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はじまり
しおりを挟む真夏の深夜。
時計は一時半過ぎ。
この時間帯でも、身体に湿気が纏わりついて部屋に日中の暑さがまだ少しこもっていた。
一人の男が黒いTシャツ姿でパソコンデスクに向かっている。
二台の黒いディスプレイ画面には、白い文字…コードの羅列が。
眠い目を擦る左指に黒髪が触れ、微かに靡いた。
「うーーん、週明けの新規対応、だいたいこんなところかなー……ふう」
デスクチェアに腰掛けながら背伸びをすると、更にあくびをした。
仕事の持ち帰りは禁止とされているが、せめて下調べだけ…と思い、職場と同じ実行環境を自宅に用意、テストできそうな部分は事前にどうしても確認を済ませておきたかった。
気付くと、既に日付が変わっている。
立ち上がり、デスクの真向いにあるベッドの上に、ぼふっ!とダイビングしうつ伏せになる。自分の髪から、シャンプーの匂いがふんわりと香った。
ボディーソープ、新しいのに変えたらなかなか良いかも。スベスベ。
夕飯の後にシャワーを浴びて正解だったな。
真横の体勢になると、一気に眠気が襲ってくる。
「あー……飲み物何か飲んだらよかった……。うわぁ……寝そう…」
冷蔵庫まで行くの、ダルいなぁ…。
ほんの少しだけ横になる。
ほんの少し……。
五分くらい……。
「……」
目の前に置かれた自分の手が視界に入る。
だめ、だめだ、まだ……。
額に汗が滲む。
右手を口元に寄せ、親指の付け根にキス。
唇の感触が、研哉にとってはいつも『スイッチ』になっていた。
子供の頃からの『舐め癖』、それは社会人になった今でも癖が抜けずにいる。
性的に興奮してしまうようになったのは学生時代からだろうか。
手首、腕橈骨筋、上腕二頭筋、脇にほど近い三角筋へと、キスが止まらなくなる。
「……んっ」
デスク作業があと僅かに残っているハズだった。
だが、衝動を抑えることができない。
一度このスイッチが入ってしまうと、容易に戻すことは困難。
舌を這わせると、自分で分かっていても擽ったくて、ゾクゾクしてくる。
唾液で肌の表面が艷やかに光を反射し、その面積は少しずつ広がっていった。
今日もお疲れ様。と、右肩の力を抜いて、左手指に全ての主導権を握らせ、攻めさせるというこの性癖。自分自身への愛撫を優しく続け、滑らかな腕を擦る。
「……はぁ……どうしよ、止まんないや」
こんな性癖、絶対誰にも言えない。言える訳が無い。
いつもこうしていると、自らの腕を食べてしまいたい衝動に駆られることがある。
無論、そのようなことはできるはずも無いが。
興奮した息遣いのまま、口元へ腕を寄せ、舌をチロチロと押し当てるとそこに吸い付き、キスマークを付ける。
普段、職場ではワイシャツで全て隠れてしまうので、気にせずにいくらでも痕を残せてしまう。しかも今日は土曜日だ。
好きなだけ、気が済むまで痕を付けることができる。
翌日。
カーテン越しから日中の強い熱気を感じる…。
外の木陰が風で揺らめくと、隙間から零れる日光が研哉の顔面を不規則に照らし、起床するよう促す。
雀の鳴き声。車の走行音。向かいの一軒家の風鈴の音、噴水が設置された近くの公園では、子どもたちがはしゃいでいるようだった。
研哉は顔を少しだけ顰めると、ようやく瞼を開けた。
が、また閉じた。
シーツの上のスマホを手探りでやっと見つけると、時間を確認する。
間もなく十時半になろうとしていた。
「うーー、……暑い…」
寝すぎた。
もっと寝ていたい。
そろそろ、朝食を摂らなくては。
また、ぐーたらしていると昼になってしまう。
深夜まで自分の左腕、手指を舌で愛撫しながら、右手で自慰行為を何度もしてしまったせいか、体が物凄く気怠い。
自業自得。やってしまった、また……。
先にシャワー、浴びようかな……。
冷やしうどん、食べたい……。
ゆっくりと上体を起こし、ベッドから両足が離れカーペットの上につま先が触れた、その時だった。
ピンポーン
「ルートイーグルでーす、お届け物でーす!」
「!?」
一瞬何が起きたのか理解できず固まるが、一気にテンパって立ち上がった。
そうだ、再配達!
