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蒼い約束

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 俊介。どうしてだ?

 あんなに苦しそうだったじゃねぇか、あん時。ちょっと俺に近付くだけでも、ほんのちょっと腕を動かすだけでも、あんなに……。

 ――お前も、大バカだよ。

 横たわる影に駆け寄った彬は、その傍らにひざまずいた。

「俊介」

 うつ伏せに倒れている俊介に、小さく声をかける。ピクリと動いた手を取って、仰向けに抱き起こした。

 酷い、有様だった。この前視た時よりも、もっと……。

「バカ……野郎……! 二回も轢かれてんじゃねぇよ。俺なんかの、為に……」

 薄っすらと目を開けた俊介が、微かに口許を緩めた。掠れた声で何かを言って、ゆっくりと血塗れの手を持ち上げる。

「何? 聴こえねぇよ」

 パタパタと、彬の頬を伝った涙が俊介の顔に零れ落ちた。持ち上げた手で彬の腕を掴んだ俊介は、それに力を入れて起き上がろうとする。

「俊介」

 体を引き起こした彬に、笑いを含んだ声が小さく囁く。

「遅ぇ…よ、バカ。どんだけ……待ってたと、思ってんだ」

 彬の腕を掴む指に力が込められる。彬の肩にぐったりと頭を乗せた俊介の背中は、小刻みに震えていた。
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