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12.きな臭い話
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「……何だったんでしょうか、今の……」
トゥクルカはまだ足元が覚束なくて、僕の肩に縋りながら歩を進める。彼女、小柄だから、僕よりダメージデカいみたいだ。
「さあ、何だったんでしょうねー……」
僕は鼻で笑いながら、思考を巡らせる。
これ、どっからどう見ても“事故死演出コース”じゃん。
応接室で待機中の僕らが何らかの原因で意識喪失→機材トラブルで“たまたま”誰も気付かず、発見が遅れ……ってことにしたかったんだろうね。
一酸化炭素中毒なら、死因に関しても「ストレスや疲労で突然気を失った」とか「持病が悪化した」みたいな言い訳がきくし、「部屋の管理ミスで空調の不具合があった」程度に処理されやすい=隠蔽に適してる。
なるほどね。
アイデアとしては悪くないけど、碌に手入れされてないこんな有り合わせの設備でどうにか出来ると思われてるとか、僕らどんだけ舐められてるんだろうな。ムカつくわ……。
それにしても、これは誰の差し金だ……?
ここの施設長? いやいや、あり得ないね。そりゃちょっとは脅したけどさ、まだ話し合いすらしてない時点でこんな過激なことするとは思えない。下手すりゃ警察沙汰になって、公にしたくない事柄が露呈する恐れもあるもんね。
じゃあ、敵対組織の人間か? これもどうかな。うちはアングラな領域で未だに影響力あるけど、凌遅の裏切りで規模は最盛期の半分以下だ。特に揉めてる話も聞こえてこないし、そもそも一会員にすぎない僕らを始末して得する道理はない。
それなら、内部の人間の仕業だったりする? 僕はみんなと仲良くやれてるつもりだったんだけど、どこで恨み買ってるかわからないもんなー。
例えば、“LR×D崩壊の直接的な原因になった凌遅と懇意にしてるから”とか、“お前が組織の要だった副代表にショッキングな映像を見せたせいで、ガチのメンブレ起こしたんだぞ、余計なことしやがって!”とか……?
うーん、どっちもありそーw
こういう大掛かりな計画を差配できそうなのは幹部だけど、バエル代表が死んで副代表が壊れて、ヨーロッパ支部長だったベルゼビュートは独立しちゃったから、残ったのはベリアル“代表代行”。でも、彼は自他共に認める裏方向きで目立ちたがらないし、争いごとも好まない。地位や名誉にも無頓着なんで、可能性はほぼゼロだ。
あれこれ想像するうち、どうにもきな臭い話が見えてきた。
本当にヤバいのは、“友好的に見えて、腹の中で何考えてるかわからないヤツ”。
あとは“本部に籍を置きつつ、実質、別の“上”と繋がってるヤツがいた場合”なんだよね。
実はこれに心当たりがある。
それが、本部の“情報システム部”。
ここはトゥクルカも出入りしている部署の一つで、表向きは「情報漏洩の監視」をしている。だが、裏では「危険人物の記録抹消」や「不都合な証言者の消去」など、汚れ仕事も担っている。
ベルフェゴール直属の“掃除屋”が実働部隊だとしたら、彼らが担当しているのは後方支援だ。
以前はすべて副代表が統括していたが、現在それを束ねているのは“部長”のアガリアレプト。名目上は事務方のリーダーだけど、実は裏ルートの情報・予算を掌握していて、医療施設とのパイプも持っており、ベルゼビュートと昵懇だった過去まである。ベルゼビュートは独立後、沈黙を守ってる。でも、あの人のことだ、内通するくらい余裕だろうな。
有り体に言えば、めちゃくちゃ怪しい。ただ、今のところそんな情報はどこからも入ってきてない。
第一、トゥクルカは“情報システム部”に親しい同期が何人もいる。おまけに彼らはみんな型にハマらないタイプだから、何かあれば彼女にも共有してくれるのがいつものパターンなんだよね。
あらぁ。これ、意外と根が深いぞ。
僕は苦笑いを浮かべる。
わかったよ。だったら黒幕の正体や目的、根こそぎあぶり出してやる。
何せ、僕は大の負けず嫌いだ。こんな目に遭わされておとなしく引き下がるほど、お育ちが良くないんでね。
それに加えて、良く回る頭とフットワークの良さ、幅広い人脈にコミュ力、そして“面白い事態に繋がるであろう事柄に関しては絶対に外さない直感”という、最強の処世スキルを備えてるんだ。
どこのどいつか知らないけどさ、この僕にケンカを売ったこと、死ぬほど後悔させてやるよ。
今回の借りはいずれウン万倍にして返すから、楽しみにしてろよなー☆
トゥクルカはまだ足元が覚束なくて、僕の肩に縋りながら歩を進める。彼女、小柄だから、僕よりダメージデカいみたいだ。
「さあ、何だったんでしょうねー……」
僕は鼻で笑いながら、思考を巡らせる。
これ、どっからどう見ても“事故死演出コース”じゃん。
応接室で待機中の僕らが何らかの原因で意識喪失→機材トラブルで“たまたま”誰も気付かず、発見が遅れ……ってことにしたかったんだろうね。
一酸化炭素中毒なら、死因に関しても「ストレスや疲労で突然気を失った」とか「持病が悪化した」みたいな言い訳がきくし、「部屋の管理ミスで空調の不具合があった」程度に処理されやすい=隠蔽に適してる。
なるほどね。
アイデアとしては悪くないけど、碌に手入れされてないこんな有り合わせの設備でどうにか出来ると思われてるとか、僕らどんだけ舐められてるんだろうな。ムカつくわ……。
それにしても、これは誰の差し金だ……?
