最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第三章 南の森

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裏門を抜けると、広大な草原が広がっていた。遠くには薄っすらと山脈が横たわっている。

馬車は、まるで「けもの道」のような踏み固められた街道を、森に向かって真っ直ぐに進む。

3キロメートル程はあっただろうか、20分程度で森の入り口に着いた。

「さすがの魔物もまだこの辺りまでは来ないけど、この森には昔から『魔獣』と呼ばれる凶暴な獣が住みついてるんだ」

メイは一旦馬車を停めると、荷台の二人に振り返った。

「魔獣…ですか」

緊張した面持ちで、神木公平がゴクリと息を飲む。

「永い縄張り争いの結果、この先の小さな泉の周辺まではあまり姿を見せなくなったけど、その先は何処で襲われるか分からない」

「そ、それで…今日は一体ドコまで?」

「それは勿論、さ」

神木公平のその質問に、メイはニヤリと愉しそうに微笑んだ。

   ~~~

その泉は直径5メートルほどの、円に近い形をしていた。ポッカリと開いた木々の切れ間から射し込む陽射しで、透き通るような水面が宝石のようにキラキラと輝いている。

メイはそこで馬車を停めると、荷台の二人に降りるように声をかけた。

先に降りた神木公平の手を借りながら、佐敷瞳子も馬車を降りる。そのとき視界の隅の端っこに、ポンとひとつのタグが跳ねた。

「メ、メイさん、あの…アオツメソウ…って、何ですか?」

「……は⁉︎」

その瞬間、メイが素っ頓狂な声をあげる。それから大きく両目を見開いて、喰い入るように詰め寄って来た。

「ど、何処にあるんだい?」

「あ、えと…こっち」

その勢いに気圧された佐敷瞳子が、少し歩いて地面を指差す。

そこには尖った葉先が青く染まった、足のくるぶし程の背丈の、緑の草が生えていた。

「確かに、アオツメソウだ」

メイは四つん這いで屈み込むと、根っこごと大事そうに摘み取る。

「コイツはとても珍しい草でね、根っこの部分が貴重な薬になるんだ。私には知識はないけど、売ればかなりの高値がつく」

アオツメソウを小さな巾着袋に仕舞いながら、メイは佐敷瞳子に目線を向けた。

「トーコ、シロツメソウは知ってるかい?」

「シロツメ…ソウ?」

佐敷瞳子が呟いた途端、視界一杯に無数のタグが出現する。葉先が白く染まった、アオツメソウとよく似た草が、足元一杯に広がっていた。

「周りに…一杯」

「そう、ここはシロツメソウの群生地だ。その草自体は何の変哲もない、ただの雑草さ」

泉の周囲を一度グルリと見回すと、メイは更に話を続ける。

「その中でほんの一握り、僅かな確率でアオツメソウという変異種が発生する。そしてそれを発見するには、例え鑑定持ちと言えども、運と根気が必要になるのさ」

「鑑定持ちでも…?」

メイのその発言に、神木公平が不思議そうな声をあげた。

「鑑定持ちのメリットなんざ、せいぜい見つけたお宝が『間違いなくお宝だよ』と太鼓判を押してくれるくらいさね」

そう言ってメイは「アハハ」と笑う。そのあと急に真剣な眼差しを佐敷瞳子に向けた。

「実を言うとね、トーコ。このアオツメソウがアンタたちに出すお題のつもりだったんだよ」
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