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激動2
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アレッタはじっと物置の中に身を潜めていた───
物置には、フィアが特別な魔術を施してあり、アレッタの魔力もエンの魔力も漏れないように蓋がされている状態だ。さらに言えば、閉じ込められてるにも近い。
しっかりと魔力の強力な布で覆われているのだろう。先ほどから多少の衝撃波を受けても揺れる程度で傷つくことはない。
アレッタはその開けられない扉の、細い糸のような隙間に目を貼りつけ、エンを抱えながら、じっと外の様子を見つめていた。
この戦闘が始まったのは、つい15分前のことだ。
───フィアの動きは早かった。
彼はすぐに殺気を探知すると、アレッタを片手に抱え、ベッドにさもアレッタが寝ているように見えるように枕アレッタを作り上げると、1階にある物置へと彼女を押し込めた。
「アレッタ、よく聞け。絶対にここから出るな。どんなことがあってもだ。じゃないと、俺がエイビスに殺される。
……仮に俺が殺されても、俺は精霊だ。時間はかかるが復活する。
だから、助けるな。約束だ」
口元で少し笑ったフィアは、アレッタの頭を撫で、エンの体もひと撫ですると、メガネを掛け直し、その場所に術を施したのだった─────
フィアの声が扉越しに聞こえてくる。
だがそれは決して良い響きの声ではない。
苦しさがにじむ、絞り出すような声だ。
姿が見えないため、どれほどの劣勢なのか掴みきれない。
だがもしかすると、機転を利かせてフィアが戦闘を押しているかもしれない……!
走りしか見ていないが、エイビスもフィアもそれなりにできる。
これはアレッタの長年の闘いの経験値で推し量ることができる確信だ。
だがそのフィアが押されているかもしれない────
アレッタはもしかする現実に、小さな手を、汗で滑る手を、貝殻のようにしっかりと組んで握り、神に祈った。
『どうか、私に力をお与えください。皆を守るための力を……どうか、お与えください……』
突如、床に大きな何かがぶつかった。
月明かりが大きく差し込んだことで、壁に穴が開いたのだと察する。
同時に激しい地鳴り、埃が舞い上がった。
だがすぐに何かの風圧で埃を取り除かれる。
そこには、見るも無残なフィアがいた───
もう服も破れ、体のあちこちに切り傷がある。
太ももからは溶岩の血が流れ、床に火を灯すが、すぐに石となって固まっていく。だが彼の血は止まらない。
見るからにその脚では立つことはできないだろう。
顔は苦しく歪み、ただ足を引きずるように迫る敵から少しでも体を避けようと、後ろへ移動していく。
にじり下がるフィアだが、残された力を振り絞り、腕を上げた。その手の中に炎の球を創りだしたとき、瞬間、それは消えた。
ごとりと落ちたのは、腕だ。
フィアの腕を切り落とした相手の脚が見える。
一歩、一歩と近く姿は、
フィアの腕を斬り落としたのは、
……ジョヴァンナ………!!!!
フィアと不意に目が合う。
彼は小さく首を振る。
その首筋には、黒い剣先が向いているのに、だ。
「俺を殺すのか?」
「アレッタを出せば殺しはしない」
「俺を殺せば精霊王が黙ってないぞ」
「ここはヒトの世界、何が起きても平等だ」
だめだ……
だめだ、フィア!
ここから出て戦いたい!!!
だが、魔力がない今では、ただの人であり、そして何よりも幼い……
足手まといだ……
しかしこのまま見殺しにするのか………?
アレッタは歯を食いしばり、唇を震わせ、ただ涙を頬に伝わせた。
無力である自分を憎み、そこまでして守ろうとする彼らの心を自分が踏みにじっているのだと思えてならない。
振り上げられた彼女の腕はもうしまわれることはない。
ゆっくりと上がり続けている。
まるでフィアの終わりへの時間を刻む秒針のようだ。
………私が、私を許せない……っ!!!!
涙で濡れるアレッタの目が、黄金色に燃えだした。
物置には、フィアが特別な魔術を施してあり、アレッタの魔力もエンの魔力も漏れないように蓋がされている状態だ。さらに言えば、閉じ込められてるにも近い。
しっかりと魔力の強力な布で覆われているのだろう。先ほどから多少の衝撃波を受けても揺れる程度で傷つくことはない。
アレッタはその開けられない扉の、細い糸のような隙間に目を貼りつけ、エンを抱えながら、じっと外の様子を見つめていた。
この戦闘が始まったのは、つい15分前のことだ。
───フィアの動きは早かった。
彼はすぐに殺気を探知すると、アレッタを片手に抱え、ベッドにさもアレッタが寝ているように見えるように枕アレッタを作り上げると、1階にある物置へと彼女を押し込めた。
「アレッタ、よく聞け。絶対にここから出るな。どんなことがあってもだ。じゃないと、俺がエイビスに殺される。
……仮に俺が殺されても、俺は精霊だ。時間はかかるが復活する。
だから、助けるな。約束だ」
口元で少し笑ったフィアは、アレッタの頭を撫で、エンの体もひと撫ですると、メガネを掛け直し、その場所に術を施したのだった─────
フィアの声が扉越しに聞こえてくる。
だがそれは決して良い響きの声ではない。
苦しさがにじむ、絞り出すような声だ。
姿が見えないため、どれほどの劣勢なのか掴みきれない。
だがもしかすると、機転を利かせてフィアが戦闘を押しているかもしれない……!
走りしか見ていないが、エイビスもフィアもそれなりにできる。
これはアレッタの長年の闘いの経験値で推し量ることができる確信だ。
だがそのフィアが押されているかもしれない────
アレッタはもしかする現実に、小さな手を、汗で滑る手を、貝殻のようにしっかりと組んで握り、神に祈った。
『どうか、私に力をお与えください。皆を守るための力を……どうか、お与えください……』
突如、床に大きな何かがぶつかった。
月明かりが大きく差し込んだことで、壁に穴が開いたのだと察する。
同時に激しい地鳴り、埃が舞い上がった。
だがすぐに何かの風圧で埃を取り除かれる。
そこには、見るも無残なフィアがいた───
もう服も破れ、体のあちこちに切り傷がある。
太ももからは溶岩の血が流れ、床に火を灯すが、すぐに石となって固まっていく。だが彼の血は止まらない。
見るからにその脚では立つことはできないだろう。
顔は苦しく歪み、ただ足を引きずるように迫る敵から少しでも体を避けようと、後ろへ移動していく。
にじり下がるフィアだが、残された力を振り絞り、腕を上げた。その手の中に炎の球を創りだしたとき、瞬間、それは消えた。
ごとりと落ちたのは、腕だ。
フィアの腕を切り落とした相手の脚が見える。
一歩、一歩と近く姿は、
フィアの腕を斬り落としたのは、
……ジョヴァンナ………!!!!
フィアと不意に目が合う。
彼は小さく首を振る。
その首筋には、黒い剣先が向いているのに、だ。
「俺を殺すのか?」
「アレッタを出せば殺しはしない」
「俺を殺せば精霊王が黙ってないぞ」
「ここはヒトの世界、何が起きても平等だ」
だめだ……
だめだ、フィア!
ここから出て戦いたい!!!
だが、魔力がない今では、ただの人であり、そして何よりも幼い……
足手まといだ……
しかしこのまま見殺しにするのか………?
アレッタは歯を食いしばり、唇を震わせ、ただ涙を頬に伝わせた。
無力である自分を憎み、そこまでして守ろうとする彼らの心を自分が踏みにじっているのだと思えてならない。
振り上げられた彼女の腕はもうしまわれることはない。
ゆっくりと上がり続けている。
まるでフィアの終わりへの時間を刻む秒針のようだ。
………私が、私を許せない……っ!!!!
涙で濡れるアレッタの目が、黄金色に燃えだした。
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