悪役令嬢は呑んだくれ放浪の旅に出たい

はるみ

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3.ハイボール濃いめでっ

酒と涙は心の汗だ!

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キールはお母様に自分もお茶会に連れて行って欲しいと懇願した。しかし今回のお茶会は王宮の格式張るお茶会であり、招待状にキールの名前が無いことを理由に断られた。



その夜、図書室で私とキールの緊急会議が行われた。


「自分が死ぬかもしれないという危機感が無いんですかね。」

お茶の時間以降、ずっと不機嫌なキールが刺々しい口調で言った。

「申し訳ございません。」

こんなに不機嫌なキールは前世ダニエルの頃も含めて初めてだ。私はいつもニコニコしていて穏やかな姿しか知らなかった。

「キールさん、、、怖い。」

「当たり前でしょう、怒っているのだから。」

キールの恐ろしさと、明日のお茶会のことで気が動転していることもあり、私の目にしょっぱい汁が滲んだ。


私の様子にキールがギョッとし、慌ててハンカチで私の目を押さえ、いつものキールに戻ってくれた。


「お姉様すいません、ちょっと自分でも気持ちのコントロールが出来なくて。泣かないでください。」

キールの優しい言葉に、堪えてた目汁がポロポロと自然に溢れ出した。

「あぁ!!そんな怖かったですか!?本当にすいません!!」


オロオロとしてしばらく私の目汁を拭っていたキールだが、やがて私の目汁が出切るとそっと私を抱きしめて辛そうに言った。

「僕はまたあなたが居なくなるのがとても怖いのです。だからお願いです。僕を心配させないで。」

私そんなにキールに心配をかけてたんだ。

「心配をかけてごめんなさい。そして私こそ突然大量な目汁を垂れ流して驚かせてごめん。」


「っぷw  目汁って何?お姉様の中では涙は目汁って言うの? ふははは。 ちょっと、これから真面目な話し合いをしようとしているのに、笑わせないで。」

お腹を抱えて笑い出しキールを見て、私は明日のお茶会のことで動転していた気持ちが落ち着いていくのを感じた。

キールがいてくれて良かった。
一人だと悶々としていたに違いない。


「キール、あのね。ありがとう!大好きだよ!!」


ニカっと笑い感謝の言葉を伝えた私を見たキールは、突然お礼を言われた恥ずかしさか顔を真っ赤にした。


その後の会議で以下事項か決められた。


『第一王子には自分からは絶対に話しかけず、話しかけられても手短に応対し、カシスの印象を残さないこと。』


カシスが第一王子の婚約者になった理由、その一番の理由はお茶会でのカシスからの猛アピール。
あまりにカシスからアピールが激しくて、他の令嬢の印象が全く残らず、第一王子はカシスを選んだ。第一王子を取り巻く大人達も、カシスのバックにはベイリーズ公爵家がいるので家柄的にも相応ということで婚約者に決まったというのがゲームの設定らしい。


会議が終わり自分の部屋に戻ろうとした時、キールが1冊のノートを私に渡した。

「お姉様、このノートは僕がこの『おつ糸』の物語を整理するためにまとめたノートだよ。今後会うであろう攻略対象の詳しい情報や、ゲーム内で発生するイベントのことを記している。もちろんヒロインのこともね。よく読んで、今後の行動の参考にして。」

「!そんな素敵な物を!キール、有難う!!」

本当、キールには感謝してもしきれない。


ノート表紙には、ちょっと厨二病的なタイトル
【おつ糸黙示録】
と書かれていた。。。。

まぁ、それは置いておいて・・・


パラパラとノートを確認すると、第一王子、第二王子、ヒロイン、ふむふむ、なかなかわかりやすくまとめてある。
さすがキール。

さて、キールについては・・・


「あれ?このノート、キールについての記載が無い??」

「それはそうでしょう。だって僕のことだし、僕に関しては破滅フラグは立たないのだから必要無いでしょう。」

・・・確かに。キールが私を捨てることは、、、、
きっと・・・・きっと、無いはず。


私は部屋に戻り、キールに貰った自分の生死を握るノート【おつ糸黙示録】を、明日のお茶会に持って行く鞄に大切にしまった。




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