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「奥様、こちら報告書でございます」
「ありがとう」
私は執事から紙の束を受け取る。
夫のご両親がお帰りになられてからかれこれ2ヶ月・・・夫はあれから1度も家に帰って来ていない。穏やかな日常だ。
うるさい夫がいない間に彼女の事を調べて貰った。
数枚に渡る彼女に関する報告書。
やはり気になるのは交友関係ね。
うーん、よくもまぁこれだけの方達と関係が持てること。
今の所彼女に子供が出来たと言う話は聞かない。これだけの人数となると・・・彼女、自分で何かしら妊娠しないように手を打ってるのね。
これならば夫との間に子供が出来たと騒ぎ出す事も無いかしら・・・甘いか。
こんな碌でもない事考えるような人間がそんなに甘い訳ないわ。
・・・取り敢えずはこのままもうちょっと彼女の行動見張りましょう。
私が一段落着いたなと思った所でちょうどタイミング良くノックの音がする。
コンコンコン
「どうぞ、空いてるわ」
そう言うと入って来たのは執事と・・・弟だった。思わず立ち上がる。
「奥様、弟君が御屋敷の前で呼び鈴を押そうか押すまいか悩んでいらっしゃったようですのでお連れ致しました」
あら、なにしてるのかしらこの子は。
「そうなの、ありがとう」
私は執事にそう言うと弟にソファーを勧める。弟が腰掛けた向かいの席に私も腰掛ける。
「どうしたの?今日は・・・」
「・・・・・・」
弟は俯きなかなか話出そうとしない。
「何か・・・あった?」
私が確信めいてそう聞くと弟は一通の手紙をテーブルの上に置く。
その手紙を開くと中には真っ赤な字で侯爵家を乗っ取ろうとする悪魔達!必ず天罰が下るぞ!と書かれていた。
あーあ、バカ丸出し。こんな馬鹿げた手紙あの馬鹿な男しか書かないわ。
「やっぱりあの男か」
手紙を見た私の反応でこの手紙が夫によって書かれた物だと判断した弟はそう言った。
「俺もあの男しかいないと思っていたけど姉さんならアイツの字も知っているから確実かと思って・・」
その言葉を聞いてため息が出た。
「・・・家は何ともない?」
「まぁ大丈夫、あんな馬鹿な男が1人で何かやっても大丈夫なくらいには対策してあるから」
「そう、貴方がそう言うなら大丈夫ね」
そう言って私は紅茶を1口飲む。
「姉さんなは大丈夫なの?」
そう言った弟は心配そうな顔をしていた。
「私はほとんど表には出ないから・・・ここにいれば皆私の味方をしてくれるし大丈夫」
「そう、ならいいけど」
そう言って弟もようやく紅茶に手を付けた。
あの馬鹿!私に敵わないから実家の方に手を出そうとするなんて。
大人しーく彼女の所に行っているだけならば黙っていようと思っていたけど・・・これは許せないわね。
「また、悪い顔してるねぇ」
・・・弟よ。それは思っていても言っちゃダメなやつよ。それにしても・・・どんな顔していたのだろうか。悪い顔って・・・。私は自分の頬を軽くつねってみた。
「大丈夫。悪い顔してる姉さんも綺麗だよ」
うーん。この子も悪い男になりそう・・・色んな意味で。お姉ちゃんは心配ですよ。
後日、屋敷でご婦人達を招きお茶会をするから帰って来てホスト役を務めるつもりが有るならば来なさいと彼女さん宛に夫に向けての手紙を出した。
まぁ、正直夫はどっちでも良かった。居ても居なくても。
私達の噂が表で流れている今、屋敷に夫が居なければあの噂は本当だわ!と言われて仲睦まじく私達が寄り添っていればやっぱりあの噂は嘘だったのねと言われるだけの事、私にとってはね。
しかし、これからの行動を見るとお父様に言われている夫は帰って来て私と仲が良い振りをする他に道は無いだろう。
