2 / 6
-1 執着はないけど未練はある現実
-2/2- 懐古、どこかに帰りたい
しおりを挟む
当たり前な事だけど、それすら出来る力が無かった。大人になれば自然と出来るようになると思っていたのも甘かった。
「人生を良くするのは大変だけど、人生を悪くするのは本当に案外簡単だ。」
年に一度の節目。今までを軽く振り返って自分の感情が分かったところで、そういえば今更どうしようもないと悟った。
改めて自分の気持ちに整理がついた。
「だが決して「=諦める」ではない。」
(まずは目の前の面倒事から、消していこう)
****
退職届を書いた。
まず、会社を辞めようと思った。自分が辞めたら会社の何がどう変わるかなんて一丁前に色々考えたがこんなので何か事が起こるほど弱い訳がないので止めた。
まだ他に確定した収入源を見つけた訳ではないが死にはしないと思っている。
目を細めても変わらずぼやける視界で、窓の上の時計を見る。
あと二時間弱で明日になる。その日は自分の誕生日だ。
久々にこんなに軽い気持ちで年を重ねる。
自分で決めた。なんとしてでも会社をやめて、なんとしてでも生きていこう。せめてしばらくは自分の好きなように生きよう。
一段落ついてすぐ眠れないほど目が覚めたことに気付いた。自分の環境を変えることには毎度緊張しているから、軽く興奮状態になっている。
(掃除でもしよう。その後風呂にでも入ったらリラックス出来るはずだ。先に着替えを用意しよう)
しばらく理由もなく何かに追われている感覚に襲われていたから掃除する気力がなかった。
長く開けていなかった、物置と化したクローゼットから一度物を全て出してみた。
改めて要るもの要らないものを分けていると、一人暮らしにまで持ってきた気に入っているゲームソフトが出てきた。
自分が唯一プレイしたことのあるRPGで、苦手なのかクリアは出来そうにないが、雰囲気が和やかで思い出したらまた無性にあの画面を見たいと思う良い作品だ。
「…ゲーム機、持ってきてないな」
何を思ったか引っ越し当時の自分はこのソフトをプレイできるゲーム機どころか、携帯一つで暇を潰せると確信していた。
その時の事は覚えていないが、今こうして職を手放すことを考えてなかったのは容易に想像出来る。
ゲーム機がないのでそのソフトの説明書を読む。あるキャラクターの立ち絵が目に入る。
黒髪で長いうねった前髪を流し、右目を隠している。切れ長の目で左のテキストを見ているように配置されている。
懐かしい。よく使ってた役職のキャラクターだ。確か名前は…。
「ビリー」
自由に名前を付けられるようになっていて、たくさん名前をつけて遊んでいた時があった。
自分が、当時から今でも色んなゲームの名前に使っているからこのキャラクターに付けた名前は特によく覚えていた。
「人生を良くするのは大変だけど、人生を悪くするのは本当に案外簡単だ。」
年に一度の節目。今までを軽く振り返って自分の感情が分かったところで、そういえば今更どうしようもないと悟った。
改めて自分の気持ちに整理がついた。
「だが決して「=諦める」ではない。」
(まずは目の前の面倒事から、消していこう)
****
退職届を書いた。
まず、会社を辞めようと思った。自分が辞めたら会社の何がどう変わるかなんて一丁前に色々考えたがこんなので何か事が起こるほど弱い訳がないので止めた。
まだ他に確定した収入源を見つけた訳ではないが死にはしないと思っている。
目を細めても変わらずぼやける視界で、窓の上の時計を見る。
あと二時間弱で明日になる。その日は自分の誕生日だ。
久々にこんなに軽い気持ちで年を重ねる。
自分で決めた。なんとしてでも会社をやめて、なんとしてでも生きていこう。せめてしばらくは自分の好きなように生きよう。
一段落ついてすぐ眠れないほど目が覚めたことに気付いた。自分の環境を変えることには毎度緊張しているから、軽く興奮状態になっている。
(掃除でもしよう。その後風呂にでも入ったらリラックス出来るはずだ。先に着替えを用意しよう)
しばらく理由もなく何かに追われている感覚に襲われていたから掃除する気力がなかった。
長く開けていなかった、物置と化したクローゼットから一度物を全て出してみた。
改めて要るもの要らないものを分けていると、一人暮らしにまで持ってきた気に入っているゲームソフトが出てきた。
自分が唯一プレイしたことのあるRPGで、苦手なのかクリアは出来そうにないが、雰囲気が和やかで思い出したらまた無性にあの画面を見たいと思う良い作品だ。
「…ゲーム機、持ってきてないな」
何を思ったか引っ越し当時の自分はこのソフトをプレイできるゲーム機どころか、携帯一つで暇を潰せると確信していた。
その時の事は覚えていないが、今こうして職を手放すことを考えてなかったのは容易に想像出来る。
ゲーム機がないのでそのソフトの説明書を読む。あるキャラクターの立ち絵が目に入る。
黒髪で長いうねった前髪を流し、右目を隠している。切れ長の目で左のテキストを見ているように配置されている。
懐かしい。よく使ってた役職のキャラクターだ。確か名前は…。
「ビリー」
自由に名前を付けられるようになっていて、たくさん名前をつけて遊んでいた時があった。
自分が、当時から今でも色んなゲームの名前に使っているからこのキャラクターに付けた名前は特によく覚えていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる