29 / 41
5.日本酒入ります
乾杯ですかねっ!?
しおりを挟む
メガネ君の屋敷の門内広場が開放され、街の多くの人々で賑わう。
広場の脇にはビッフェエリアが並ぶ。広間のセンターには今日の主役、マグロ?が火に炙られながら鎮座ましている。
生で食べたかったなぁー。
と思いながら、イカフライにかぶりつつマグロ?を眺める。
今日の主役を吊り上げたマティーニは街の人達に囲まれている。もとより常日頃人々に囲まれているマテニーらしい。
ギムレットはメガネ君と共に、地元有権者達の相手をしている。
ピニャ様は・・・・
ピニャ様は只今お篭り中である。
生牡蠣を食べ過ぎて、当たってしまわれていた。。。
・・・。
私はギムレットの婚約者ということになっているが、他人を決め込んでお一人様を楽しんでいる。
さて、イカフライを食べ終わった。
次はどうしようかな・・・?
・・・いっちゃう?
あれ、いっちゃう??
私の視線の先にはワイン樽の山がある。
今日はセルフで注ぎ放題である。
まだ、15歳。でもあと2ヶ月足らずで16歳。
外見的に未成年とバレることはまず無いはず・・・。
私は「いける!」と判断した。
私は周りに怪しまれぬよう堂々とワイン樽に近づいた。
私は成人女性よー。お酒飲んでもいいのよー。
あぁ、
待ちに待った飲酒がついに・・・
樽の栓に手をかけた、まさにその時っ
「まだダメですよー。」
キールに優しく制止され、樽にかけた手を払われた。
くっっそうっ!!!
「あと少しだったのに、もうっ!」
本当に心からの悔しさからの言葉が私からついて出た。
「常に見張ってますからね。」
「見張っているって。私ちゃんとしてるよっ!」
「そうですねー。ちゃんとしてくださいね。姉さんの保護者を卒業できる日を楽しみにしてます。」
まるでオイタをした子供を嗜めるようにキールが答える。
保護者って。
私は前世では先輩、今世では姉だぞ!
いつの間にこんな力関係に・・・。
「くそうっ、私がキールの面倒をみたいっ! キールに頼られたいっ!!」
つい悔しくて地団駄を踏んでしまった。
「姉さん、僕は姉さんが居るから『ちゃんと』しているんですよ。姉さんが居ないと『ちゃんと』してません。姉さん、ありがとうございます。」
優しく微笑みかけられ、愛しむように頭を撫でられた。
うぅ・・・、屈辱的なはずなのに何故か嫌ではない。
むしろもっと撫でてほしいとも思ってしまう。
不可解だっ!!
低く唸っている私の頭をキールが撫で続ける。
そんな感じでキールと談笑をしていると、街の有権者の御令嬢達らしき方々がやって来た。
「コアントロー侯爵家の御子息様方ですよね。お話しをさせていただけるお時間いただけないでしょうか?」
私にも話かけはしてくれている様だが、明らかにキール目当てである。まぁ、お茶会や、夜会で慣れてはいるが。
いつもの通り、私はさりげなくその場を引いた。もしかしたらキールの将来を共にしてくれる御令嬢かもしれないからね。
ある程度腹も膨れた為、屋敷の裏門から海際に出る。
明るい月明かりの下、海はとても穏やかで吸い込まれそうな程深紺をしており、その海面を撫でる夜風が高台のこの場所まで吹き抜けとても気持ちいい。
私はそんな夜風を全身に吸い込み、海を見つめ、今日のことを思い返す。
・・・何度考えても、
磯釣りで5m超えは無理だろ?
磯ちょい沖にどうして5m超えの巨大魚が居るんだよ。
どんなファンタジーだよ。
あつ森でも5mは無いぞ?!(やったことないけど
神秘的な美しさの海辺の夜景を見つめながら、真剣に「磯釣り5m」について考えていると・・・
「っお、居た! カシス、探したぞ!!」
振り向くと今日の主役、マティーニが居た。
「こんなところに来ちゃっていいの? みんなマティーニと話がしたいんじゃない?」
「俺は今カシスと話がしたくて、ここに来たんだ。周りの事などどうでもいい!」
マティーニがはあっけらかんと言い放ち、私の脇に腰を落とした。
こいつは常に色々な人達に囲まれているものの、何かとその場を抜け出し私の所にちょいちょいと来る。
いつからだろう・・・。
あの約束をした頃からだろうか・・・。
「今回、この土地に来て・・・、俺さ、色々と俺の中の世界が変わったんだ。王都の王宮では知り得なかった街の人達の生活とか、その体験とか・・・。全てが新鮮で、刺激的だった。みんな生き生きしてて、一生懸命で、自由なんだよ。」
マティーニは猛る思いを吐き出した。
「俺さ、世界がまだまだ広いって知った。地理的な話でなくて、何て言えばいいんだろう・・・。」
言い淀んで、どう表現すれば良いか悩んでいる。
わかる、その気持ち。
それが私が世界を放浪したい理由。
世界は無限大に広い!
旅は私の世界の『無限大のその向こう』があることを教えてくれる。
「・・・世界って広いでしょう? 無限大なんですよ?」
私の言葉にマティーニは暗い遠い海の向こうを見た。
「俺の夢、なんか掴めてきたような気が・・・する・・・。」
その後マティーニは無言で海の彼方を見つめ、私も一緒に海の向こうの国へ夢を馳せた。
どれだけ経っただろう・・。。
マティーニが呟いた。
「俺さ、とりあえず、サビキで5連全5mいきたい!」
・・・。
はぃ?
物理的に考えて!
糸切れるぞ!
どうやって引き上げるんだよ!?
とても賢い子のはずなのに、とても頭の悪い発言を本気な
顔をして言ってきた。
いや、「磯釣り5m超え」がありえたから、ありえるのか??
だんだん考えるのが馬鹿らしくなってきた。
「楽しみだねぇ。」
考えることを止めたら、マティーニの言葉に肯定的な言葉がついて出た。
「おうっ!」
マティーニが私の顔を見てニカッと笑う。
「でも俺の夢はそんなものでは終わらないぞ。まだ、お前に応援してもらうほど夢が見つかっていない。あの時の約束、忘れてはないよな?」
「えぇ、こちらこそ忘れられていては困ります。待ってますからね、マティーニ殿下の夢。」
「あぁ!!」
深い暗闇に月光が海面を照らし遠くの海面がきらめく中、目の前のマティーニの笑顔がやたら眩しかった。
広場の脇にはビッフェエリアが並ぶ。広間のセンターには今日の主役、マグロ?が火に炙られながら鎮座ましている。
生で食べたかったなぁー。
と思いながら、イカフライにかぶりつつマグロ?を眺める。
今日の主役を吊り上げたマティーニは街の人達に囲まれている。もとより常日頃人々に囲まれているマテニーらしい。
ギムレットはメガネ君と共に、地元有権者達の相手をしている。
ピニャ様は・・・・
ピニャ様は只今お篭り中である。
生牡蠣を食べ過ぎて、当たってしまわれていた。。。
・・・。
私はギムレットの婚約者ということになっているが、他人を決め込んでお一人様を楽しんでいる。
さて、イカフライを食べ終わった。
次はどうしようかな・・・?
・・・いっちゃう?
あれ、いっちゃう??
私の視線の先にはワイン樽の山がある。
今日はセルフで注ぎ放題である。
まだ、15歳。でもあと2ヶ月足らずで16歳。
外見的に未成年とバレることはまず無いはず・・・。
私は「いける!」と判断した。
私は周りに怪しまれぬよう堂々とワイン樽に近づいた。
私は成人女性よー。お酒飲んでもいいのよー。
あぁ、
待ちに待った飲酒がついに・・・
樽の栓に手をかけた、まさにその時っ
「まだダメですよー。」
キールに優しく制止され、樽にかけた手を払われた。
くっっそうっ!!!
「あと少しだったのに、もうっ!」
本当に心からの悔しさからの言葉が私からついて出た。
「常に見張ってますからね。」
「見張っているって。私ちゃんとしてるよっ!」
「そうですねー。ちゃんとしてくださいね。姉さんの保護者を卒業できる日を楽しみにしてます。」
まるでオイタをした子供を嗜めるようにキールが答える。
保護者って。
私は前世では先輩、今世では姉だぞ!
