私の婚約者差し上げます!どうぞ大事にして下さいね

きんのたまご

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「トマスってどんな女の子がタイプ?」
急にそんな事を聞く私に怪訝な顔を向けるトマス。
「何?急に」
「いやーほら私達って生まれながらの婚約者じゃない?」
「うん」
「トマスにも選ぶ権利があってもいいと思うわけですよ」
「うん、それで?」
「あーっと、それでその…あっそう!アレだ!今はこーんなに地味な私もトマスの好きなタイプを聞けばそこを目標に出来たりするじゃない?」
何故私がこんなにも必死にトマスの好みのタイプを聞いているのかと言うといつもトマスと午後のお茶をしている場所にあの彼女が隠れているのを見つけたから。
ガッツのある彼女ならきっと私達のこの会話を聞いてトマスの好みピッタリになる努力をすると思うんだよね。だからこれは彼女に対するサポート。頑張って!
「んー?別に無いけど」
「ん?いやいや!この子可愛いなぁとかあるでしょ?」
「可愛いなぁ………」
随分考えますねぇ。
「ネコ」
「ん?」
「だからネコ」
「ネ…コ」
ん?ネコって何だったかな? ネコネコネコネコネコネコネコ…。
「!ああ!猫!」
「うん猫」
「そうかぁトマス昔から猫好きだもんねぇ」
「可愛い」
「うんうん、猫可愛いねぇってそうじゃない!人間!人間で可愛いと思うのは?」
「人間…」
「そう!人間!いるでしょ?今まで可愛いなあって思った子の1人や2人や5人や10人くらい!」
「……多くない?」
「いいから!」
「うーん人間…」
いや、そんな悩む事じゃなくない?
あっ!もしかしてアレか!自分の顔が綺麗で他の人を見てもそんな事を思った事無いってやつか?くそーなんだよイケメンかよ!いや、イケメンだよ!
なんか言ってて虚しくなってきた。
「あっもういないならいいけど…」
「ナディア」
「はい?」
トマスがこちらを指さしていた。
「ナディア」
「だから何?」
「可愛いと思ったの、ナディアだけ」
「!?」
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?んんんんんんんー?
どうしたどうした?
「動物みたいで可愛い」
「!?」
ああ!そっちか!愛玩動物としてか!
まあねぇちっさい頃からずっとずっと一緒だからね、私がちょこちょこトマスの後ろを着いて歩いてたのが小動物みたいに見えたのかも。
…まあ、聞きたかったのはそう言う事では無かったんだけど…しょうがないか。
その日はもうそれ以上は無理だと思って諦めた。


次の日例の彼女が妙に身体をくねらせしならせ歩いて来た。
「おはようございますぅ」
……彼女はきっと頑張ったんだろう。
多分アレ猫っぽく歩いてるつもりなんだろうなと思う。髪型も何だか猫の耳っぽい。凄い。


でもごめんよ。今回も私は貴女の役にはたてなかったみたいです。
「…なんか変な歩き方の子に挨拶された」
なんてトマスが言っていた事は可哀想で言えません。
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