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25.変容 ① 【挿絵あり】
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Bar One Humpを後にした僕は、一路、仁くんの病室を目指す。途中、トゥクルカに連絡を入れたら、少しだけ時間が取れると言うので同伴することにした。
それにしても、このタイミングで気付けて良かった。彼の転院がスムーズに進んでたら、二度手間三度手間になるところだったからな。
スクェア・エッダのフリースペースで合流したトゥクルカは、ひどく消耗した様子だった。いつも通りのタイトなシニヨンヘアで、漆黒のスーツとローヒールのパンプスを身に着けた隙のない出で立ちだが、明らかに顔色が悪い。肌荒れや目の下のクマもメイクでカバーしきれておらず、まるで“在りし日のあの人”を彷彿させる。
「あららー、トゥクルカさん、“三徹目の副代表”みたいな顔になってますよ。不快指数80オーバー確実ですね」
場を和ませようとジョークを飛ばしたら清々しいくらい無視されたので、体調が悪いのではと気遣ったところ、これでもずいぶん回復したのだそうな。ところがタスクが山積みで休む暇もないため、結果的にプラマイゼロ(むしろマイナス)になっているらしい。
そういや連絡員も減ってて、最近は何人もの処刑人を一人で担当しなきゃならなくなってるからな。僕も4人ほど掛け持ちしているんだけど、全員、問題児ばかりだ。公安の協力者でもある野ウサギと、微妙な立場に置かれている凌遅だけでもキツいのに、その他2名もクセが強いトラブルメーカー達だから全然気が休まらない。
組織がこんなになる前は、一人の処刑人に一人のリエゾンが付くのが基本だった。もちろんヴィネみたいな例外もいたが、一対一でじっくり信頼関係を築いて行けたから問題も起こりにくかった。
それが最近はフラストレーションを溜めた処刑人達の暴走が相次いでいて、その対応にも追われてる。参るよな、まったく。
目的地に着くと、病室にはピカナの姿があった。
「あ、ベリトさん、お疲れ様です。トゥクルカさんも」
彼女はトレードマークだったハイトーンピンクの髪をアッシュグレーにし、落ち着いた格好をしていた。どこかアンニュイな表情を浮かべていることもあり、普段よりグッと大人びて見える。
「お疲れ様でーす。髪色、変えました? 似合ってますよ」
「ありがとうございます。季節も変わったんでイメチェンしようかなって。でも、ちょっと後悔してるんですよね……」
ピカナは苦笑しながら、視線をベッドに移す。ベルフェゴールは壁を向いて横になっており、表情は見えない。
「なんか、ベルフェゴールさん、私のことわからなくなっちゃったみたいで……」
「え?」
僕とトゥクルカが同時に反応する。
「どういうことですか」
「このところ、お部屋を訪ねるとすぐに“おねえちゃん”ってニコニコしてくれてたんですけど、今日は反応なくて。声かけてもずっとぼーっとしたまま首傾げるだけなんですよ……」
一瞬、病状が悪化したのかと思ったが、ピカナ曰く、髪色と服のテイストを変えたから記憶の中の自分と一致しないのではとのこと。
「今回のイメチェンも、副代表にもっとカワイイって思われたくて頑張ったのに、せっかく覚えてもらってたのが台無しになったのかなって思ったら、ちょっとショックで……」
「なるほどー。それはガッカリしますね。でも、また覚えてもらえばいいじゃないですか。副代表に配慮し過ぎておしゃれを犠牲にするのは建設的じゃありませんよ。何なら別の方法、一緒に考え──」
「ベリトさん、そろそろ……」
全力で理解を示す僕の脇腹をトゥクルカが小突いた。
そうだそうだ、こんなことしている場合じゃなかった。
それにしても、このタイミングで気付けて良かった。彼の転院がスムーズに進んでたら、二度手間三度手間になるところだったからな。
スクェア・エッダのフリースペースで合流したトゥクルカは、ひどく消耗した様子だった。いつも通りのタイトなシニヨンヘアで、漆黒のスーツとローヒールのパンプスを身に着けた隙のない出で立ちだが、明らかに顔色が悪い。肌荒れや目の下のクマもメイクでカバーしきれておらず、まるで“在りし日のあの人”を彷彿させる。
「あららー、トゥクルカさん、“三徹目の副代表”みたいな顔になってますよ。不快指数80オーバー確実ですね」
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そういや連絡員も減ってて、最近は何人もの処刑人を一人で担当しなきゃならなくなってるからな。僕も4人ほど掛け持ちしているんだけど、全員、問題児ばかりだ。公安の協力者でもある野ウサギと、微妙な立場に置かれている凌遅だけでもキツいのに、その他2名もクセが強いトラブルメーカー達だから全然気が休まらない。
組織がこんなになる前は、一人の処刑人に一人のリエゾンが付くのが基本だった。もちろんヴィネみたいな例外もいたが、一対一でじっくり信頼関係を築いて行けたから問題も起こりにくかった。
それが最近はフラストレーションを溜めた処刑人達の暴走が相次いでいて、その対応にも追われてる。参るよな、まったく。
目的地に着くと、病室にはピカナの姿があった。
「あ、ベリトさん、お疲れ様です。トゥクルカさんも」
彼女はトレードマークだったハイトーンピンクの髪をアッシュグレーにし、落ち着いた格好をしていた。どこかアンニュイな表情を浮かべていることもあり、普段よりグッと大人びて見える。
「お疲れ様でーす。髪色、変えました? 似合ってますよ」
「ありがとうございます。季節も変わったんでイメチェンしようかなって。でも、ちょっと後悔してるんですよね……」
ピカナは苦笑しながら、視線をベッドに移す。ベルフェゴールは壁を向いて横になっており、表情は見えない。
「なんか、ベルフェゴールさん、私のことわからなくなっちゃったみたいで……」
「え?」
僕とトゥクルカが同時に反応する。
「どういうことですか」
「このところ、お部屋を訪ねるとすぐに“おねえちゃん”ってニコニコしてくれてたんですけど、今日は反応なくて。声かけてもずっとぼーっとしたまま首傾げるだけなんですよ……」
一瞬、病状が悪化したのかと思ったが、ピカナ曰く、髪色と服のテイストを変えたから記憶の中の自分と一致しないのではとのこと。
「今回のイメチェンも、副代表にもっとカワイイって思われたくて頑張ったのに、せっかく覚えてもらってたのが台無しになったのかなって思ったら、ちょっとショックで……」
「なるほどー。それはガッカリしますね。でも、また覚えてもらえばいいじゃないですか。副代表に配慮し過ぎておしゃれを犠牲にするのは建設的じゃありませんよ。何なら別の方法、一緒に考え──」
「ベリトさん、そろそろ……」
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