平日に全く荷物受け取れなくて土曜日の午前中指定にしたんだった!!!
「は…はい! はーい! 居まーーす!! 不在票入れないでっ!」
この一瞬が、命取り。
聞こえた?今の俺の声聞こえたかな!?
待って!
ドタバタと玄関へ向かおうとして、部屋のドア横にあるチェストの角に足の小指をぶつけた。
「いっっっったぁああ!!!」
研哉は紺色のハーフパンツと黒いTシャツのまま、急いで玄関先へと辿り着いた。
解錠し、玄関扉をバンッ!!っと開ける。
あまりの勢いで、入り口側の壁に立て掛けていたビニール傘が倒れ、玄関先にあったビジネスシューズとスニーカーを素足で蹴り飛ばす始末。
「はぁっ、はぁ……! はぁ……お、おはようございます!!!」
扉のすぐ向こうには、顔なじみの男性配達員さんがいた。
キャップを被っており、金髪の前髪から垂れ目の瞳が覗く。
そう、いつもの『お兄さん』だ。
両手にデカい段ボール箱を抱えている。
わ、こんなに注文してたっけ…
申し訳ない。
「だ、大丈夫ですか? これ、少し重いんですけど…持てます?」
「はい!」
ダンボールの上で受取欄にサインし、荷物を受け取ろうとする研哉の視線は配達員の日焼けした腕に釘付けになっていた。
今日もお兄さんの筋肉…たまんないなぁ…。
抱きしめられたい…そしてそのまま舐めてしまいたい……。
と、よからぬ妄想をする。
そして何気なく荷物越しにお兄さんと互いに向き合い、視線が交わっちゃう!ラッキー!と思ったのだが。
何か、違和感。
配達員は研哉の体を所々見つめている。
心なしか、少し動揺しているようにも思えた。
そして小声で呟く。
「あっ、その、失礼しました、お取り込み中に」
お取り込み中?
その時、研哉は自分が半袖姿であるという事に、ようやく気付いた。
しかも無意識に袖口を上げて二の腕を摩ってしまう癖まで発揮中。
顔が真っ赤になる。
全身が火照って、毛穴という毛穴から汗が一気に吹き出しそうになった。
両肩から手首にかけてキスマークがわんさか付けられている姿を見られてしまったのだから。
ひぃぃいいいいいいっ!!!
頭が真っ白になり、この状況をなんとか誤解の無いよう、場をおさめようとした。
おさめるも何も、それが配達員にとって『どうでも良い事』であっても、だ。
自分が何か言い訳をしないと、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「えっ!!? あ、これはですねー! 誰からでも何でも無くて! 蚊ですかね? あ、蚊だ!! うん! いや~最近多いですね~ホント、嫌になり……! ……うわ、わあああっ!!??」
ダンボールを勢いのまま強引に受け取ろうとした研哉は、玄関の段差に躓き、よろめきながら背後の廊下側へ倒れかけた。
「お客様っ!!」
配達員は、右手で荷物を抱え戻したが、一緒に玄関フローリングの上へと倒れてしまう。仰向けになった研哉の顔面横に左手をつき、ギリギリに荷物を右手で持ちこたえた状態になった。
力持ち……凄い、流石配達員さん!かっこいい。
荷物で顔面強打するところ、まさに間一髪だった。
完全にときめいてしまった。
「あっぶな! い……ですよ!?」
お兄さんは一瞬強い口調で言葉を発し、心配そうに研哉を見つめた。
近い。体が更に熱くなってくる。
研哉の顔面のすぐ横に配達員の手が、腕が、二の腕が、衣服越しでもわかる筋肉質な肩が、そして彼の表情までもが一望できた。
なんだ、この最高なシチュエーション…。
起き上がれない…。
生唾をゴクリと飲んだ。
神様、ありがとう。
「大丈夫……ですか? 起き上がれます?」
荷物を一旦床に置き、目線を研哉の位置まで合わせようとしたお兄さん。
「う……む……り……我慢……できない」
恥ずかしさと、緊張、突然の展開。
これはもう、偶然という必然と運命に感謝するしかない。
都合が良すぎるかもしれないが、そう思うことにした。
「え?」
「……腕、美味しそう……」
何を言ってるんだ俺は。