いつの間にこんな力関係に・・・。
「くそうっ、私がキールの面倒をみたいっ! キールに頼られたいっ!!」
つい悔しくて地団駄を踏んでしまった。
「姉さん、僕は姉さんが居るから『ちゃんと』しているんですよ。姉さんが居ないと『ちゃんと』してません。姉さん、ありがとうございます。」
優しく微笑みかけられ、愛しむように頭を撫でられた。
うぅ・・・、屈辱的なはずなのに何故か嫌ではない。
むしろもっと撫でてほしいとも思ってしまう。
不可解だっ!!
低く唸っている私の頭をキールが撫で続ける。
そんな感じでキールと談笑をしていると、街の有権者の御令嬢達らしき方々がやって来た。
「コアントロー侯爵家の御子息様方ですよね。お話しをさせていただけるお時間いただけないでしょうか?」
私にも話かけはしてくれている様だが、明らかにキール目当てである。まぁ、お茶会や、夜会で慣れてはいるが。
いつもの通り、私はさりげなくその場を引いた。もしかしたらキールの将来を共にしてくれる御令嬢かもしれないからね。
ある程度腹も膨れた為、屋敷の裏門から海際に出る。
明るい月明かりの下、海はとても穏やかで吸い込まれそうな程深紺をしており、その海面を撫でる夜風が高台のこの場所まで吹き抜けとても気持ちいい。
私はそんな夜風を全身に吸い込み、海を見つめ、今日のことを思い返す。
・・・何度考えても、
磯釣りで5m超えは無理だろ?
磯ちょい沖にどうして5m超えの巨大魚が居るんだよ。
どんなファンタジーだよ。
あつ森でも5mは無いぞ?!(やったことないけど
神秘的な美しさの海辺の夜景を見つめながら、真剣に「磯釣り5m」について考えていると・・・
「っお、居た! カシス、探したぞ!!」
振り向くと今日の主役、マティーニが居た。
「こんなところに来ちゃっていいの? みんなマティーニと話がしたいんじゃない?」
「俺は今カシスと話がしたくて、ここに来たんだ。周りの事などどうでもいい!」
マティーニがはあっけらかんと言い放ち、私の脇に腰を落とした。
こいつは常に色々な人達に囲まれているものの、何かとその場を抜け出し私の所にちょいちょいと来る。
いつからだろう・・・。
あの約束をした頃からだろうか・・・。
「今回、この土地に来て・・・、俺さ、色々と俺の中の世界が変わったんだ。王都の王宮では知り得なかった街の人達の生活とか、その体験とか・・・。全てが新鮮で、刺激的だった。みんな生き生きしてて、一生懸命で、自由なんだよ。」
マティーニは猛る思いを吐き出した。
「俺さ、世界がまだまだ広いって知った。地理的な話でなくて、何て言えばいいんだろう・・・。」
言い淀んで、どう表現すれば良いか悩んでいる。
わかる、その気持ち。
それが私が世界を放浪したい理由。
世界は無限大に広い!
旅は私の世界の『無限大のその向こう』があることを教えてくれる。
「・・・世界って広いでしょう? 無限大なんですよ?」
私の言葉にマティーニは暗い遠い海の向こうを見た。
「俺の夢、なんか掴めてきたような気が・・・する・・・。」
その後マティーニは無言で海の彼方を見つめ、私も一緒に海の向こうの国へ夢を馳せた。
どれだけ経っただろう・・。。
マティーニが呟いた。
「俺さ、とりあえず、サビキで5連全5mいきたい!」
・・・。
はぃ?
物理的に考えて!
糸切れるぞ!
どうやって引き上げるんだよ!?
とても賢い子のはずなのに、とても頭の悪い発言を本気な
顔をして言ってきた。
いや、「磯釣り5m超え」がありえたから、ありえるのか??
だんだん考えるのが馬鹿らしくなってきた。
「楽しみだねぇ。」
考えることを止めたら、マティーニの言葉に肯定的な言葉がついて出た。
「おうっ!」
マティーニが私の顔を見てニカッと笑う。
「でも俺の夢はそんなものでは終わらないぞ。まだ、お前に応援してもらうほど夢が見つかっていない。あの時の約束、忘れてはないよな?」
「えぇ、こちらこそ忘れられていては困ります。待ってますからね、マティーニ殿下の夢。」
「あぁ!!」
深い暗闇に月光が海面を照らし遠くの海面がきらめく中、目の前のマティーニの笑顔がやたら眩しかった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる