201 / 215
蒼い約束
32
しおりを挟む
俊介。どうしてだ?
あんなに苦しそうだったじゃねぇか、あん時。ちょっと俺に近付くだけでも、ほんのちょっと腕を動かすだけでも、あんなに……。
――お前も、大バカだよ。
横たわる影に駆け寄った彬は、その傍らに跪いた。
「俊介」
うつ伏せに倒れている俊介に、小さく声をかける。ピクリと動いた手を取って、仰向けに抱き起こした。
酷い、有様だった。この前視た時よりも、もっと……。
「バカ……野郎……! 二回も轢かれてんじゃねぇよ。俺なんかの、為に……」
薄っすらと目を開けた俊介が、微かに口許を緩めた。掠れた声で何かを言って、ゆっくりと血塗れの手を持ち上げる。
「何? 聴こえねぇよ」
パタパタと、彬の頬を伝った涙が俊介の顔に零れ落ちた。持ち上げた手で彬の腕を掴んだ俊介は、それに力を入れて起き上がろうとする。
「俊介」
体を引き起こした彬に、笑いを含んだ声が小さく囁く。
「遅ぇ…よ、バカ。どんだけ……待ってたと、思ってんだ」
彬の腕を掴む指に力が込められる。彬の肩にぐったりと頭を乗せた俊介の背中は、小刻みに震えていた。
あんなに苦しそうだったじゃねぇか、あん時。ちょっと俺に近付くだけでも、ほんのちょっと腕を動かすだけでも、あんなに……。
――お前も、大バカだよ。
横たわる影に駆け寄った彬は、その傍らに跪いた。
「俊介」
うつ伏せに倒れている俊介に、小さく声をかける。ピクリと動いた手を取って、仰向けに抱き起こした。
酷い、有様だった。この前視た時よりも、もっと……。
「バカ……野郎……! 二回も轢かれてんじゃねぇよ。俺なんかの、為に……」
薄っすらと目を開けた俊介が、微かに口許を緩めた。掠れた声で何かを言って、ゆっくりと血塗れの手を持ち上げる。
「何? 聴こえねぇよ」
パタパタと、彬の頬を伝った涙が俊介の顔に零れ落ちた。持ち上げた手で彬の腕を掴んだ俊介は、それに力を入れて起き上がろうとする。
「俊介」
体を引き起こした彬に、笑いを含んだ声が小さく囁く。
「遅ぇ…よ、バカ。どんだけ……待ってたと、思ってんだ」
彬の腕を掴む指に力が込められる。彬の肩にぐったりと頭を乗せた俊介の背中は、小刻みに震えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる