくし達をご招待下さったのでしょう?ビッチェさんに案内を頼んで・・・」
パーグレーが驚いた顔でこちらを見ている。私はニコリと微笑む。
「そうだったな。私とした事が勘違いしていたようだ・・・ようこそ。よくお越しいただいた」
パーグレーとお父様が握手を交わす。
「何で?ここへ私達を招待したのはミレニアでしょう?」
ビッチェが急に騒ぎ出す。
「やめなさい」
パーグレーがビッチェを止める。
「だって!おじい様!」
「黙りなさい。・・・分からないのかい?」
パーグレーとお父様の冷たい視線を感じビッチェは黙り込む。
「ビッチェ嬢は気分が優れないようだ・・・別の部屋で休ませなさい」
「畏まりました」
パーグレーの従者らしき男がビッチェを連れて行く。
「・・・申し訳ないね、あの少女はミレニア嬢が穏便に済ませようとしている事が分からなかったらしい」
「構いませんわ、パーグレー様がこちらの意図を正確に汲み取って下さって・・・話が早くて助かりますわ。今日わたくしがこの屋敷に来たのはパーグレー様にお茶会に誘われたからですわ・・・ね?お父様」
「ああ、その通りだ・・・そうですね?パーグレー殿」
「・・・ああ、その通りだ」
こうして表向き和やかな混沌としたお茶会は幕を閉じた。
恐る恐る屋敷の扉が開く。
「お帰りなさいませ、パーグレー様」
私は優雅に本来の屋敷の主人を招き入れる。
「・・・どういう事かね?」
そう言って私が送った招待状を見せてくる。
「招待状の通り・・・お茶会ですわ。それに・・・どういう事か聞きたいのはわたくしの方ですのよ・・・ねぇ?そうは思いませんか?・・・パーグレー様・・・」
「・・・・・・」
あら、黙ってしまわれたわ。
ここは何も知らないという顔をする所ですわよ。
チラリ、パーグレーの後ろに隠れるように立っているビッチェに視線をやる。
・・・挨拶もしないなんて・・・。まぁ、無理もないかしらね、だってお顔が真っ青ですもの。
「・・・ビッチェさん」
声を掛けた途端ビクッと面白い程に肩を揺らす。
あらあら、そんなに怖がらなくてもいいのに・・・私じゃなくてパーグレーの方かしら?怖いのは。
「来て頂けたようで嬉しいですわ」
「・・・・・・」
まだ私を睨み付ける元気はあるみたいね。
「ビッチェ嬢、しっかり挨拶をしなければいけないよ」
流石にパーグレーは年の功と言うやつか、平然とそう言った。
びっくした顔でパーグレーを見るビッチェ。まさか挨拶しなさいと言われるなんて思わなかったと言う顔ね。
・・・挨拶は当たり前のことでしょ?
「・・・お、お招き頂き光栄です」
ビッチェはそれだけ言うので精一杯のようだ。・・・しょうがないわね。
「先にお着きの方がお待ちですのでご案内いたしますわ」
「・・・ミレニア嬢はこの屋敷を良く知っているようだが・・・」
とじこめられていたのでは無いのか?と聞きたいのね。
「このお屋敷はパーグレー様のものですものね。わたくしが案内するのもおかしいですわね、ですが諸事情で少し早くこちらへ来させて頂きましたので屋敷の中を少々見させて頂きましたの。勝手に申し訳ありません」
「・・・いや、構わない」
そりゃ、そうでしょ。貴方達が私をこの屋敷に置き去りにしたのだから。
「ところで、他の招待客とは?」
「行けば分かりますわ」
「こちらです」
そう言ってサンルームへと案内する。
「やぁ、パーグレー殿本日はお招きありがとうございます」
お父様が立ち上がって挨拶をする。
「・・・ご招待とは?」
パーグレーが訝しげな顔でこちらを見る。
「いやですわ、パーグレー様。今日のお茶会はパーグレー様がわたくし達をご招待下さったのでしょう?ビッチェさんに案内を頼んで・・・」
パーグレーが驚いた顔でこちらを見ている。私はニコリと微笑む。
「そうだったな。私とした事が勘違いしていたようだ・・・ようこそ。よくお越しいただいた」
パーグレーとお父様が握手を交わす。
「何で?ここへ私達を招待したのはミレニアでしょう?」
ビッチェが急に騒ぎ出す。
「やめなさい」
パーグレーがビッチェを止める。
「だって!おじい様!」
「黙りなさい。・・・分からないのかい?」
パーグレーとお父様の冷たい視線を感じビッチェは黙り込む。
「ビッチェ嬢は気分が優れないようだ・・・別の部屋で休ませなさい」
「畏まりました」
パーグレーの従者らしき男がビッチェを連れて行く。
「・・・申し訳ないね、あの少女はミレニア嬢が穏便に済ませようとしている事が分からなかったらしい」
「構いませんわ、パーグレー様がこちらの意図を正確に汲み取って下さって・・・話が早くて助かりますわ。今日わたくしがこの屋敷に来たのはパーグレー様にお茶会に誘われたからですわ・・・ね?お父様」
「ああ、その通りだ・・・そうですね?パーグレー殿」
「・・・ああ、その通りだ」
こうして表向き和やかな混沌としたお茶会は幕を閉じた。
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