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9.慈悲 ⚠ 【挿絵あり】
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※ゼロ距離描写があります。
「──タバコ、一本もらってもいい?」
僕の申し出を彼女は快諾してくれた。
「いいよ。お金出してもらっちゃったし」
彼女は提げていたマルニのミニショルダーからロエベのシガレットケースを取り出すと、「今夜の思い出に」と言って一本手渡してくれた。
彼女と別れた後、僕は街の中を少し歩く。頬を撫でる夜風が心地好い。
手の中にはあの人の愛するタバコがあり、鼻の奥にはまだあの匂いが残っている。
ああ、そういや、前に一度だけ、間近で“味わった”ことがあったっけ。
発端はいつもの思い付き。あの人の仮眠中に突撃して、安眠妨害してやろうと画策した時の話なんだけどね。
その日も彼は、エグゼクティブルームの隅に置かれたソファに横たわっていた。トレードマークのガウンをブランケット代わり、パンダのぬいぐるみを抱き枕の代わりにして、静かに寝息を立てている。
ウカツだなー、いくらドアを閉めたら自動で施錠されるオートロック式だからって、幹部や専任のジャニターなら出入り自由のこんな場所で意識手放しちゃって……身内を信用し過ぎ。だから僕みたいなヤツに付け入られるんだよw
最初は額に指を近付けたり、持参した猫じゃらしで顔くすぐったりしてたんだけど、不愉快オーラ発するだけで全然起きなかった。
あんまり起きないもんだから、どこまで耐えられるのか調べてみたいと思って、ほっぺや鼻を摘まんだりしてみた。
ところが、彼は眉間に軽く皺を寄せて横を向くだけだった。
今にして思えば、相当疲れてたんだろうな。
そうこうするうち、彼の寝顔がすごく綺麗なことに気が付いた。眼鏡をかけたままだったからそっと外して、形のいい眉とマッチ棒が余裕で乗るレベルの長いまつげを指でなぞった。それでも起きる気配がまったくない。
カフェイン依存に砂糖依存、ヤニカス、陰キャの四重苦なのに、見た目だけは完璧なんだよなー。
考えてみたら、栄養不良に運動不足、睡眠不足も続いてるはずだよね。こんな体に悪いことばっかしてて、なんで劣化しないの?
「わけわからん、この人……」
ゆるくウェーブがかった髪を撫で、触り心地抜群の唇をふにふに愛でていたら、何故だか胸が騒ぐのを感じた。
当時の僕は“その感覚”を“ガードの固い彼を弄りまわせる状況が楽し過ぎたせいだ”と認識してたんだけど、そうじゃなかったのかも。
だからノリにまかせてあんな真似しちゃったんだろうな。
「こんなに無防備だと、襲われちゃいますよー? ベルフェゴールさん……」
僕は彼が寝返りをうったタイミングで、少しずつ少しずつパンダのぬいぐるみの位置をずらす。そして膝を付き、彼の左脇の辺りに出来たスペースに上体を沿わせた。ちょうど腕枕みたいな格好になり、ゆっくりと上下する胸から心音が伝わる。呼吸に合わせて、あの銘柄特有の香ばしい匂いが漂ってきた。
それを感じ取った途端、何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
あー、やば……なんでだろ、なんか、泣きそう。
背徳感と満足感、謎の達成感が頭の中を駆け巡り、目頭が熱くなった。
その時だ。
「……ん……」
鼻に抜けるような彼の声がして、はっと我に返る。
ちょちょちょ……何やってんだw
慌てて身を引いた瞬間、彼の瞼がうっすらと開く。
彼は僕と目が合うと、両眼を細めてイヤそうな顔をした。
「……何? 何か用か……」
よかったー。ついさっきまでゼロ距離になってたの、気付かれてないっぽいw
というか、寝起きのやや掠れた声が途方もなく色っぽい。この人は存在自体がセクシーすぎて、他人の感覚をバグらせる気がする。
「いえいえ、何でも……」
僕は動揺を悟られまいと、にっこり微笑んだ。
「貴方があんまり気持ちよさそうに寝ているんで、微笑ましくなっただけですよ」
「……用がないなら、帰ってくれるか……」
彼は声に不機嫌を滲ませ、胸元までずり落ちていたガウン(ほんとは僕が引き下ろしたんだけどw)を掛け直す。
「あはは、体力なくなって来た中高年にとって、貴重な休憩時間ですもんねー。せいぜいのんびりカラダ休めてくださいな」
冗談で煙に巻こうとしたら、彼は無表情のままこちらを見つめて、予期せぬ言葉を返して来た。
「……顔、赤いな。息も荒いし……熱、あるんじゃないか……」
え、ウソっ、そんな顔に出てたか?
固まる僕を余所に、彼は手探りで眼鏡を見つけると、ソファから身体を起こした。のろのろとパソコンデスクへ向かい、引き出しを開けて小さな物体を取り出す。さらに、デスクの端に置かれていた箱の中から何かを摘まみ上げ、こちらに戻って来た。
「……ほら」
彼が差し出して来た手には、アセトアミノフェン系の解熱鎮痛剤と個包装のたまごボーロが乗っていた。
「えっ、くれるんですか?」
「……水は、自分で調達して……」
彼はそう言いながら僕にそれらを手渡した。
てか、なんでお菓子まで?
僕が不思議がっていたのが伝わったのか、彼は怠そうに息を吐きつつ、
「……この手の薬は、空腹時に飲むと胃いわす可能性あるから……」と説明した。
「ん? “いわす”って?」
耳慣れない言葉に首を傾げていたら、
「……ああ、え、と……“痛める”、ってこと……」と補足が入った。
彼は関西出身だけど、基本的に共通語で話す。だから国の言葉を聞けたのが嬉しくて、つい頬が緩んでしまった。
それを見た彼が、
「……いつまでツボってるの……」
少しきまり悪そうにつぶやく。そして、
「……今日はもう休んだ方がいいよ……引き継ぎだけ、ちゃんとして……」と続けると、再びパンダを抱えてソファに身体を横たえた。
「ど、どうも……」
彼の思いがけない気遣いと、警戒が緩んだ自然な姿を目の当たりにした僕は、いろいろテンパってそう返すのがやっとだった。
こっちは寝込みを襲ったようなものなのにさ、恥ずかしいったらなかったよ。
弱ってる相手には、何だかんだ優しいんだよな。そういうところ、変わってないわ、まじで……。
今わかった。やっぱ、僕はあの人が好きなんだ。
信じてもらえるか怪しいけど、恋愛対象としてってわけじゃない。何ていうのかな……完璧な見た目はもちろん、不器用な生き方もさり気ない思いやりも、全部まとめて“彼”という人間を形作る要素なんだと素直に受け入れられる。
心が壊れて昔と距離感が変わっても、生得的な魅力は変わらない。
だからもっと関わりたい。もっと彼の中身を引き出したい。何より……もっと、人生を楽しませてやりたい──。
それをあいつら、むざむざ傷付けやがった。
ようやく笑えるようになったあの人を甚振られて、形式的な謝罪と配置換えで無かったことにするとかさ……そんなふざけた話はないよな。
気が付けば周囲には人通りがなくなっていた。街はずれまで来ていたみたいだ。
「…………」
僕は携帯端末を取り出し、ある人物に連絡を入れた。
「お疲れ様です。今、お時間よろしいですか? 折り入ってご相談したいことがあるんですよね」
「──タバコ、一本もらってもいい?」
僕の申し出を彼女は快諾してくれた。
「いいよ。お金出してもらっちゃったし」
彼女は提げていたマルニのミニショルダーからロエベのシガレットケースを取り出すと、「今夜の思い出に」と言って一本手渡してくれた。
彼女と別れた後、僕は街の中を少し歩く。頬を撫でる夜風が心地好い。
手の中にはあの人の愛するタバコがあり、鼻の奥にはまだあの匂いが残っている。
ああ、そういや、前に一度だけ、間近で“味わった”ことがあったっけ。
発端はいつもの思い付き。あの人の仮眠中に突撃して、安眠妨害してやろうと画策した時の話なんだけどね。
その日も彼は、エグゼクティブルームの隅に置かれたソファに横たわっていた。トレードマークのガウンをブランケット代わり、パンダのぬいぐるみを抱き枕の代わりにして、静かに寝息を立てている。
ウカツだなー、いくらドアを閉めたら自動で施錠されるオートロック式だからって、幹部や専任のジャニターなら出入り自由のこんな場所で意識手放しちゃって……身内を信用し過ぎ。だから僕みたいなヤツに付け入られるんだよw
最初は額に指を近付けたり、持参した猫じゃらしで顔くすぐったりしてたんだけど、不愉快オーラ発するだけで全然起きなかった。
あんまり起きないもんだから、どこまで耐えられるのか調べてみたいと思って、ほっぺや鼻を摘まんだりしてみた。
ところが、彼は眉間に軽く皺を寄せて横を向くだけだった。
今にして思えば、相当疲れてたんだろうな。
そうこうするうち、彼の寝顔がすごく綺麗なことに気が付いた。眼鏡をかけたままだったからそっと外して、形のいい眉とマッチ棒が余裕で乗るレベルの長いまつげを指でなぞった。それでも起きる気配がまったくない。
カフェイン依存に砂糖依存、ヤニカス、陰キャの四重苦なのに、見た目だけは完璧なんだよなー。
考えてみたら、栄養不良に運動不足、睡眠不足も続いてるはずだよね。こんな体に悪いことばっかしてて、なんで劣化しないの?
「わけわからん、この人……」
ゆるくウェーブがかった髪を撫で、触り心地抜群の唇をふにふに愛でていたら、何故だか胸が騒ぐのを感じた。
当時の僕は“その感覚”を“ガードの固い彼を弄りまわせる状況が楽し過ぎたせいだ”と認識してたんだけど、そうじゃなかったのかも。
だからノリにまかせてあんな真似しちゃったんだろうな。
「こんなに無防備だと、襲われちゃいますよー? ベルフェゴールさん……」
僕は彼が寝返りをうったタイミングで、少しずつ少しずつパンダのぬいぐるみの位置をずらす。そして膝を付き、彼の左脇の辺りに出来たスペースに上体を沿わせた。ちょうど腕枕みたいな格好になり、ゆっくりと上下する胸から心音が伝わる。呼吸に合わせて、あの銘柄特有の香ばしい匂いが漂ってきた。
それを感じ取った途端、何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
あー、やば……なんでだろ、なんか、泣きそう。
背徳感と満足感、謎の達成感が頭の中を駆け巡り、目頭が熱くなった。
その時だ。
「……ん……」
鼻に抜けるような彼の声がして、はっと我に返る。
ちょちょちょ……何やってんだw
慌てて身を引いた瞬間、彼の瞼がうっすらと開く。
彼は僕と目が合うと、両眼を細めてイヤそうな顔をした。
「……何? 何か用か……」
よかったー。ついさっきまでゼロ距離になってたの、気付かれてないっぽいw
というか、寝起きのやや掠れた声が途方もなく色っぽい。この人は存在自体がセクシーすぎて、他人の感覚をバグらせる気がする。
「いえいえ、何でも……」
僕は動揺を悟られまいと、にっこり微笑んだ。
「貴方があんまり気持ちよさそうに寝ているんで、微笑ましくなっただけですよ」
「……用がないなら、帰ってくれるか……」
彼は声に不機嫌を滲ませ、胸元までずり落ちていたガウン(ほんとは僕が引き下ろしたんだけどw)を掛け直す。
「あはは、体力なくなって来た中高年にとって、貴重な休憩時間ですもんねー。せいぜいのんびりカラダ休めてくださいな」
冗談で煙に巻こうとしたら、彼は無表情のままこちらを見つめて、予期せぬ言葉を返して来た。
「……顔、赤いな。息も荒いし……熱、あるんじゃないか……」
え、ウソっ、そんな顔に出てたか?
固まる僕を余所に、彼は手探りで眼鏡を見つけると、ソファから身体を起こした。のろのろとパソコンデスクへ向かい、引き出しを開けて小さな物体を取り出す。さらに、デスクの端に置かれていた箱の中から何かを摘まみ上げ、こちらに戻って来た。
「……ほら」
彼が差し出して来た手には、アセトアミノフェン系の解熱鎮痛剤と個包装のたまごボーロが乗っていた。
「えっ、くれるんですか?」
「……水は、自分で調達して……」
彼はそう言いながら僕にそれらを手渡した。
てか、なんでお菓子まで?
僕が不思議がっていたのが伝わったのか、彼は怠そうに息を吐きつつ、
「……この手の薬は、空腹時に飲むと胃いわす可能性あるから……」と説明した。
「ん? “いわす”って?」
耳慣れない言葉に首を傾げていたら、
「……ああ、え、と……“痛める”、ってこと……」と補足が入った。
彼は関西出身だけど、基本的に共通語で話す。だから国の言葉を聞けたのが嬉しくて、つい頬が緩んでしまった。
それを見た彼が、
「……いつまでツボってるの……」
少しきまり悪そうにつぶやく。そして、
「……今日はもう休んだ方がいいよ……引き継ぎだけ、ちゃんとして……」と続けると、再びパンダを抱えてソファに身体を横たえた。
「ど、どうも……」
彼の思いがけない気遣いと、警戒が緩んだ自然な姿を目の当たりにした僕は、いろいろテンパってそう返すのがやっとだった。
こっちは寝込みを襲ったようなものなのにさ、恥ずかしいったらなかったよ。
弱ってる相手には、何だかんだ優しいんだよな。そういうところ、変わってないわ、まじで……。
今わかった。やっぱ、僕はあの人が好きなんだ。
信じてもらえるか怪しいけど、恋愛対象としてってわけじゃない。何ていうのかな……完璧な見た目はもちろん、不器用な生き方もさり気ない思いやりも、全部まとめて“彼”という人間を形作る要素なんだと素直に受け入れられる。
心が壊れて昔と距離感が変わっても、生得的な魅力は変わらない。
だからもっと関わりたい。もっと彼の中身を引き出したい。何より……もっと、人生を楽しませてやりたい──。
それをあいつら、むざむざ傷付けやがった。
ようやく笑えるようになったあの人を甚振られて、形式的な謝罪と配置換えで無かったことにするとかさ……そんなふざけた話はないよな。
気が付けば周囲には人通りがなくなっていた。街はずれまで来ていたみたいだ。
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「お疲れ様です。今、お時間よろしいですか? 折り入ってご相談したいことがあるんですよね」
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