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第五章 薬師リーラ
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神木公平と佐敷瞳子は、メイに連れられて魔核で動く巡回バスに乗り込んだ。
運賃は市民証によるキャッシュレス精算となっており、どれだけ乗ろうが一定金額となっている。
ちなみに貰った市民証には、当面の生活費として20万リルグが支給されていた。そっちが勝手に呼んだんだから当然だろ…とは思うが、やっぱり有り難い話である。
やがて10分程走った先にある、王都アインベルの中心街に降り立った。
そこで神木公平は唖然となる。
人の多さは当然の事ながら、その人種の多様性…エルフやドワーフ、果ては犬耳猫耳までいる。
本来なら不謹慎極まりないが、国土を追われて逃げ延びて、唯一残った最後の希望…生き残った人々が必死に暮らすこの街は、神木公平の瞳には地上の楽園のように映った。
流石に街の中心とあって、噂の狩人組合や商人の商業組合、生産者の組合や農業組合もこの地区にあるらしい。
しかしメイはそんな華やかな大通りを横目に、途中で寂れた路地へと入っていく。
「あの、こっちで合ってるんですか?」
神木公平が少し不安そうな表情で、前を歩くメイに声をかけた。
すると振り返ったメイが、口の端で悪戯っぽい笑みを浮かべてこう言った。
「こういう隠れ家的な店の方がお好みなんだろ?」
~~~
人も疎らな裏通りに、その小さな店はあった。
四畳半ほどの狭い店内には、液体や粉末の入った小瓶に、乾燥した植物などが並んでいる。
「おや珍し、今日は何用アルか?」
神木公平が声のした方に振り向くと、赤いチャイナドレスを着たエルフの女性が座っていた。足を組んで座っているため、大胆に入ったスリットから白い太ももが覗いている。
紫色の髪は三つ編みに結われ、小さな丸眼鏡の奥から覗く青色の瞳は、興味深そうにコチラの様子を伺っていた。
「よお、リーラ。魔法道具を見せてくれ」
メイが右手を挙げながら、気さくな態度で近寄っていく。
「…ウチは薬屋ネ。あっちはあくまで趣味程度、それを勘違いしないでほしいアルよ」
「いいじゃねーかよ、細かいことは」
おそらくいつも通りであろうメイの態度に、リーラは大きな溜め息を吐いた。それから諦めたように立ち上がる。
「ついて来るネ」
そう言って店の奥に入ると、階段をトントンと下り始めた。メイも慣れた様子で後に続く。
「あ、あのっ!」
神木公平は慌てて階段を覗き込むと、焦ったように声をかけた。
「店番は大丈夫なんですか?」
「オモクロがいるから大丈夫ネ」
「…オモクロ?」
そのときレジカウンターの上で丸まって寝ていた黒猫が、顔を上げて「ニャー」と鳴いた。そのタイミングの良さに、神木公平と佐敷瞳子が思わず顔を見合わせる。
どうやらとても優秀な猫のようだ。
ふたり揃って笑い合うと、メイたちを追って階段を下り始めた。
運賃は市民証によるキャッシュレス精算となっており、どれだけ乗ろうが一定金額となっている。
ちなみに貰った市民証には、当面の生活費として20万リルグが支給されていた。そっちが勝手に呼んだんだから当然だろ…とは思うが、やっぱり有り難い話である。
やがて10分程走った先にある、王都アインベルの中心街に降り立った。
そこで神木公平は唖然となる。
人の多さは当然の事ながら、その人種の多様性…エルフやドワーフ、果ては犬耳猫耳までいる。
本来なら不謹慎極まりないが、国土を追われて逃げ延びて、唯一残った最後の希望…生き残った人々が必死に暮らすこの街は、神木公平の瞳には地上の楽園のように映った。
流石に街の中心とあって、噂の狩人組合や商人の商業組合、生産者の組合や農業組合もこの地区にあるらしい。
しかしメイはそんな華やかな大通りを横目に、途中で寂れた路地へと入っていく。
「あの、こっちで合ってるんですか?」
神木公平が少し不安そうな表情で、前を歩くメイに声をかけた。
すると振り返ったメイが、口の端で悪戯っぽい笑みを浮かべてこう言った。
「こういう隠れ家的な店の方がお好みなんだろ?」
~~~
人も疎らな裏通りに、その小さな店はあった。
四畳半ほどの狭い店内には、液体や粉末の入った小瓶に、乾燥した植物などが並んでいる。
「おや珍し、今日は何用アルか?」
神木公平が声のした方に振り向くと、赤いチャイナドレスを着たエルフの女性が座っていた。足を組んで座っているため、大胆に入ったスリットから白い太ももが覗いている。
紫色の髪は三つ編みに結われ、小さな丸眼鏡の奥から覗く青色の瞳は、興味深そうにコチラの様子を伺っていた。
「よお、リーラ。魔法道具を見せてくれ」
メイが右手を挙げながら、気さくな態度で近寄っていく。
「…ウチは薬屋ネ。あっちはあくまで趣味程度、それを勘違いしないでほしいアルよ」
「いいじゃねーかよ、細かいことは」
おそらくいつも通りであろうメイの態度に、リーラは大きな溜め息を吐いた。それから諦めたように立ち上がる。
「ついて来るネ」
そう言って店の奥に入ると、階段をトントンと下り始めた。メイも慣れた様子で後に続く。
「あ、あのっ!」
神木公平は慌てて階段を覗き込むと、焦ったように声をかけた。
「店番は大丈夫なんですか?」
「オモクロがいるから大丈夫ネ」
「…オモクロ?」
そのときレジカウンターの上で丸まって寝ていた黒猫が、顔を上げて「ニャー」と鳴いた。そのタイミングの良さに、神木公平と佐敷瞳子が思わず顔を見合わせる。
どうやらとても優秀な猫のようだ。
ふたり揃って笑い合うと、メイたちを追って階段を下り始めた。
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