契約結婚を申し込んできた夫にちっちゃく復讐しようと思う

きんのたまご

文字の大きさ
5 / 48

5

しおりを挟む
彼女さんに手紙を出してから2日後、夫はとても不機嫌な様子で帰って来た。どうやら手紙はしっかり届いたらしい。
「私の生活に口出ししない契約だったはずだ!」
あら、久しぶりに帰って来ていきなり妻を怒鳴るなんて・・・彼女さんと喧嘩でもしたのかしら?
「生活に口出しはしておりませんよ。話がしたいので1度お帰り下さいとお手紙を差し上げただけですわ」
ふん!しょうもない男。私は顔だけ微笑み、心の中で呆れ返った。
「貴方を好きなのに他の女との結婚を勧めるような心の広い彼女さんならきっと許して下さるかと思いまして。フフ」
「っ、もういい!で?話とは何だ!」
あらあら、いちいちそんな怒鳴らなくても聞こえますわ。
「半月後に貴方のご両親がおみえになるのでそのご報告を」
「なに?」
「貴方が私との結婚をご両親にどのように説明しておられるかは分かりませんけれど・・・わたくし1人で対応しろと仰られるならばそれでも構いませんわ」
「・・・わかった、その日は私も立ち会おう」
当然でしょ。
「要件はそれだけか?」
「ええ」
だから彼女さんの所に帰って頂いて結構ですよ。そんな気持ちを込めて夫に微笑む。
「今日はこちらで過ごす」
なんですと?
「あら、そうなんですか?・・・でも困りましたわねぇ。いつもわたくし1人ですから貴方がお召し上がりになられるお食事はご用意していませんのよ」
でしょ?と言う気持ちを込めて後ろに控えていた執事とメイド頭の方を見る。
すると心得たと言わんばかりに2人は頷き
「はい、まさか!お帰りになられるとは思っていませんでしたので旦那様のお食事はご用意しておりません」と言った。
その言葉を聞き夫は
「食べられたら何でもいい!」
と苛立ったようにかつて自分の部屋だった場所へ入って行った。
・・・その部屋、もう既に私の物ですよ。
ピンクのカーテン、ピンクの壁紙、ピンクのベッド、その他も全てピンクの家具で統一された部屋。
「何なんだこの部屋は!」
夫は慌てて出て来た。
「あら、好きに暮らせと仰って下さったので少々部屋を模様替えしたんですよ」
そう言ってにっこりと微笑んだ。
「ここは私の部屋だ!」
あら、違いますよ。結婚したその瞬間からここは夫婦2人の部屋です。
「・・・貴方もわたくしの生活に口を出さない、それが契約でしたわね?お部屋、元に戻せと仰るのですか?わたくしがした事に口出しなさると?」
まぁ、私だって別にピンクが好きなわけでも何でも無いのだが、いうなれば嫌がらせである。
「・・・っ!」
「旦那様はお部屋がお気に召さないようですから客間にお通しして」
「畏まりました」
2人が頭を下げて夫を客間に案内しようとする。
「お前達!私はこの屋敷の主人だぞ!」
うるさいわ。廊下で騒がないで。
夫のその言葉を聞いて2人は顔を見合わせこう言った。
「この屋敷の主人は奥様です」
きっぱりと言い切った2人に言葉が出ない様子の夫は今度こそ大人しく客間へ案内されて行った。
「ありがとう、2人とも」
小さくなって行く3人の背中を見ながら味方してくれた2人に感謝する。


その後渋々夫と食事を共にするのだが・・・私はシェフが作ったいつものご飯を美味しく頂き、食べれたら何でもいいと言った夫はパンとスープとワインのみだった。
ざまぁみろ(笑)

しおりを挟む
感想 441

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする

夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、 ……つもりだった。 夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。 「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」 そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。 「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」 女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。 ※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。 ヘンリック(王太子)が主役となります。 また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。

婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!

みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。 幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、 いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。 そして――年末の舞踏会の夜。 「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」 エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、 王国の均衡は揺らぎ始める。 誇りを捨てず、誠実を貫く娘。 政の闇に挑む父。 陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。 そして――再び立ち上がる若き王女。 ――沈黙は逃げではなく、力の証。 公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。 ――荘厳で静謐な政略ロマンス。 (本作品は小説家になろうにも掲載中です)

【完結】恋が終わる、その隙に

七瀬菜々
恋愛
 秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。  伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。  愛しい彼の、弟の妻としてーーー。  

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

処理中です...