ここの施設長? いやいや、あり得ないね。そりゃちょっとは脅したけどさ、まだ話し合いすらしてない時点でこんな過激なことするとは思えない。下手すりゃ警察沙汰になって、公にしたくない事柄が露呈する恐れもあるもんね。
じゃあ、敵対組織の人間か? これもどうかな。うちはアングラな領域で未だに影響力あるけど、凌遅の裏切りで規模は最盛期の半分以下だ。特に揉めてる話も聞こえてこないし、そもそも一会員にすぎない僕らを始末して得する道理はない。
それなら、内部の人間の仕業だったりする? 僕はみんなと仲良くやれてるつもりだったんだけど、どこで恨み買ってるかわからないもんなー。
例えば、“LR×D崩壊の直接的な原因になった凌遅と懇意にしてるから”とか、“お前が組織の要だった副代表にショッキングな映像を見せたせいで、ガチのメンブレ起こしたんだぞ、余計なことしやがって!”とか……?
うーん、どっちもありそーw
こういう大掛かりな計画を差配できそうなのは幹部だけど、バエル代表が死んで副代表が壊れて、ヨーロッパ支部長だったベルゼビュートは独立しちゃったから、残ったのはベリアル“代表代行”。でも、彼は自他共に認める裏方向きで目立ちたがらないし、争いごとも好まない。地位や名誉にも無頓着なんで、可能性はほぼゼロだ。
あれこれ想像するうち、どうにもきな臭い話が見えてきた。
本当にヤバいのは、“友好的に見えて、腹の中で何考えてるかわからないヤツ”。
あとは“本部に籍を置きつつ、実質、別の“上”と繋がってるヤツがいた場合”なんだよね。
実はこれに心当たりがある。
それが、本部の“情報システム部”。
ここはトゥクルカも出入りしている部署の一つで、表向きは「情報漏洩の監視」をしている。だが、裏では「危険人物の記録抹消」や「不都合な証言者の消去」など、汚れ仕事も担っている。
ベルフェゴール直属の“掃除屋”が実働部隊だとしたら、彼らが担当しているのは後方支援だ。
以前はすべて副代表が統括していたが、現在それを束ねているのは“部長”のアガリアレプト。名目上は事務方のリーダーだけど、実は裏ルートの情報・予算を掌握していて、医療施設とのパイプも持っており、ベルゼビュートと昵懇だった過去まである。ベルゼビュートは独立後、沈黙を守ってる。でも、あの人のことだ、内通するくらい余裕だろうな。
有り体に言えば、めちゃくちゃ怪しい。ただ、今のところそんな情報はどこからも入ってきてない。
第一、トゥクルカは“情報システム部”に親しい同期が何人もいる。おまけに彼らはみんな型にハマらないタイプだから、何かあれば彼女にも共有してくれるのがいつものパターンなんだよね。
あらぁ。これ、意外と根が深いぞ。
僕は苦笑いを浮かべる。
わかったよ。だったら黒幕の正体や目的、根こそぎあぶり出してやる。
何せ、僕は大の負けず嫌いだ。こんな目に遭わされておとなしく引き下がるほど、お育ちが良くないんでね。
それに加えて、良く回る頭とフットワークの良さ、幅広い人脈にコミュ力、そして“面白い事態に繋がるであろう事柄に関しては絶対に外さない直感”という、最強の処世スキルを備えてるんだ。
どこのどいつか知らないけどさ、この僕にケンカを売ったこと、死ぬほど後悔させてやるよ。
今回の借りはいずれウン万倍にして返すから、楽しみにしてろよなー☆
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