左腕にそっと手を添えると、顔面へ寄せ、舌をゆっくりと這わせた。そしてキスをする。
「っ!!?」
舌先でゆっくりと腕の筋をなぞる。
そして、左手のグローブの端を咥え、見つめた。
「お兄さん、指も舐めて……いい?」
今まで何度も配達に来ていたのだから、以前からずっと『痕』を見られていたかもしれない。
過去にはラフなタンクトップ姿で出迎えたこともあった。
もしかしたら…その度に気付かないフリをしてくれてたのかな、と。
そう思うと羞恥心と興奮で勃起しそうになる。
「牧山さん……駄目ですって」
初めて、名字で呼ばれた。
お兄さんの顔が少し赤らんで、額には汗の粒が見え始める。
「……少しだけ……だめ?また……すぐ行っちゃうの」
「…………」
舐める。
舐める。
舐める。
筋がクッキリしてカタく熱い筋肉に魅せられ、研哉は舌で擦りあげ、唇を密着させ吸い込む。
「はぁ……はん……はむ……んぅ」
優しくちゅぱちゅぱと吸い付き、舌で…舐め回す。
自分の腕を舐め回すのも好きだが、好きな人の腕を舐め回すのはもーーっと大好き。
配達員の半袖ユニフォームは前が開け、肩が完全に露出される程まで強引に捲り上げられており、袖口にきつく圧迫された筋肉と肌がとても窮屈で性的に見えた。
思いっきり吸い付いて甘噛したくなる。
「ん~っ!」
どうしたらよいのか分からず、配達員は戸惑いながら声が漏れるのを歯を食いしばりながら我慢していた。
ましてや、業務中に受け取り側からこのような対応をされるとは、思いも寄らなかったことだろう。
困惑した配達員の表情を、ずっと愛しそうに眺めている。
研哉は、口で咥えグローブを強引に外すと、中指と人差し指をしゃぶり始めた。
「……あむ……はむぅ……、お兄さんの指、ゴツゴツしてて……太いね……好き」
働き者の手。
こういう男らしい力強い手に憧れてしまう。
指フェラで挑発的に舌をぬるぬると絡ませると、指の表面が厭らしく潤い光沢を放つ。
舌が指の付け根を順になぞり、手首、腕へと濡れた筋を肌に残しながら脇へと到達する。
「うっ……」
お兄さんがピクンと反応を返してきた。
この状況、嫌であれば今すぐにでも止めて次の配達先に行ってもいいはずだ。
荷物のサインも既に終えているのに。
それなのに…彼は未だにこの場所に佇んでいる。
研哉は、興味本位で目の前の配達員を攻めてみることにした。
年上でずっと気にかけていた彼。
こんな機会、もしかしたらもう二度と無いかもしれない。
そう思うと、より積極的になり、彼に触れる愛撫全てが慎重になる。
自分に夢中になってほしい、と強い願望を抱く程になっていた。
ユニフォームの中の白いタンクトップを捲ると、鍛えられた褐色の腹筋が剥き出しになる。汗でしっとりしていて、熱を帯びていた。
「まきや……まさん、何する……んです」
そこにも貪るようにキスをすると、臍の中に舌を突っ込み、まるでアナルを犯すように舌でグリグリと奥を這わせた。
チュクッチュク…チュ…ジュルルル
「あっ…! っ…う」
そして指はスラックス越しの下半身…ペニスのシルエットに優しく触れ始めた。
「お兄さんも、ここ、勃ってる? 硬いよ…」
ベルトを外し、ファスナーをゆっくり下ろすと、研哉は左指をボクサーパンツの横から弄り、彼の滾ったそれを露にさせた。
「見て、大きく反れて……フル勃起してますよ」
「っ! …触るから……余計にっ」
「はぁっ…暑い!!」
研哉は、黒いTシャツを脱いだ。
両腕には無数のキスマークの痕が。
勿論、全て自ら付けたものだ。
だが、キスマークの事など、既にどうでもよくなっていた。
今、目の前の彼とただ触れて感じ合いたい、それさえできれば、もう何も……。
彼もキャップを外しユニフォームを脱ぐと、タンクトップ一枚になる。生地越しからでも、浮いた乳首が厭らしく目立ってそこから視線をなかなか逸らせずにいた。
玄関にあらゆる熱がこもり、じっとりとしている。
フローリングは二人の汗と体温でペタペタになっていた。
