2 / 13
第一章
02.蒸気と歯車
しおりを挟む
ジムニーはジっとロンベルクを見つめていた。彼が話す一挙一動も逃すまいと思うあまりに前のめりになり、まるで威圧するかのような姿勢なってしまっているのだが……。
ジムニーは今日という日を待ち望んでいた。それは彼の夢そのものだった。
幼い頃から夢見ていた事が現実になる。それがどれだけ崇高で尊い事かジムニーは理解している。
この夢を叶えたものはこの世界でも僅かしか存在しないだろう。
何故ならば。――この世界の空は閉ざされてしまっているのだから。
「それで、先生……アレは完成したんですか?」
逸る気持ちを抑え切れず、ジムニーが先に言葉を切り出すとロンベルクは少し視線を逸した。
ジムニーも何となくその視線を追ってみるが先には窓があるだけだった。
裏路地に面したこの部屋からでは街並みを見ることは出来ない。見えるのは暗く重たい雲が犇めく薄暗い空だけだった。
ジムニーが視線をロンベルクに戻すと彼は頭を掻きながら弱々しく呟いた。
「まあ完成はした……一応はな」
煮え切らぬ顔でそう言うと部屋の隅にあるクローゼットへと歩み寄る、クローゼットの中には全く同じ形、同じ色の白衣ばかりが十着ほど並び、そこから一着を選んで取り出すと身に纏う。
「……一応は?」
ジムニーは訝しげな表情でロンベルクの言葉を繰り返す。いつも自信満々な物言いのロンベルクがこういった煮え切らない反応をするのは珍しかった。ロンベルクは「…ああ」と一言返すとそのまま言葉を続けた。
「一応だ。……ひとつだけ問題がある」
「……問題はというと?」
ロンベルクの言葉にまたも訝しげな表情を浮かべ、ジムニーは訊いた。
「ジムニー。君はスチームギアやガジェットがどういうものかをどれくらい知っている?」
「……えーっと。蒸気を変換したエネルギーを動力とした……独立型の最新機械ですよね?」
質問にたどたどしく答えるジムニー。その答えにロンベルクは大げさに天を仰ぐような仕草をして「20点だ」と言いそのまま言葉を続けた。
「それだけではこれまで世に出てきた大型の蒸気機関と何ら変わらない。君は一体何を私から学んできたのだ。」
ジムニーは今の答えのどこが悪いのか判らず頬を膨らませる。そして不満そうな顔を浮かべたままロンベルクに質問を返した。
「むぅ、それでは今までの蒸気機関とどのように違うんですか?」
「ふむ、蒸気機関、スチームギア、ガジェット、これらは確かにすべて蒸気の力を利用したものだ。……ではその蒸気のエネルギーはどこから抽出するのだね?」
「はい、蒸気機関は昔から変わらず主に石炭や石油などの化石燃料を熱源として利用しています。そしてスチームギア、ガジェットに関しては大型のものであれば同じく小型の蒸気機関を搭載することによって独立で起動させることが出来ます。……ですが小型の物、例えば、最新の工業用機械や家庭用の器具など比較的小さなガジェットに関してはエネルギー源の確保が難しく、現状は大型の蒸気機関に繋ぎ直接エネルギーを供給しながらでなければ起動させることが出来ません。」
ジムニーの答えに満足がいった様子で「ふむ、よろしい」と頷き、窓際の椅子に腰を落とすとそのまま続けた。
「スチームギアにしろガジェットにしろ、蒸気の力を使わなければそれらを使用する事は出来ない。確かにそれは今まで概出した蒸気機関と何ら変わらない。……が、大型のスチームギアは例外にしても、そのほとんどが本体にエネルギーを生み出すための機関を搭載していない。これは外部から蒸気のエネルギーを供給して起動させているからだ。だからこそこれらのスチームギアやガジェットは小型化することに成功したのだ」
「つまりスチームギアやガジェットはそれその物に蒸気を発生させる機関が存在しないというのが通常の蒸気機関との違いですか?」
ジムニーはそう答えると首ひねりながらそのまま続けた。
「んー、でも結局外部にある蒸気機関を利用しなければ起動することも出来ないのなら、やっぱり今までの物と大きな差はないのじゃないですか?外部にあるのか内部にあるのかの違いしかないんですから」
「確かにそうとも言える。だが、エネルギーさえ供給できればどこであれ単独で起動させることが出来る、つまりだっ!エネルギーを何らかの別の方法で生み出し供給する事が出来れば、大型の蒸気機関にわざわざ繋ぐ必要なくどこでも起動させる事が出来るという事だ。……わかるかね?」
未だ納得の行かない様子のジムニーは頭の中で何度もロンベルクの言葉を反芻する。
暫く考えたが答えは出ず、仕方なくお手上げのポーズを見せる。
ロンベルクはその仕草を見て椅子から立ち上がり一人しかいない聴衆を前にまるで演説をするかのように語りだした。
ロンベルクがこうやって語り始めると回りくどい上に話しが長くなることをジムニーは承知していたが、今更この男を止めることは出来ない事も同時に理解していた。
「ジムニーよ。現状、蒸気のエネルギーは全ての機会において必要不可欠だ。それにはどうしても大型の蒸気機関を必要とする。いくら独立型の機械を謳ったところで実際は蒸気機関とワンセットの代物だ。」
ジムニーが「はい」と頷くとロンベルクの演説に熱が入り始める。
「だがこの先の人類の発展の為には蒸気機関に代わる何か新しい方法が必要なのだ。元来の物のように大型ではなく、もっと小さく、且つ効率よくエネルギーを生み出す何かが!私は考える。人類の技術は確かに大幅に進歩した。それにも関わらず人類は未だに化石燃料などという有限の資源に頼りきっている。この先はそれに代わる新しい無限の資源が必要となるだろう」
熱の入った演説を聞きゴクリと息を呑むジムニー。
「……何か今の資源に代わる物があるのですか?」
ロンベルクはジムニーをジッと見つめ一言「ある」と告げた。
しかし今度はがっくりと肩を落とし大げさに頭をかぶり降るとまた言葉を続けた。
「……あるのだが、それが問題なのだよジムニー。……その昔人類は蒸気の圧力で歯車を回す方法を得た。それから数百年を経て人類は蒸気そのものをエネルギーへと変換する術を身に付け、確かに世界は劇的な進化を遂げた。陸を駆け、海を渡る事さえも容易となった。工業は爆発的な進化を遂げ、流通も大幅に飛躍した。……だがどうだ?蒸気機関の命とも言える燃料は最早枯渇寸前だ。各国では資源や技術の奪い合いで争いを繰り返し疲弊を続ける。豊かになった生活とは裏腹に人々の脳みそはただ乏しくなっていくばかりだ。実に嘆かわしい事この上ない。」
無駄に芝居の掛かった演説にいい加減の呆れ顔を浮かべるジムニー。
「……あの、それで新しい方法というのは?」
「ん?……ああ、そうだったな」
ジムニーの一言に我に返ると椅子に座り直した。
「あるのだよ。ジムニー、君はアルフベルグにある遺跡を知っているか?」
アルフベルグの遺跡の話しは聞いたことがあった。古代帝国の跡地と呼ばれる場所だが、正確にはいつの時代に何のために作られた遺跡なのかはわかっていなかった。
ジムニーは少し考える仕草を見せ、それから「知っています」と答えた。
ロンベルクはそれを聞いて頷くと言葉を続ける。
「そのアルフベルグ遺跡でとあるものが見つかった。リーフ鉱石と呼ばれる特殊な鉱石だ。」
「リーフ…鉱石?」
ジムニーはその言葉を繰り返すが全く聞き馴染みの無い名の鉱石だった。
ジムニーは今日という日を待ち望んでいた。それは彼の夢そのものだった。
幼い頃から夢見ていた事が現実になる。それがどれだけ崇高で尊い事かジムニーは理解している。
この夢を叶えたものはこの世界でも僅かしか存在しないだろう。
何故ならば。――この世界の空は閉ざされてしまっているのだから。
「それで、先生……アレは完成したんですか?」
逸る気持ちを抑え切れず、ジムニーが先に言葉を切り出すとロンベルクは少し視線を逸した。
ジムニーも何となくその視線を追ってみるが先には窓があるだけだった。
裏路地に面したこの部屋からでは街並みを見ることは出来ない。見えるのは暗く重たい雲が犇めく薄暗い空だけだった。
ジムニーが視線をロンベルクに戻すと彼は頭を掻きながら弱々しく呟いた。
「まあ完成はした……一応はな」
煮え切らぬ顔でそう言うと部屋の隅にあるクローゼットへと歩み寄る、クローゼットの中には全く同じ形、同じ色の白衣ばかりが十着ほど並び、そこから一着を選んで取り出すと身に纏う。
「……一応は?」
ジムニーは訝しげな表情でロンベルクの言葉を繰り返す。いつも自信満々な物言いのロンベルクがこういった煮え切らない反応をするのは珍しかった。ロンベルクは「…ああ」と一言返すとそのまま言葉を続けた。
「一応だ。……ひとつだけ問題がある」
「……問題はというと?」
ロンベルクの言葉にまたも訝しげな表情を浮かべ、ジムニーは訊いた。
「ジムニー。君はスチームギアやガジェットがどういうものかをどれくらい知っている?」
「……えーっと。蒸気を変換したエネルギーを動力とした……独立型の最新機械ですよね?」
質問にたどたどしく答えるジムニー。その答えにロンベルクは大げさに天を仰ぐような仕草をして「20点だ」と言いそのまま言葉を続けた。
「それだけではこれまで世に出てきた大型の蒸気機関と何ら変わらない。君は一体何を私から学んできたのだ。」
ジムニーは今の答えのどこが悪いのか判らず頬を膨らませる。そして不満そうな顔を浮かべたままロンベルクに質問を返した。
「むぅ、それでは今までの蒸気機関とどのように違うんですか?」
「ふむ、蒸気機関、スチームギア、ガジェット、これらは確かにすべて蒸気の力を利用したものだ。……ではその蒸気のエネルギーはどこから抽出するのだね?」
「はい、蒸気機関は昔から変わらず主に石炭や石油などの化石燃料を熱源として利用しています。そしてスチームギア、ガジェットに関しては大型のものであれば同じく小型の蒸気機関を搭載することによって独立で起動させることが出来ます。……ですが小型の物、例えば、最新の工業用機械や家庭用の器具など比較的小さなガジェットに関してはエネルギー源の確保が難しく、現状は大型の蒸気機関に繋ぎ直接エネルギーを供給しながらでなければ起動させることが出来ません。」
ジムニーの答えに満足がいった様子で「ふむ、よろしい」と頷き、窓際の椅子に腰を落とすとそのまま続けた。
「スチームギアにしろガジェットにしろ、蒸気の力を使わなければそれらを使用する事は出来ない。確かにそれは今まで概出した蒸気機関と何ら変わらない。……が、大型のスチームギアは例外にしても、そのほとんどが本体にエネルギーを生み出すための機関を搭載していない。これは外部から蒸気のエネルギーを供給して起動させているからだ。だからこそこれらのスチームギアやガジェットは小型化することに成功したのだ」
「つまりスチームギアやガジェットはそれその物に蒸気を発生させる機関が存在しないというのが通常の蒸気機関との違いですか?」
ジムニーはそう答えると首ひねりながらそのまま続けた。
「んー、でも結局外部にある蒸気機関を利用しなければ起動することも出来ないのなら、やっぱり今までの物と大きな差はないのじゃないですか?外部にあるのか内部にあるのかの違いしかないんですから」
「確かにそうとも言える。だが、エネルギーさえ供給できればどこであれ単独で起動させることが出来る、つまりだっ!エネルギーを何らかの別の方法で生み出し供給する事が出来れば、大型の蒸気機関にわざわざ繋ぐ必要なくどこでも起動させる事が出来るという事だ。……わかるかね?」
未だ納得の行かない様子のジムニーは頭の中で何度もロンベルクの言葉を反芻する。
暫く考えたが答えは出ず、仕方なくお手上げのポーズを見せる。
ロンベルクはその仕草を見て椅子から立ち上がり一人しかいない聴衆を前にまるで演説をするかのように語りだした。
ロンベルクがこうやって語り始めると回りくどい上に話しが長くなることをジムニーは承知していたが、今更この男を止めることは出来ない事も同時に理解していた。
「ジムニーよ。現状、蒸気のエネルギーは全ての機会において必要不可欠だ。それにはどうしても大型の蒸気機関を必要とする。いくら独立型の機械を謳ったところで実際は蒸気機関とワンセットの代物だ。」
ジムニーが「はい」と頷くとロンベルクの演説に熱が入り始める。
「だがこの先の人類の発展の為には蒸気機関に代わる何か新しい方法が必要なのだ。元来の物のように大型ではなく、もっと小さく、且つ効率よくエネルギーを生み出す何かが!私は考える。人類の技術は確かに大幅に進歩した。それにも関わらず人類は未だに化石燃料などという有限の資源に頼りきっている。この先はそれに代わる新しい無限の資源が必要となるだろう」
熱の入った演説を聞きゴクリと息を呑むジムニー。
「……何か今の資源に代わる物があるのですか?」
ロンベルクはジムニーをジッと見つめ一言「ある」と告げた。
しかし今度はがっくりと肩を落とし大げさに頭をかぶり降るとまた言葉を続けた。
「……あるのだが、それが問題なのだよジムニー。……その昔人類は蒸気の圧力で歯車を回す方法を得た。それから数百年を経て人類は蒸気そのものをエネルギーへと変換する術を身に付け、確かに世界は劇的な進化を遂げた。陸を駆け、海を渡る事さえも容易となった。工業は爆発的な進化を遂げ、流通も大幅に飛躍した。……だがどうだ?蒸気機関の命とも言える燃料は最早枯渇寸前だ。各国では資源や技術の奪い合いで争いを繰り返し疲弊を続ける。豊かになった生活とは裏腹に人々の脳みそはただ乏しくなっていくばかりだ。実に嘆かわしい事この上ない。」
無駄に芝居の掛かった演説にいい加減の呆れ顔を浮かべるジムニー。
「……あの、それで新しい方法というのは?」
「ん?……ああ、そうだったな」
ジムニーの一言に我に返ると椅子に座り直した。
「あるのだよ。ジムニー、君はアルフベルグにある遺跡を知っているか?」
アルフベルグの遺跡の話しは聞いたことがあった。古代帝国の跡地と呼ばれる場所だが、正確にはいつの時代に何のために作られた遺跡なのかはわかっていなかった。
ジムニーは少し考える仕草を見せ、それから「知っています」と答えた。
ロンベルクはそれを聞いて頷くと言葉を続ける。
「そのアルフベルグ遺跡でとあるものが見つかった。リーフ鉱石と呼ばれる特殊な鉱石だ。」
「リーフ…鉱石?」
ジムニーはその言葉を繰り返すが全く聞き馴染みの無い名の鉱石だった。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる