26 / 215
緋い記憶
26
しおりを挟む
こいつが俊介に見えた事も、俊介の声が聞こえた事も、全て。
瞬きもせず見据えたまま、こくりと唾を飲み込んで相手の反応を待つ。
「両方、ハズレ」
「は、あぁ?」
カクリと拍子抜けする彬を、感情の出ない瞳で隆哉が見返した。
「おかしいな。勘はいいって聞いたのに」
顎に手をあててぼんやりと呟く。「誰にだよ」と訊いた彬を完全に無視し、再び背を向けて歩き出した。
「家まで来てくれなくていいよ。目的地はもうすぐだから」
「えっ」
小走りに駆け寄った彬が、今なんか変な事言ったぞ、と隣に並んで隆哉の顔を覗き込む。
「目的地? どーいうこった?」
答えない相手に、「むー」と唸った彬は気を取り直して更に疑問をぶつけた。
「それに、勘がいいって聞いたっつったな。――一体誰が、お前にそんなベラベラと俺の事をしゃべるんだ?」
訝しげに訊いてくる彬に、チラリと視線だけを隆哉が向ける。
「なるほど。あながちウソではなさそうだ。行けば解るし、会えば判る。とだけ答えとくよ」
「ああ? 誰かに会わせたいのか? さっぱり解んねぇ」
瞬きもせず見据えたまま、こくりと唾を飲み込んで相手の反応を待つ。
「両方、ハズレ」
「は、あぁ?」
カクリと拍子抜けする彬を、感情の出ない瞳で隆哉が見返した。
「おかしいな。勘はいいって聞いたのに」
顎に手をあててぼんやりと呟く。「誰にだよ」と訊いた彬を完全に無視し、再び背を向けて歩き出した。
「家まで来てくれなくていいよ。目的地はもうすぐだから」
「えっ」
小走りに駆け寄った彬が、今なんか変な事言ったぞ、と隣に並んで隆哉の顔を覗き込む。
「目的地? どーいうこった?」
答えない相手に、「むー」と唸った彬は気を取り直して更に疑問をぶつけた。
「それに、勘がいいって聞いたっつったな。――一体誰が、お前にそんなベラベラと俺の事をしゃべるんだ?」
訝しげに訊いてくる彬に、チラリと視線だけを隆哉が向ける。
「なるほど。あながちウソではなさそうだ。行けば解るし、会えば判る。とだけ答えとくよ」
「ああ? 誰かに会わせたいのか? さっぱり解んねぇ」
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/20:『にんぎょう』の章を追加。2025/12/27の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/19:『ひるさがり』の章を追加。2025/12/26の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/18:『いるみねーしょん』の章を追加。2025/12/25の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/17:『まく』の章を追加。2025/12/24の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる