悪役令嬢は呑んだくれ放浪の旅に出たい

はるみ

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5.日本酒入ります

酒は海の漢のミネラルウォーター

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悪魔達に絡まれない心からのバカンスは1日、たった1日で終わった。


朝日がサンサンと差し込む食堂のテーブルを私、キール、メガネ君、そして王子′s が囲む。

王子‘s は淡々と食事をし、私とキールはお葬式モードだ。
メガネ君はこの場にいたたまれない感じでお茶を啜っている。
メガネ君ごめんね。せっかくの爽やかな休日の朝を台無しの気分にさせて。。

ピニャ様は・・・、
まだぐっすりお休みらしい。
幸せそうでなにより。


「・・・あの・・・、殿下達は、どのようにしてカシス嬢が我が領地に訪れているとお知りになったのでしょう?」

メガネ君がそっと右手をあげ、王子達に切り出した。

そこっ、そこが知りたいっ!
ありがとう、メガネ君!!

ギムレットが優雅にナプキンで口元を拭き答える。

「コラーダ公爵から分りました。しかし彼の名誉を守る為言いますが、彼はちゃんと口止めされていることは話しませんでしたよ。」


あーーー。
ピニャ様っ!


どうして私の居場所がバレてしまったかという詳細は以下の通りだった。

まず私カシスに会おうと、朝コアントロー家に訪問の先触れを出したところ、カシスの体調不良を理由に断られた。
その理由が感染の恐れのあるウィルス性胃腸炎とすこぶる怪しい。

王宮では王宮で教師陣がやたらと長期休暇中の授業を突っ込んできて、長い自由時間を与えないようにしてくる。
長期休暇だからといってこれまでなかったことで怪しい。

色々と怪しい状況が続き、学園でカシスと仲良くしているピニャ嬢の父、コラーダ公爵とたまたま王宮で会ったので
「ピニャ嬢は今回の休暇どのように過ごすのか。」を聞く。
すると学園の学友の領地に旅行に行ったとのこと。
学友の名前を聞くと、ピニャ嬢というよりはカシスと仲の良い者の名前が上がる。

「まぁそんな訳で、こっそり秘密にしていたようでしたけど、すぐバレちゃいましたね。」

ギムレットが一連の説明後、食後のお茶を啜った。

「俺はギムレット兄様が出かける準備をしているのを見つけて、カシスのところ行くって言うので付いてきた。ずるいぞカシス。こんないいところ俺に黙って行くなんて。」


・・・ぁあ、
誰も悪くない。
みんな約束を守ってくれていた。
ただ、この王子達が目敏いだけ。。。

ってか私の友好関係をよく把握しているな。
学園でのことは何一つこいつらに話していないのに。。。


・・・・・。
・・・もう、しょうがない。。。
しょうがないで済ませたくないけど・・・

しょうがないっ!!

悩んだところで、こいつらがいるのは変わらない!!


ここはリゾート!!
今はバカンス!!!
外は今日も「これから暑くなるぞー!」っていう青空だ!!


とういうことで、私達は頭を切り替えバカンスを楽しむことにした。


-ー-ー-ー-ー-


メガネ君の領地でバカンスを過ごすこと1週間経った。

ピニャ様は基本ショッピング三昧。
ブレずに本当に毎日ショッピング!
あと休憩がてらカフェ巡り。

私は早々、ピニャ様に付き合うのに飽きて、磯遊びをしたり、釣りをしたり。

メガネ君とキールは基本私に付き合ってくれている。

マティーニは気が向いた時に私に付き合い、ギムレットはもっぱらビーチサイドから私を眺めつつ読書をしている。

この世界では淑女は海に飛び込まないらしい。
このあいだ海で泳ごうとしたら(ほぼ泳いでいた)みんなに全力で止められた。
あのギムレットまで慌てて海に入ってきて、ちょっと笑えた。
本当は海の中に入ってシュノーケリングとかしたいのだけど・・・。

仕方ないので、今日は服を着たまま腰まで海に入り、投げ縄漁をしてみている。

えぃっ!

縄の中を見ると、ヒイラギとアジっぽい魚の稚魚が数匹。。。

こんなもんだよねー。
でも楽しい!


脇の岩場ではマティーニが釣りをしていた。

こいつはさきから何も釣れていない。

自分は数匹の稚魚しか採れていないことを棚上げにして、憐むような目でニヤニヤとマティーニを見た。

その時、
マティーニの竿が大きくうねった。
すごい引きだ。

マティーニが持ち前の馬鹿力で強く引き上げようとする。それをメガネ君の屋敷の従者が止める。

「釣りは駆け引きです。力ではダメです。」

マティーニの手が止まる。

従者が続ける。
「糸が緩めば巻きます。向こうの引きが強まれば糸をちょっと緩め誘います。」

「うむ!」

マティーニが真剣に従者の言葉に従い竿の糸を操る。

マティーニが従者と共に苦戦し数分。


「「「釣れたーーー!!!」」」

大きい5m超えのマグロっぽい魚が釣り上がった。

あまりの大物に、近辺で釣りをしてした人達も駆けつけて見に来た。
マティーニは人々に囲まれてまるで勇者のように称えられている。

ここまでの大物が吊り上げられたことは珍しいらしく、今日は屋敷を周辺の人達に開放してこの大物が釣れたお祭りをすることになった。
吊り上げた大物はBBQにするらしい。

わぁーw 楽しみーー!!


皆が屋敷で今晩の宴の準備をしている中、今晩の主役の魚を眺めて冷静に改めて思った。


5m超えとか・・・


こんな大きさの魚、磯釣りで! それも竿1本で釣れるわけねーだろっ!!


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