貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご

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二人が領地に行ってからとうとう一ヶ月が過ぎた。
初めはゆっくり行ってくれば良いかな位に思っていたが………。少し長すぎではないか?
家での唯一の癒しが無く職場でも溜め息が多くなった。
それでなくでも近頃益々増えてきたあのお騒がせ夫婦二人の呼び出しに肉体的にも精神的にもそろそろ限界を迎えそうだった。
「はぁ…」
溜め息が止まらない。
「おいおい大丈夫か?いつも冴えない顔色だが最近は特に酷いな!」
私の酷い顔色の元凶の一人である王太子がそう言いながら肩を叩く。
「そうねぇ。大丈夫?貴方は私達にとって大切な人なんだから身体を大切にして長く仕えてくれないと困るわ」
そういうのは私の溜め息の原因の一人である王太子妃。
「何か悩みがあるなら聞かせて下さい力になれるかも知れません。貴方がいないと私達の仕事が滞るので」
と言うのはいつも私に王太子夫婦を押し付けてくる側近。
私はここにいる自分の事しか考えてない人達に相談してもどうにもならないと思ってはいたものの今までの不満も溜まりに溜まっていたので中々家に帰れない嫌味をいいがてら相談してみる事にしようと口を開く。
「いや、妻と息子が領地に行ったっきりもうかれこれ一ヶ月帰って来ないんですよ」
そう私が言った途端、王太子夫婦の執務室の中は恐いくらいの静寂に包まれ、私を見る王太子夫婦と側近の顔は今までに一度も見た事が無いような驚愕の表情をしていた。
「「「えっ?妻?息子?」」」
三人の声が執務室に木霊した。
「はい、私が結婚したのは殿下もご存知の筈ですが…」
「………ああ、それは、知っていたが」
「ねぇ、私達はもうてっきりあなた達夫婦は離縁したものとばかり思っていたわ」
「は?」
思わず低い声が出た。いつもならば不敬だという気持ちが先立つがそんな事も考えられないくらいに王太子妃が放ったその一言は私にとって衝撃的だった。
「……ごめんなさいね!決してあなた達の離縁を望んでそう言った訳では無いのよ、只ね結婚してからも休みもまともに取らないし一日の大半を城で過ごしているからてっきり初めから夫婦生活が上手く行っていないと思っていたのよ」
「………………」
まさかそんな事を思われているとは思いもせず今更ながらに知った事実に頭を棒で殴られたような衝撃を受けた。
「そうだ、だから奥方に捨てられたであろうお前が寂しく無いように忙しくしていたのだが……いやまぁ全てがお前の為と言う訳では無いが……」
そりゃそうだろう。というか人の為とか言っているがあの数々の問題行動がわざと起こした事の筈がない!
とそんな気持ちを込めて側近の方を見たら気まずそうに目を逸らされた。
どうやらこいつも私と妻が離縁したと思っていたらしい。………全員まとめて殴りたい。
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