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間話 〜『魔』という言葉〜
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隠れ里に向かう空の旅の途中。
レイジはすることも無いのでリリィと話していた。
「リリィには説明したと思うけどよ。俺はこの世界の言語を知らないから、管理者のおっさんが俺の知識に合わせて翻訳してくれてるんだが・・・」
「そういえば、そんなこと言ってたよね。」
「それで、若干の齟齬は承知の上で一つ気になったことがあるんだが・・・」
レイジは雑談、という様子で軽く話す。
「魔、って、どういう意味合いなんだ?」
「ま?」
「ああ。魔族、とか魔獣、とか魔力、とか。魔がつく言葉をこれまで何度か聞いたけど、いまいち意味合いが統一されてない気がするんだよな。」
「えっと・・・ごめん、レイジがどこに引っかかってるのかがわからない。」
困った顔になるリリィ。
「いや、そのな?さっき兵士に魔族って言われた時に、リリィは怒ってただろ?だから魔族ってのは蔑称なんだと思うが・・・」
「うん、そうだね。魔族っていうのは、おとぎ話とか、神話に出てくる悪い存在のことなの。でも、当たり前だけどそんなの現実に居ない。正確に言えば、悪いやつは悪いやつだし、良い人は良い人・・・つまり、生物的な区分で相手を良い悪いなんて区別できないよね。」
「ああ、それはそうだな。」
「それでも相手を魔族って決めつけるのは、相手が人じゃないって言ってるようなものなの。」
「・・・なるほどな。」
レイジは、その説明で何となく察する。
(要するに、外見的差異からくる人種差別か。ただそれが、どうして魔族という名称で翻訳されたかピンと来ないな。)
「いずれにしろ、やっぱり『魔』ってのは悪いもの、邪なものってことだよな。魔獣とかもそうだろうし。」
「それは、そうだね。」
「じゃあ、『魔力』とか、『魔法』はなんなんだ?別に、良くない力とか技法って意味じゃないだろ? 」
レイジの問いに、しかしリリィはピンと来ない顔をする。
「・・・?ごめん、やっぱり質問の意味がわからない。だって、魔力は魔力だし、魔法は魔法でしょ?」
「いや、そう言われたらもうなんて言えば良いかわかんないんだが・・・」
どこから突っ込めばいいか迷い、レイジは口ごもる。
すると、突然管理者の声がレイジに話しかける。
『ふむ、汝は意外と細かいことを気にするのだな。』
「いやまあ、ほとんど暇つぶしの雑談なんだけどな。ていうか、おっさんに聞けば良かったか。」
『気になるというのなら答えるが・・・大した理由ではないぞ。』
「じゃあ頼む。」
『単純な理由だ。汝の知識の中で、超常現象を表すには『魔法』という単語がもっとも近かったからというだけだな。同じ理由で、元の世界に存在しない未知のエネルギーを表すのには『魔力』という言葉が都合が良かった。』
管理者の答えに、レイジは微妙な表情を浮かべる。
「いやだから、それは分かってんだけどよ。」
『汝が言いたいことは分かる。だからもう少し詳しく言おう。汝が気になっているのは魔力は魔の力、すなわち悪しき力という意味では無いのか、ということだろう?』
「ああ、そうそう。」
『日本語的に意味を考えるのならそうかもしれないが、汝がこの世界で聞く言葉はあくまで翻訳だ。つまり、魔力は『魔力』というひとつの単語に過ぎない。魔法も同様だ。』
管理者の説明に、レイジはとりあえず頷く。
「あー、何となくわかったような、そうでもねぇような・・・まあ、全然重要じゃねえしそれで納得しとくか。だいたい細かいこと言い出したら吸血鬼なんて鬼だしな。それもこの世界では血を吸う鬼って意味じゃなくて、吸血鬼ってひとつの生き物を指す言葉って訳か。」
『その認識で問題無い。』
「いずれにしろ、根本から異なる世界のことを自分の物差しで測ろうってのが間違いってこったな。」
