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第2章 饗宴編
対戦カード
しおりを挟む「うん、なんだかんだでやっぱり楽しいな」
「そうですね!とっても、楽しいです!」
(元の世界じゃ、友達を作らなかったから正直つまらかった。だからそういうイベント事は参加しないで来たけど、やっぱり誰かと話しながら参加すると、楽しいもんだな………本当に)
一人ボーッと考えながらユリアと会話していた洋斗だったが───
「おや…桐崎君とユリアさん」
「あらー」
そこに佐久間先生と坂華木先生が歩み寄ってきた。
「あらーあらあら、お二人揃って仲良さそうじゃない?」
「全く…うらやましいからと言って…茶化すのは良くありませんよ?」
「………そういえば、先生方もかなり仲が良いようですけど?」
「私とこいつは幼なじみよ。小中学校で同じクラスだったの」
「言うなれば悪友の類です。今では…少し後悔してますが………」
「何言ってるの!ワタクシ、校内で校長に次ぐナンバー2の能力使いと友達なのですよ?もっと誇って言いと思うの」
「「え?」」
「教室に引きこもっているニート教師の…一体…どこを誇れと言うのですか?」
「「えっ!?」」
「聞こえない聞こえなーい!お人形の私には理解できませーん」
「「ええっ!?」」
「………知らなかったのですか?」
驚きの声をリピートする生徒二名に、何食わぬ顔で説明を始める。
「こいつは坂華木本体が作った…偽物ですよ。ちなみに…今は何体同時操作ですか?」
「んー、校内の警備に奮発してるから………大体8、9体ってところね」
「「…………………」」
「校内警備って…たかがニート教師が何を偉そうに」
「あら、せめて『教室警備員』とでも呼んでほしいわーけんチャ
ズバン!
「………その呼び方はやめろと…何回も…何年も言ってるんですが?」
坂華木先生は右肩から左腰にかけて腰の刀で真っ二つにされた。
(躊躇なく切った………のか?全く見えなかった。しかも本当に水人形だったし………)
分断された下部分はそのまま床に落ちて水溜まりとなったが、上半分はポタポタと水をこぼしながらもしゃべり続けていた。
「もー、毎度毎度ぶった斬るのやめてほしいんだけどー、結構作るの面倒なんですけどー!」
「あなたにとっては造作もない事でしょうに………分かりました。折角だから…屋台のたこ焼きでも持って…本体を直接斬りに行きますよ」
「………え?マジ?ちょ!みんな集合!今すぐ私を守りにきてー!」
「………上等です」
佐久間先生が早歩きでさっさと歩いていき、それを追いかけるように坂華木先生と水溜まりが飛んでいった。洋斗達は、この嵐が過ぎるような光景を、呆然と見つめることしかできなかった。途中から反応するのも面倒になったほどだ。
「なんというか………いろいろとすごい人達だってことはよく分かった」
「はい、驚きの連続でした」
洋斗達が佐久間先生と水人形が去った方を向いて放心状態でいると、『後ろから』坂華木先生が大急ぎで走ってきた。
「「!!!」」
「そーいえば、あそこの掲示板に明日の代表者リストが張ってあるから、一応見ときなさい。じゃね!」
ピュー、と言う擬音語と共に坂華木先生は去っていった。
残ったのは、『今の坂華木先生は二体目の水人形だ』とやっと気づいて放心状態の2人のみ。
「………掲示板、見に行きましょうか」
「………だな」
掲示板前に行ってみると見物に来た生徒でごった返していた。頑張ってそれを押しのけながら掲示板を見ると、案外普通に紙が画鋲で留められているだけだった。
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一年
A
隈 清クマキヨシ
九重 遥香ココノエハルカ
マリアナ・ルベール
リチャード・ケリー
B
寿 海衣コトブキミイ
三川 黄ミツカワオウ
三川 紅ミツカワコウ
三川 蒼ミツカワソウ
C
空町 君助ソラマチキミスケ
チェルノワ・エゴール
菱野 健吾ヒシノケンゴ
松原 楓マツバラカエデ
D
芦屋 道行アシヤミチユキ
桐崎 洋斗キリサキヒロト
黄 鈴麗ファンリンリー
ユリア・セントヘレナ
──────────────────
「これが対戦表か………といっても、どれが誰かわからないから対して意味はないけど………。誰か知ってる人はいるか?」
「いえ、何人かは名前を聞いたことはありますけど、それだけです」
「てことは、これを見たところで特に変わりはないって事だな………。そろそろ教室戻るか?もうすぐ3時になるし」
「え………ホントですね、おやつの時間です」
「おやつって………」
(うぅ…………やっぱり楽しい時間ほど早く過ぎてしまいますね。結局大したこともできませんでしたし………)
教室へと戻る途中、彼女が静かに肩を落としていたことを洋斗は知る由もない。
こうして、ある程度回った洋斗、ユリアは1-Dに戻った。
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