そうとハッキリ手紙に書かなかったのは・・・いい加減自分で考えろと思ったから。あんなくだらない手紙を書く知恵があればそれくらいの事気が付くでしょ。
そして夫はお茶会をする日の前日に屋敷に帰って来た。
「お帰りなさいませ」
「ああ」
私はそれだけ言うと夫から離れて自分の部屋に行こうと思った。すると珍しく夫から呼び止められる。
「その、明日の茶会の打ち合わせなどあれば少し話し合いたいのだが・・・」
この態度の変わりよう・・・。何かあると思ったが敢えて乗ってみる。
「分かりました、では後ほどわたくしの部屋までお越し下さい」
そう言って今度こそ夫から離れる。
「奥様、大丈夫でしょうか?」
私の後を歩いている執事が心配そうにそう言った。
「まぁ、何か企んではいるのでしょう」
そう言って私は微笑んだ。
コンコンコン、ガチャ。
ノックの音と同時に夫が扉を開けて部屋へと入って来る。
・・・まだ返事してないんだけど。
もう、いちいち注意するのも嫌になって無表情でソファーを勧める。
夫の向かいに座り明日のお茶会の招待客の事など一通り説明する。すると1枚資料が足りない事に気付く。
私は取って来るから待っていてと夫を残し部屋を出ると・・・・・・執事の所には向かわず部屋の前で夫の様子を盗み見ていた。
勿論資料が1枚無いのもわざと。
すると夫はおもむろに立ち上がり私の机を漁り出した。
「やっぱり」
多分夫は金庫の鍵を探して居るのだろう。
勝手にお金を持ち出せないように私がお義父様から預かっている鍵を。
次々に引き出しを開ける夫。
あら、その引き出しは!私はニヤリと笑う。
夫が今開けている引き出しには先日執事から受け取った彼女に関する報告書が・・・・・・。
ふふふ、ふふふ。
その報告書を読む夫の姿を見て私は笑うのを止められなかった。
しょうがないわよ。偶然よ、偶然。ふふ。
「ありがとう」
私は執事から紙の束を受け取る。
夫のご両親がお帰りになられてからかれこれ2ヶ月・・・夫はあれから1度も家に帰って来ていない。穏やかな日常だ。
うるさい夫がいない間に彼女の事を調べて貰った。
数枚に渡る彼女に関する報告書。
やはり気になるのは交友関係ね。
うーん、よくもまぁこれだけの方達と関係が持てること。
今の所彼女に子供が出来たと言う話は聞かない。これだけの人数となると・・・彼女、自分で何かしら妊娠しないように手を打ってるのね。
これならば夫との間に子供が出来たと騒ぎ出す事も無いかしら・・・甘いか。
こんな碌でもない事考えるような人間がそんなに甘い訳ないわ。
・・・取り敢えずはこのままもうちょっと彼女の行動見張りましょう。
私が一段落着いたなと思った所でちょうどタイミング良くノックの音がする。
コンコンコン
「どうぞ、空いてるわ」
そう言うと入って来たのは執事と・・・弟だった。思わず立ち上がる。
「奥様、弟君が御屋敷の前で呼び鈴を押そうか押すまいか悩んでいらっしゃったようですのでお連れ致しました」
あら、なにしてるのかしらこの子は。
「そうなの、ありがとう」
私は執事にそう言うと弟にソファーを勧める。弟が腰掛けた向かいの席に私も腰掛ける。
「どうしたの?今日は・・・」
「・・・・・・」
弟は俯きなかなか話出そうとしない。
「何か・・・あった?」
私が確信めいてそう聞くと弟は一通の手紙をテーブルの上に置く。
その手紙を開くと中には真っ赤な字で侯爵家を乗っ取ろうとする悪魔達!必ず天罰が下るぞ!と書かれていた。
あーあ、バカ丸出し。こんな馬鹿げた手紙あの馬鹿な男しか書かないわ。
「やっぱりあの男か」
手紙を見た私の反応でこの手紙が夫によって書かれた物だと判断した弟はそう言った。