レイジはそう自分を納得させると、再びリリィとの会話に戻った。
飛竜での空の旅は、もう少しで終わりである。
レイジはすることも無いのでリリィと話していた。
「リリィには説明したと思うけどよ。俺はこの世界の言語を知らないから、管理者のおっさんが俺の知識に合わせて翻訳してくれてるんだが・・・」
「そういえば、そんなこと言ってたよね。」
「それで、若干の齟齬は承知の上で一つ気になったことがあるんだが・・・」
レイジは雑談、という様子で軽く話す。
「魔、って、どういう意味合いなんだ?」
「ま?」
「ああ。魔族、とか魔獣、とか魔力、とか。魔がつく言葉をこれまで何度か聞いたけど、いまいち意味合いが統一されてない気がするんだよな。」
「えっと・・・ごめん、レイジがどこに引っかかってるのかがわからない。」
困った顔になるリリィ。
「いや、そのな?さっき兵士に魔族って言われた時に、リリィは怒ってただろ?だから魔族ってのは蔑称なんだと思うが・・・」
「うん、そうだね。魔族っていうのは、おとぎ話とか、神話に出てくる悪い存在のことなの。でも、当たり前だけどそんなの現実に居ない。正確に言えば、悪いやつは悪いやつだし、良い人は良い人・・・つまり、生物的な区分で相手を良い悪いなんて区別できないよね。」
「ああ、それはそうだな。」
「それでも相手を魔族って決めつけるのは、相手が人じゃないって言ってるようなものなの。」
「・・・なるほどな。」
レイジは、その説明で何となく察する。
(要するに、外見的差異からくる人種差別か。ただそれが、どうして魔族という名称で翻訳されたかピンと来ないな。)
「いずれにしろ、やっぱり『魔』ってのは悪いもの、邪なものってことだよな。魔獣とかもそうだろうし。」
「それは、そうだね。」
「じゃあ、『魔力』とか、『魔法』はなんなんだ?別に、良くない力とか技法って意味じゃないだろ? 」
レイジの問いに、しかしリリィはピンと来ない顔をする。
「・・・?ごめん、やっぱり質問の意味がわからない。だって、魔力は魔力だし、魔法は魔法でしょ?」
「いや、そう言われたらもうなんて言えば良いかわかんないんだが・・・」
どこから突っ込めばいいか迷い、レイジは口ごもる。
すると、突然管理者の声がレイジに話しかける。
『ふむ、汝は意外と細かいことを気にするのだな。』
「いやまあ、ほとんど暇つぶしの雑談なんだけどな。ていうか、おっさんに聞けば良かったか。」
『気になるというのなら答えるが・・・大した理由ではないぞ。』
「じゃあ頼む。」
『単純な理由だ。汝の知識の中で、超常現象を表すには『魔法』という単語がもっとも近かったからというだけだな。同じ理由で、元の世界に存在しない未知のエネルギーを表すのには『魔力』という言葉が都合が良かった。』
管理者の答えに、レイジは微妙な表情を浮かべる。
「いやだから、それは分かってんだけどよ。」
『汝が言いたいことは分かる。だからもう少し詳しく言おう。汝が気になっているのは魔力は魔の力、すなわち悪しき力という意味では無いのか、ということだろう?』
「ああ、そうそう。」
『日本語的に意味を考えるのならそうかもしれないが、汝がこの世界で聞く言葉はあくまで翻訳だ。つまり、魔力は『魔力』というひとつの単語に過ぎない。魔法も同様だ。』
管理者の説明に、レイジはとりあえず頷く。
「あー、何となくわかったような、そうでもねぇような・・・まあ、全然重要じゃねえしそれで納得しとくか。だいたい細かいこと言い出したら吸血鬼なんて鬼だしな。それもこの世界では血を吸う鬼って意味じゃなくて、吸血鬼ってひとつの生き物を指す言葉って訳か。」
『その認識で問題無い。』
「いずれにしろ、根本から異なる世界のことを自分の物差しで測ろうってのが間違いってこったな。」
レイジはそう自分を納得させると、再びリリィとの会話に戻った。
飛竜での空の旅は、もう少しで終わりである。
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