3 / 18
③
しおりを挟む
アレクシスの誕生日の夜。
あの男はいつもより遅い時間に家に帰って来ていつものようにアレクシスの部屋を覗き自分の部屋へと戻って行った。
…どれだけ仕事で時間が遅くなっても子供の顔を一目見てから自分の部屋へと戻る…そんな姿を見たらもしかして私達家族は愛されているのかも…なんて気持ちも湧き上がらない訳でもないけれど……そんな期待は今までの経験上とても危ない事のように思う。
どれだけ裏切られたら貴女は期待する事を諦めるの?そう心の中で自問自答する日々をもう何年繰り返したか。
私がこの屋敷に嫁いで来たのは七年前。私が十九歳、夫が二十二歳の時。
勿論恋愛結婚なんて事も無くどちらの家も変な派閥等も無く丁度良い歳の娘と息子がいたから余程二人の相性が合わないとかで無ければ結婚させても良いのでは無いか、と言う親同士が決めた政略的な結婚だった。
伯爵家の次男であった夫は既にお義兄様が伯爵家の後継として先代様の補佐をされていた事もあり伯爵家を出て城の文官として働いておられた。一方私も伯爵家の娘ではあったけれど既に結婚しているお兄様とすぐ下に弟がいることもあり伯爵家を継ぐ心配も無く丁度よく外に嫁がせる事が出来る娘として夫の元へ嫁がされた。
だからと言ってこの結婚が無理矢理に成されたと言う訳でも無くこちらの意向も十分に加味されたうえの結婚となった。
一応婚約期間もあるにはあったのだが既に城に出仕し働いていた夫は忙しいからあまり構う事が出来ないと事前に言っていた事もあり、ほぼほぼ婚約者らしい事はされなかった。
それでも今よりマシだと思えるのは短い婚約期間の中で忙しくて会えないと言っても月に二、三度程は手紙とプレゼントを送ってくれていたから…………でも今この状況を考えるとそれも義務的にやっていたか、もしくは自分では無く他人にさせていたかのどっちかだろう。
圧倒的後者のような気もするがそれを今考えたところでどうにかなると言うものでも無い。
兎に角、その時の私は「ああこの人は忙しくても好いた婚約者で無くてもしっかりと他人に気が使える人なんだ」と思った事、それが結婚の決めてだったように思う。
周りの友達からは色々言われた。
婚約者なのだから忙しくても時間を作らない男は駄目だとか月に二、三度のプレゼント位で結婚を決めるなんてとか、しかしながら特別に突出した家柄という訳でもなく突出して美しい容姿という訳でも無く突出した何かの才能がある訳でも無い私を貰って下さる方だと納得していたのでなんと言われようが構わなかった。
あの頃はこんな結婚生活になるとは思っていなかったから。
あの男はいつもより遅い時間に家に帰って来ていつものようにアレクシスの部屋を覗き自分の部屋へと戻って行った。
…どれだけ仕事で時間が遅くなっても子供の顔を一目見てから自分の部屋へと戻る…そんな姿を見たらもしかして私達家族は愛されているのかも…なんて気持ちも湧き上がらない訳でもないけれど……そんな期待は今までの経験上とても危ない事のように思う。
どれだけ裏切られたら貴女は期待する事を諦めるの?そう心の中で自問自答する日々をもう何年繰り返したか。
私がこの屋敷に嫁いで来たのは七年前。私が十九歳、夫が二十二歳の時。
勿論恋愛結婚なんて事も無くどちらの家も変な派閥等も無く丁度良い歳の娘と息子がいたから余程二人の相性が合わないとかで無ければ結婚させても良いのでは無いか、と言う親同士が決めた政略的な結婚だった。
伯爵家の次男であった夫は既にお義兄様が伯爵家の後継として先代様の補佐をされていた事もあり伯爵家を出て城の文官として働いておられた。一方私も伯爵家の娘ではあったけれど既に結婚しているお兄様とすぐ下に弟がいることもあり伯爵家を継ぐ心配も無く丁度よく外に嫁がせる事が出来る娘として夫の元へ嫁がされた。
だからと言ってこの結婚が無理矢理に成されたと言う訳でも無くこちらの意向も十分に加味されたうえの結婚となった。
一応婚約期間もあるにはあったのだが既に城に出仕し働いていた夫は忙しいからあまり構う事が出来ないと事前に言っていた事もあり、ほぼほぼ婚約者らしい事はされなかった。
それでも今よりマシだと思えるのは短い婚約期間の中で忙しくて会えないと言っても月に二、三度程は手紙とプレゼントを送ってくれていたから…………でも今この状況を考えるとそれも義務的にやっていたか、もしくは自分では無く他人にさせていたかのどっちかだろう。
圧倒的後者のような気もするがそれを今考えたところでどうにかなると言うものでも無い。
兎に角、その時の私は「ああこの人は忙しくても好いた婚約者で無くてもしっかりと他人に気が使える人なんだ」と思った事、それが結婚の決めてだったように思う。
周りの友達からは色々言われた。
婚約者なのだから忙しくても時間を作らない男は駄目だとか月に二、三度のプレゼント位で結婚を決めるなんてとか、しかしながら特別に突出した家柄という訳でもなく突出して美しい容姿という訳でも無く突出した何かの才能がある訳でも無い私を貰って下さる方だと納得していたのでなんと言われようが構わなかった。
あの頃はこんな結婚生活になるとは思っていなかったから。
670
あなたにおすすめの小説
わたくしは、すでに離婚を告げました。撤回は致しません
絹乃
恋愛
ユリアーナは夫である伯爵のブレフトから、完全に無視されていた。ブレフトの愛人であるメイドからの嫌がらせも、むしろメイドの肩を持つ始末だ。生来のセンスの良さから、ユリアーナには調度品や服の見立ての依頼がひっきりなしに来る。その収入すらも、ブレフトは奪おうとする。ユリアーナの上品さ、審美眼、それらが何よりも価値あるものだと愚かなブレフトは気づかない。伯爵家という檻に閉じ込められたユリアーナを救ったのは、幼なじみのレオンだった。ユリアーナに離婚を告げられたブレフトは、ようやく妻が素晴らしい女性であったと気づく。けれど、もう遅かった。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる