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集う者達

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芳醇な香りの湯気を立てている紅茶のカップに口を付ける。
「はぁ、美味しい」
ここは私が閉じ込められた屋敷のダイニング。
「お嬢・・・くつろぎすぎ」
私の前には紅茶とお菓子。
「このお菓子美味しいわ。貴方も食べなさい」
そう言って護衛にも渡す。
「まあ、美味いっす」
「でしょう?」
バターの豊かな香りが鼻から抜ける。
「それにしても囚われてる人のくつろぎ方じゃないですね」
「ふふ、だって囚われているんだからここに居るしかしょうが無いのだからせめて楽しく過ごさないと・・・ね?」
「ですね・・・」
そう言った護衛の顔が引き攣っていたのは見なかった事にしよう。
・・・それにしてもこの屋敷・・・。微妙・・・いや絶妙?に趣味が悪いわ。
もともとの屋敷自体は落ち着いた趣の建物なのに家具が全くこの屋敷には合っていない。
豪華な家具を寄せ集めたような・・・そこはかとなく漂う成金感。
「ここの家具、趣味わりーっすね」
「・・・そんなにハッキリ言ってはダメよ」









馬車に揺られながら我が家が代々受け継いでいる森の中の屋敷に向かう。
向かいの席にはギャーギャーと騒がしい小娘。少し容姿が良かったので目を掛けてやっていたが、やはりミレニアと比べるとかなり劣る。ミレニアは歳の割に落ち着いていて品性も知性もある。それに比べてこの娘は・・・下品で知性もない。
ミレニアを手に入れる為にこの娘に手を貸したが・・・そろそろ潮時だろう。
しかし何故こんな事になっているのか。
そう思い視線を下げたその先、私の手の中には屋敷に閉じ込めているはずのミレニアからのお茶会の招待状が握られている。
改めてその招待状を読む。

パーグレー様

本日貴方の所有する森の中の屋敷にてお茶会を開催致します。
何かとお忙しいとは思いますが、是非ご出席頂きますようお願い致します。

ミレニア

追伸
貴方の可愛らしいお友達のビッチェさんも是非連れていらして下さい。

どういう事だ。こんなものを我が家に届けに来るとは・・・。まさか,あの屋敷から1人で逃げたと言うのか?しかも私とこの娘の繋がりも知られている・・・。
行かずシラを切る事も考えたが・・・ミレニアの家の者までこの事を知っていればそれも無駄だ。
もし、知っているのがミレニアだけならば・・・どうにでもしようがある。
とにかく急いで向かわなければ。


 パーグレーお爺様、ずっと機嫌が悪そう。いつも優しいお爺様なのに。さっきも「うるさい!黙れ」
なんて言われた。きっとそれもミレニアのせいだわ。
だってこの馬車私がミレニアを閉じ込めた屋敷に向かっているんだもの。計画ではミレニアがあの屋敷にいるんじゃないかと噂が出てから行く予定だった。でも今その屋敷に向かっている。ということはこの計画に何か不都合が生じたという事。
何で私の邪魔ばかりするの?ねえ、ミレニア。




「なに?パーグレーもあの屋敷に向かっているだと?」
「はい」
「何故だ?それではミレニアを助ける事ができないぞ」
「・・・どうやら何者かに呼び出されたようです」
「まさか・・・ミレニアか?」
「・・・そうだと思われます」
頭痛がする。一体ミレニアは何を考えているのだ。
「お前はどう思う?」
「・・・私ではお嬢様が何をお考えかは分かりかねます」
・・・・・・そうだろうな。父親である私でさえも分からないからな。




「そろそろお客様達がおみえになられる頃ね」
私は立ち上がり他人の屋敷の玄関ホールへと向かう。
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