悪役令嬢は呑んだくれ放浪の旅に出たい

はるみ

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3.ハイボール濃いめでっ

ビーフジャーキーは「テング」一押しだし

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切れ長の目に漆黒の瞳、瞳と同じく漆黒の真っ直ぐの長い髪は後で一つに束ねられていた。
西洋風のこの世界にはちょっと違和感を感じるが、まるで日本人形のような美少年。

彼がヴァレンタイン王国第一王子。ギムレット。


令嬢達が我先にとギムレットに挨拶をしていき、それにギムレットは事務的に淡々と応対していく。
ちなみに顔は張り付いたお面のような笑顔だ。


ふむ。
ゲームの設定通りの『面倒くさがり無関心BOY』ね。


私は予定通りにギムレットの接触を防ぐ為、令嬢達に囲まれているギムレットに気づかれぬよう、そっと中庭の隅に行き木陰に隠れ息を潜めた。

このまま大人しくしてお茶会が終わるのを待とう。


しばらく木陰からじっとギムレットを観察し警戒していたが、途中で飽きてきて、足元にある蟻の巣に木の棒を突っ込んで遊ぶことにした。

どうぜ令嬢達のホールドが厚いのでこちらに気付くことはないだろう。。


蟻の巣にブスっっと棒を突っ込むと入り口にいた蟻達がピーとなり、
更に突っ込むと、ピーーとなって、
グリグリとすると、巣がピーーー・・・・と

うふふ・・・


やがてお腹も空いてきた。
今日はこのお茶会の支度のため、家で満足に食事をとる事が出来ていなかったのだ。

しかし、この会場のテーブルの上に並んでいる食べ物は、お茶会だけあって私の嫌いな甘ったるそうなお菓子ばかり並んでいる。

まぁこれは予想できていたので、こっそり持ってきた干し肉をポケットから取り出し、干し肉を食い千切りながら、再び蟻の巣に棒を突っ込む。


グリグリグリ・・・

こっちにも穴がある。

グリグリグリ・・・・・・



「・・・ねぇ、何やっているの?」


集中して蜂の巣をほじくる私の背面から誰かが声をかけてきた。

「見たらわかるでしょ。蟻で遊んでるんだよ。」


もはや無我の境地で蟻を攻めている私は、その声の元は気にならず、手を止めずその質問に反射的に答える。


「・・・それ楽しいの?」

「楽しい、楽しく無いではなく、無心でやってるんだよ。」

「それって意味があるの?」

「意味が有るわけ無いだろ。ただ今の私にはこの行為はとても病みつきになる行為なんだよ。ってか、人間、意味のある行動ばかり取るわけないだろっ!こういうのがイイんだよ。」


「・・・・・・・へぇ。それは興味深いね。ちなみにさきから何を食べているの?」

「干し肉。」

「僕にも分けて。」

その言葉を受け、干し肉をちぎって手渡そうとしたところで、やっと後ろにいた声の主の方を見た。


そこにはキラキラとした瞳でとても興味深そうに私を見る、第一王子ギムレットの姿があった。



・・・っあ、
蟻さん達がHOMEと仲間達の命の報復に、私の破滅フラグを立てようとしてくる~www


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