互いに半裸状態。
男臭いニオイが汗と混じり、研哉の性欲を刺激し、ムラムラとさせる。
正午が近くなるに連れ、室内の温度も上がっていくことだろう。
外から風鈴と蝉の鳴き声が聞こえる。
配達員の乳首を欲望のまま舐め続け、露にさせた亀頭を撫でる。優しく、優しく…。
「あっ……う……舐めるの、好きなんですね」
「うん……前からお兄さんも二の腕も…気になってた」
「二の腕……?」
「あ、引いちゃいました? たぶん……フェチなんですよ俺。肩とか腕……昔からすごく、舐めたくなる」
「だから前から、キスマークが」
「あはは……やっぱりもうバレてた。うん……おかしいでしょ。でもね、気持ちいいんだ…止められない」
横目で配達員の顔を覗き見ると、顔を赤らめて、ペニスに伝わる刺激と気持ち良さに恍惚とした表情を見せている。
「脇、濃くて興奮しちゃう」
ペロペロとお兄さんの脇毛を舐め、これでもかというくらいに唾液でたっぷりと湿らせる。
そこから、再び薄ピンク色の乳首、胸の谷間を真っ直ぐ下へ通ると、舌がツー……と下腹部へと流れる。
お兄さんが静かに吐息を漏らすたび、肢体を反らせて腹筋がキュッと締まり、ピクピクと痙攣している姿がとにかく可愛くて。
更に攻め立ててみたい気持ちが徐々に込み上げてきた。
こんな気持ちになるなんて、初めてだ。
ショリショリとした黒い陰毛の上に両指を置き、親指と人差指でペニスの根元を支え、血管が浮いた側面を丁寧に舐め始める。
舌の動きに合わせ表面の皮が少し引っ張られ、また弛む。その様子を何度も見守りながら舌で愛撫し続けると、ペニスは唾液をたっぷりと擦り込まれて、厭らしくテロテロと艶やかになっていった。
左手で陰嚢を持ち上げ、片方ずつ吸い付き口に含むと舌の上で撫で転がす。
「……っ……ぁ」
カリ部分に舌を這わせ横方向にペロペロと愛撫した後、亀頭をちゅぷちゅぷと吸いながら口の中で裏筋を強く舐め上げる。
「……ふふふ、お兄さんのちんこ、すごく厭らしいニオイ……味もちょっと苦くて……しょっぱい」
「は……っ……っく!」
ジュップ ジュプ ゴプッ ジュプ グプッ ゴップ…
唾液で溢れる口でペニスを咥え込み、口と右手を使い上下に素早く扱く。
「んぐぅ……んぐっ! んっ! ん……んぷ……んむっ!」
「はぁっ……っあ! ……は……っ! ……!」
配達員は自分の声が漏れた瞬間、何かを覚悟したかのように目つきが変わり、膝立ちしたかと思うと、右手指を口に含み唾液まみれになった人差し指と中指を研哉のアナルへと伸ばした。
ゆっくりと優しく触れ、解し始める。
「んっ……あっ、お兄さんの指太い!」
「…牧山さん……おかしくなんか、無いですよ。俺だって……同じです」
研哉はこれから始まるコトを察したのか、感じるがままに、声を、唾液を駄々漏らす。
こうして、後ろを解されるのは初めてではなかった。
二年前に付き合っていた元彼と、こういった『行為』は頻繁にしていたが、かなりご無沙汰だ。
既に高揚した気持ちと、期待に満ち溢れ、落ち着かない。
気になっていたお兄さんをとうとう『誘って』しまった訳で。こうして今、互いに愛撫し合っていることが本当に奇跡だと思う。
そして意を決してその言葉を放つ。
「お兄さん……セックス……したい………です」
言った、言えた。
言ってしまった。
配達に来て、どのくらい経っただろう……お兄さんのシルバーの腕時計を盗み見ようと思ったが、ちょうど視線を遮られ、迫るキスに夢中になった。
研哉は全裸のまま、対面座位の状態で両腕を彼の首後ろに回す。
アナルには、ずっぽりと太いペニスが既に中をいっぱいに満たしていた。
ペニスが出たり入ったりして、唾液でジュクジュクになったそこから、厭らしい水気を帯びた猥雑な音が聞こえてくる。
「はぁあ…は…! …んぁ……ああ!!」
研哉が呼吸を乱し感じながら、のけ反る。
口端から唾液が垂れて、はぁ、はぁと全身で力強く隆々としたペニスを全身で一生懸命に受け止めると、自らゆっくりと動き始める。
配達員が自分の首に回された腕を舐めると、研哉はそれに応えるかのように身体を痙攣させ声を漏らした。
「ひっ…ぅ…!」
「…可愛い……俺の…こんなに咥えてくれる…嬉しいです」
「…セックス…するの久しぶりで…あっん!! おれも…嬉しい……お兄さんと……ずっとしたかった…ぁあ! …あっ!」
研哉の腕をチュウチュウと吸い、ぎゅっと愛しそうに抱き上げると、喉元にキスをする。
「……牧山さん……俺が……その気持ちに……気付いてないとでも……思った? ふっ! っ! んっ!んっ!」
腰を一定間隔で研哉の中を突き続けると、身体はその勢いで上下に揺さぶられ、ひぃひぃと悦びながら乱れていく。前髪がふわふわと揺れ、汗で肌に張り付き始めた。
ズッズッズッズッズッズッズッズッズッ
「うぅう! んっ!! ひぃい! ……んっ……! きも……ち……いぃ……い!!」
右手を彼の方に添えながら、左手で自身のペニスをそっと扱く。
なんの変哲もない、配達員と受取人という関係が、一つの配達物をきっかけに身体を交わらせている。
真夏の日中、ベタベタになりながら、玄関でセックスを楽しむ二人。
ジュッ ジュプッ ジュジュ ジュップ ジュッ ジュプ…ッ
唇が重なる。
腰を打ち上げられ、反動で身体が揺れ動いても唇だけは離さなかった。舌が絡み合う。
「んんん~~……っ! んん」
腰づかいはもっと最深部へと突き上げ始める。
ジュップッ ジュップッ ジュップッ
「んっ……んんっ!!! ……はあっ! ……すきぃ……! ……お兄……さんっ!!」
「平気? ……まだいける?」
「う……! 奥、強く突かれるの……すごく……うっ……ぃい……!!」
「もっと抱いていたい……けど!! 次の配送が……あ……っく! ……うっ!!」
二人は激しく繋がりながら、手を強く握り合う。
ジュップッ ジュップッ ジュップッ
「ああっ! ひあぁ! ……もうすこし、で……俺イきそう……っ!!」
「俺も……っ!! 中、出してもいい……ですか……っ!」
「ちょ……だい! ちょうだい! ……お兄さんのあっついの、俺のおしりのなか! に! 出して……ぇっ!」
研哉の臀部を両手で浮かせると、自身のペニスを激しく高速で上下させる。
ズチュズチュズチュズチュズチュズズズズズズ……ッッッ
「ぁあん~っ!!! ああっ! ひぃ! うぐぅ! い……っイグ……イッッグぅう~~~ぅうっ!!!!」
ビュルルルルゥ……ッ ビュルッ……!!
「んんんんん~~~~っっ!!!!」
熱い精液が、ドピュドピュと体内にたっぷりと注がれる。接合された、アナルとペニスがヒクヒクし合って、体内に伝わってくるその感覚がとにかく愛しくて…多幸感でいっぱいになる。
玄関先に二人の精液がパタパタと飛び散り、滴った。
二人の影は共に横たわり恍惚な表情を浮かべ、激しく乱れる呼吸で胸部が上下に動く。
「おにいさん……まだ抜かないで? もうちょっとだけこのままで……、はぁ……いっぱい……出ちゃった。……ぁ……う」
そう言うと研哉は彼の繋いだままの手をギュッと握った。
密着した彼の胸部から熱い鼓動が…トクントクンと伝わってくる…。俺の鼓動も…伝わってるのかな。
互いに見つめ合うと、何も言葉を交わすことなく、強く抱きしめ合った。
「はい、いいですよ。……俺も、たくさん中に……出しちゃいました……」
研哉の乱れ切った髪を鼻で少し避けると、彼は耳元で囁いた。
「牧山さん……昨晩、朝まで抜いてたでしょ。Tシャツの端、後で見てごらん、精液の跡あるから」
「ううっ!!??」(エコー)
研哉はこのとき、恥ずかしさで、死んだ。
イッた後に、別の要因で、死んだ。
彼はふふっ、と笑うと、研哉の頭をわしゃわしゃっと撫で、頬にキスをした。
「いま……今言うんですか、それ……恥ずかしすぎるよ……」
研哉はころんと横向きの体勢になると、しゅんと縮こまり両手で顔面を覆い隠した。耳が真っ赤だ。