「俺もあの男しかいないと思っていたけど姉さんならアイツの字も知っているから確実かと思って・・」
その言葉を聞いてため息が出た。
「・・・家は何ともない?」
「まぁ大丈夫、あんな馬鹿な男が1人で何かやっても大丈夫なくらいには対策してあるから」
「そう、貴方がそう言うなら大丈夫ね」
そう言って私は紅茶を1口飲む。
「姉さんなは大丈夫なの?」
そう言った弟は心配そうな顔をしていた。
「私はほとんど表には出ないから・・・ここにいれば皆私の味方をしてくれるし大丈夫」
「そう、ならいいけど」
そう言って弟もようやく紅茶に手を付けた。
あの馬鹿!私に敵わないから実家の方に手を出そうとするなんて。
大人しーく彼女の所に行っているだけならば黙っていようと思っていたけど・・・これは許せないわね。
「また、悪い顔してるねぇ」
・・・弟よ。それは思っていても言っちゃダメなやつよ。それにしても・・・どんな顔していたのだろうか。悪い顔って・・・。私は自分の頬を軽くつねってみた。
「大丈夫。悪い顔してる姉さんも綺麗だよ」
うーん。この子も悪い男になりそう・・・色んな意味で。お姉ちゃんは心配ですよ。
後日、屋敷でご婦人達を招きお茶会をするから帰って来てホスト役を務めるつもりが有るならば来なさいと彼女さん宛に夫に向けての手紙を出した。
まぁ、正直夫はどっちでも良かった。居ても居なくても。
私達の噂が表で流れている今、屋敷に夫が居なければあの噂は本当だわ!と言われて仲睦まじく私達が寄り添っていればやっぱりあの噂は嘘だったのねと言われるだけの事、私にとってはね。
しかし、これからの行動を見るとお父様に言われている夫は帰って来て私と仲が良い振りをする他に道は無いだろう。
そうとハッキリ手紙に書かなかったのは・・・いい加減自分で考えろと思ったから。あんなくだらない手紙を書く知恵があればそれくらいの事気が付くでしょ。
そして夫はお茶会をする日の前日に屋敷に帰って来た。
「お帰りなさいませ」
「ああ」
私はそれだけ言うと夫から離れて自分の部屋に行こうと思った。すると珍しく夫から呼び止められる。
「その、明日の茶会の打ち合わせなどあれば少し話し合いたいのだが・・・」
この態度の変わりよう・・・。何かあると思ったが敢えて乗ってみる。
「分かりました、では後ほどわたくしの部屋までお越し下さい」
そう言って今度こそ夫から離れる。
「奥様、大丈夫でしょうか?」
私の後を歩いている執事が心配そうにそう言った。
「まぁ、何か企んではいるのでしょう」
そう言って私は微笑んだ。
コンコンコン、ガチャ。
ノックの音と同時に夫が扉を開けて部屋へと入って来る。
・・・まだ返事してないんだけど。
もう、いちいち注意するのも嫌になって無表情でソファーを勧める。
夫の向かいに座り明日のお茶会の招待客の事など一通り説明する。すると1枚資料が足りない事に気付く。
私は取って来るから待っていてと夫を残し部屋を出ると・・・・・・執事の所には向かわず部屋の前で夫の様子を盗み見ていた。
勿論資料が1枚無いのもわざと。
すると夫はおもむろに立ち上がり私の机を漁り出した。
「やっぱり」
多分夫は金庫の鍵を探して居るのだろう。
勝手にお金を持ち出せないように私がお義父様から預かっている鍵を。
次々に引き出しを開ける夫。
あら、その引き出しは!私はニヤリと笑う。
夫が今開けている引き出しには先日執事から受け取った彼女に関する報告書が・・・・・・。
ふふふ、ふふふ。
その報告書を読む夫の姿を見て私は笑うのを止められなかった。
しょうがないわよ。偶然よ、偶然。ふふ。
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