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「あくまで可能性です・・・」
私はずっと考えていた〝悪役令嬢〟の話をお兄様にする。
お兄様は難しい顔で考え始めた。
「そんな事・・・あるんだろうか。いや、しかしそう仮定すれば色々な事に説明がつく・・・のか?いや、でも・・・」
お兄様はひとしきり悩んだ後取り敢えず結論を急ぐのはやめようと言ってどこかに行ってしまった。
ちょっとお行儀が悪いとは思ったがベッドの上で仰向けになる。
・・・本当に最近色々ありすぎる・・・。
「疲れる・・・なぁ」
そこにノックの音が鳴り響く。私はびっくりして飛び起きる。
「はい!」
「失礼しますお嬢様」
「どうしたの?」
「お客様でございます」
「?誰?」
「グレン様です」
「グレン様?」
そういえば最近グレン様の姿を見ていない・・・。
「分かりました、応接室でお待ち頂いて」
「畏まりました」
私は少し乱れた裾を直し急いで応接室へと向かった。
「お待たせ致しました」
私が急いで部屋に入るとグレン様は立ち上がりこちらに軽く会釈をする。
「急な訪問申し訳ない」
「いいえ構いません。どうぞお掛けになって下さい」
私はグレン様に座るよう勧め侍女にお茶の準備を頼む。

会うと言ったは言いけれど・・・殿下の事よね。グレン様はどこまで知っていらっしゃるのかしら・・・。
「本日はどのようなご要件で?」
私は動揺を悟られないよう努めて冷静に話す。
「・・・・・・・・・」
グレン様何も仰らない。
部屋中に気まずい沈黙が落ちる。
「・・・随分ご無沙汰していたように思います・・・健やかにお過ごしでしたか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・グレン様・・・」
ずっと黙ったまま。
お兄様を・・・連れて来た方がいいのかしら。
「少々失礼し致します」
沈黙に耐えかねてお兄様を呼びに行こうと立ち上がる。
「待ってくれ」
立ち上がった私の腕をグレン様が掴む。
「・・・・・・どうされたのですか?」
そう聞いてもやはり何も話さない・・・。
「・・・お兄様を呼んで参りますわ、その方がグレン様もお話しやすいでしょうし」
「っ!待ってくれ!」
そう言ったグレン様を見ると・・・一瞬殿下の顔に見えた。
「グレン様?」
「・・・エミリア・・・すまない」
グレン様がそう言うと今までグレン様だったその人はルシード殿下の顔になった。



「全て説明してもらえるんだろうね?」
あの後驚きすぎて自分1人ではどうしようも無くなった私はすぐさまお兄様を呼びに行き今は3人で応接室で向かい合っている。
「ああ全て話す」
そう言って殿下は今までの事、グレン様の事を話し始めた。
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