契約結婚を申し込んできた夫にちっちゃく復讐しようと思う

きんのたまご

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次は自分の家族と話す。
「姉さん」
廊下を歩く私に弟が駆け寄ってくる。
「いよいよ明日だね」
「ええ、そうね」
弟と並び両親の元へ向かう。
「アレクは大きくなったかしら」
アレクは3歳になった私達の弟。
「ああ、この間帰った時はやんちゃ過ぎて困るって母さん言ってたよ」
「そう、ふふ」
「今日アレクも連れて来れば良かったのに」
「あら、駄目よ。これからする話をあの子には聞かせられないでしょ」
「そうだね」
「またゆっくり遊びに行くわ」
「うん」
両親が待つ部屋の前に着く。
コンコン
ノックして扉を開ける。
「お待たせしました」
そう言って部屋に入った瞬間私は誰かに抱きしめられた。
「・・・お母様?」
「なんて酷い事・・・結婚して家にも帰らずあまつさえ外に子供を作るなんて!」
私は宥めるようにお母様の背を撫でる。
「ありがとうございます、お母様」
「やはりもう、家に帰りましょう?いつまでもこんな所にいてはダメよ。貴女の一生が台無しになってしまうわ 」
私は困ったように微笑んだ。それを見たお父様がお母様を私から離してくれる。
「ほら、少し落ち着いて。・・・こっちに座りなさい」
「すまなかった・・・私があんな男との婚約を了承してしまったせいで・・・」
「いいえ、お父様。あの時にこんな事になるなんて誰にも分からなかったのです。それに最終的に彼との婚約を了承したのはわたくしですわ」
「そうか・・・そう言って貰えるとありがたいよ」
お父様のその言葉に私は微笑んだ。
「で?どうするんだね、これから」
「・・・明日夫がキャスリーンさんと共に夫の子供だという子を連れてここにやってきます。今回の事で夫のご両親は夫を正式に侯爵家から勘当なさいました、その子供が本当に夫の子供であるならば跡取りはその子になるのでしょうがそれは有り得ません。それ以前にこちらにはこれが有ります」
そう言って侯爵家の跡取りについての正式な書面を両親に見せる。
「お前、これは・・・」
「これは夫から言い出したのです、私と子供を作るつもりは無い侯爵家の跡は私の弟に継がせると・・・」
「なんと言うことだ・・・」
先程まで割と冷静だと思っていたお父様にまで怒りが浮かんだ。
「先程夫の両親にもこの書面を見せ、正式にこの子がこの侯爵家の跡取りになりました」
そう言って私は隣の弟を見た。頷く弟。
「・・・そうか」
力無く呟くお父様。
「ご報告が遅くなって申し訳ありません。それに、そちらの跡取りを勝手にこちらに頂く事になってしまいました」
「大丈夫よ、うちにはアレクがいるわ」
先程より復活したお母様が明るくそう言って下さる。
「お父様とお母様が仲良しで本当に良かったですわ」
私は心からの明るい笑顔でそう言った。
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