「あははは! 今度は二の腕とか筋肉だけじゃなくて……『俺』もちゃんと見てくださいね。牧山さん……俺、もう離しませんから」
指の隙間からお兄さんをチラリと覗き見た。すると、彼は爽やかにウインクをする。
はぁ……大好き。
お兄さん。
俺……完全に……落ちています。
脱衣場の洗面台。
流水で浸したフェイスタオルをぎゅーっと搾る。
そしてそのままお兄さんに渡した。
「あ~……冷たくて気持ちいい」
「本当に、シャワー浴びない? いいの?」
「ありがとう。はい、大丈夫です。少しばかり長居してしまったので、残りの仕事、頑張らないと」
「そっか、ごめんね」
「謝らないでください。それに、また……すぐ会えますよ」
彼は微笑み、少し名残惜しそうだった。
若干の汗なら、炎天下のせいにできる。と言い、次の配達先へと去っていった。
そして、研哉はその姿を見送る。
玄関のドアがパタン、と閉まり、先程まで喘ぎ声と吐息で溢れていた玄関に、いつものような静けさが戻る。
別に
寂しくなんか。
「……」
それから
シャワー…やっぱり貸してあげたら良かったかな。
配達はあとどのくらいあるんだろう。
次は一番最後に届けてくれたりしないかな。
また本当に会えるかな。
なんて、彼のことばかり気にしていた。
クタクタになったハーフパンツとTシャツ姿で荷物を両手に持ち、部屋の中へと運んできた。
「う……流石に腰が」
そう言えば、お兄さん言ってたな。
シャツの端に精液が…付着してるって。
俺はTシャツの端をバッと広げ手前、側面、背後を見回す。
「うっわ! 本当に……付いてるじゃん……よく気付いたな……。え、恥っっず、かし」
黒いTシャツで余計に目立ってしまっていた裾の精液は、カッピカピになっていた。
中身確認したらシャワー浴びよう…。
段ボールの包装を解き、開封する。
「来た、待ちに待った。フェチ本」
本当はプログラミング言語の分厚い書籍を数冊購入するだけだった。それが、ゲイ向け雑誌と書籍、ついでにフェチ本もかなり買い漁ってしまっていた。
パラパラとめくるとフェチ特集項目が目に留まる。
そこには男性著者の写真がズラリと掲載されていた。
こんなに自分の知らない未知の世界が広がっているのか…と、わくわくしてくる。
ふと、一人に目が留まる。
「……Rengo Sakata……。……さかた……れんご……え?あれ?わ!!?あーーっ!!!?」
研哉は雄叫びを上げる。
先程まで共に身体を重ね合っていた彼がそこにいたからだ。
ハーフパンツのポケットに押し込んだ受領書に担当の記載が無いか、そしてデスクの横にある引き出しからも過去の不在票を念のため確認してみた。
そこには
『左方』
の文字があった。
これ……まさか、この『Sakata』さんってこと?
「本当に、左方さん……っ!!?」
その後、洗濯機を回している間にシャワーを浴びる。
左方と抱き合う妄想をしながら、中出しされた精液を掻き出すと、肩を舐め、懲りずにペニスを右手で扱き、自慰に励む。
「……んっ……他に……何か注文するもの、探さなきゃ。気になってた玩具、欲しいものリストに……ぁっ……入れて……たっけ」
またすぐにでも、お兄さん……左方さんに会いたい。
早く彼に会いたい気持ちを募らせながら、シャワーの水飛沫の中で、二の腕に舌を這わせる。
強く吸い上げて、荒い息遣いで甘噛する研哉の表情は、溢れる快感の波に、今にも溺れそうになっている。
「左方さん……左方さん……」
自室の掛け時計の針が正午を指すが、研哉がそれに気付くのはもう少し、あとの話。
数時間後
ここは、牧山の自宅にほど近いコンビニ。
灼熱の太陽が、まだまだ路上を照らし続ける。
既に混雑する時間帯は過ぎ、陳列された商品が疎らになっている。
冷やしうどんの棚は、ちょうど『品切れ』状態だ。
店舗の駐車場に停車した一台の配送車。
運転席から、クシャミをする男性の声。
麺をすする音が聞こえる。
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