転生吸血鬼は逆境に笑う 〜不死の身体と軍勢で、チート異能に『叛逆』を〜

ハイイロカラス

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27 秘密兵器と新たな戦力

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家を出たキリエは、そのまま森の外へと向かう。

その足取りはゆっくりとしか見えないのにも関わらず、レイジとリリィが小走りになるほどにキリエは速かった。

「ば、ババ様待ってよー!」
「なんだい、だらしないね。」
「見た目と速さが会ってないからついて歩き難いんだよー!」
「まったく、それでも吸血鬼の真祖かい。・・・まあいい、ついたよ。」

キリエは森の中・・・木々が特に生い茂っている場所で立ち止まる。

キリエに追いついたレイジとリリィは、そのまま周囲を見回す。

「えっと・・・ほんとにここなの、ババ様?」
「何も無い・・・つーか木しかねぇな。」

困惑した様子のリリィに、キリエは大袈裟にため息をつく。

「はぁ・・・まったく、始祖の小僧はともかくとして、仮にも巫女の血筋のあんたがそんなんでどうすんだい。」
「え?ど、どういうこと?」
「まあ、あんたは昔から大雑把だったからね。周りに対する注意力なんて期待しちゃいないさ。」

キリエは振り返り、リリィとレイジを見ながら右手で木の幹を軽く叩く。

「さて、リリィ。手伝ってもらおうか。」
「えっと、何をすればいいの?」

疑問を口にするリリィの前で、キリエは黒い鉱石を取り出す。

「こいつに、魔力を注ぎ込んでおくれ。」
「そ、それは・・・なんだっけ?」

リリィ一瞬驚いたように目を見張ったが、すぐに首を傾げる。

「・・・・・・・・・・・・はぁ。」
「む、無言でため息は良くないよ、ババ様!」
「教えたことをろくに覚えていないダメな生徒にかける言葉などないね。」
「うぅ・・・」

厳しいキリエの言葉に落ち込むリリィを横目に、レイジはその鉱石を覗き込む。

「オニキス、に見えるが・・・」
「ほう、意外と博識だね。」
「え、ほんとにオニキスなのか?」

むしろ意外そうに聞き返すレイジ。
そんな彼の耳に、前ぶれなく管理者の声が聞こえる。

『その鉱石は、確かに汝の知るオニキスと同一の物だ。当然この世界での名称は異なるが、汝の知識にある物はそれに合わせている。』
「おう、おっさん。・・・異能の件は分かったのか?」
『・・・それについては、また後で話そう。』
「あ、おい、誤魔化すな!・・・くそっ、一方的に話を切りやがって・・・」

と、急に一人で話し始めたレイジを、キリエが変なものを見る目で見ていた。

「・・・おい、小僧。突然どうしたんだい?」
「あー気にすんな、こっちにも色々あるんだよ。そんで?なんでオニキスに魔力を込めるって話になったんだ?」
「さっきの奇行を気にするなってのも難しい話だがね。まあいい。そこのダメ生徒の為に説明してやろうかね。」

キリエはオニキスを二人の目の前に持ってくる。

「黒い鉱石は魔力を溜めやすいのさ。そしてオニキスは手に入りやすさと、溜められる魔力の量のバランスがとても良い。」
「あっ、思い出した!それに、オニキスはかなりの長期間魔力を保持しておけるんだよね。」
「・・・この程度の知識くらい、忘れるんじゃないよ。」
「あ、あはは・・・ごめんなさい。でも、どうして急に魔力を込めろなんて・・・」
「うるさいね、罰なんだから黙ってやりな。」
「うぅ、分かったよババ様。」

納得しきっていないながらも、リリィは渋々オニキスを手に取った。

そして、目を閉じて集中する。

「・・・ふぅー・・・よいしょ!」

そして、青い光が両手から発され・・・それは凄まじい勢いでオニキスに吸い取られて行った。

「ふむ・・・流石は吸血鬼の真祖。魔力の量は常軌を逸してるね。」
「えへへ、凄いでしょ!」
「調子に乗るんじゃないよ。その魔力の量自体は、始祖の小僧から貰ったようなものだろうが。」
「うっ、言われた通り魔力込めたのに怒られた・・・ていうか、それ何かに使うの?」

リリィの問いに、キリエは頷く。

「当たり前だろう。アタシがなんの意味もなくあんた達をこんな森の奥に連れてくるとでも思ったのかい?」
「いや、さすがにそうは思わないけど・・・」
「それに、アタシだって今日までずっと森の奥で隠居を決め込んでいた訳じゃないさ。」

そう言ってキリエは笑う。

「クックック、これで遂に完成するよ。いや、完成はしていたんだがね。」
「ババ様、なんの話?」
「あの砦を攻めるには、いかんせん戦力が足りない。かといって、アタシらにはもう余力が無い。」

キリエはリリィからオニキスを奪い取り、それを頭上に掲げる。

「そこで、アタシは考えた。なにか別の戦力を用意できないかってね。」
「もう、早く結論を言ってよ。話を出し惜しむの、ババ様の悪い癖だよ。」
「・・・全く、口の減らない子だね。まあ、そこまで言うなら教えてやろうかね。・・・いや、正しくは・・・見せてやる、かね。」

リリィの言葉に首を振りながらため息をついてから、キリエはオニキスをどこからともなく取り出した杖に埋め込む。

「アタシは物を加工する魔法が得意でね。そして都合のいいことにこの森には素材になるものがいくらでもある。つまり、その辺に生えてるバカでかい木さ。」

キリエは杖を手元で一回転させてから、先端で地面を叩く。

「こいつを利用して、戦力を増やせないかと思ってね。色々やったが魔力が足りなくて完成させられなかったが・・・この魔力のおかげで準備が出来た。
さあ、見せてやろう!アタシの秘密兵器、『ウッドゴーレム』をね!」

キリエが高らかにそう言って、杖を掲げた瞬間。
青い光が周囲に広がった。


一瞬の静寂の後。


ズズ・・・ズズズ・・・

なにか、重たい物が動くような音が聞こえたとレイジとリリィが思った次の瞬間。

バサバサバサバサッ!

木の葉が擦れるような音が辺りに響いた。

「な、なんだ!?」
「うわ、うわわわっ!」

突然の自体に驚くレイジとリリィ。

しばらく落ち着きなく視線を動かしていたが・・・遂に気付く。

「木が・・・動いてる、だと!?」
「す、すごーい!あ、ちょっと可愛いかも・・・」

彼らの周りにあった大量の木が、地面から抜け出て動き出していた。

先程まではただの木だったが、いつの間にか手足のような太い枝が生えており、まるで人のようである。

「クックック、上手くいったようだね。これこそがアタシの魔法の粋を集めて創り上げた大木の戦士『ウッドゴーレム』さ!」

そしてキリエは驚くレイジ達を見ながら楽しそうにわらっていた。
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