最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第五章 薬師リーラ

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「ヨシノソウ」と云う草がある。

薄桃色の小さくて可愛い花が咲き、ずっと昔から多くの人々に愛されてきた。

以前は小川の堤防や水辺周りにたくさん咲いていたのだが、可憐な花を目的とした乱獲に遭い、多くの自生地が消滅してしまっている。

今や園芸用の人工栽培によってその可憐な姿を見る事が殆どで、野生のヨシノソウは絶滅危惧種となっていた。

しかし残念ながら、中には人工栽培に成功していない品種もある。

「クコヨシノ」と云う品種が、それに当たる。

多くの薬用成分を含み、薬の材料として長い間親しまれてきた。更には、その実は酒や料理に、葉はお茶にと活躍の場は広い。

リーラはクコヨシノの人工栽培の成功を、自身の目標のひとつとしていた。

   ~~~

明けて翌日…

神木公平と佐敷瞳子は裏門を抜け、リーラの操る馬車に揺られている。

メイは外壁まで見送りに来てくれたが、そのまま直ぐに帰ってしまった。

朝、集合場所に集まったとき、神木公平はリーラに怪訝な視線を向けられた。まるで、何しに来たのかと言わんばかりの表情である。

どうしたものかと反応に困っていると、横からメイが助け船を出してくれた。

「まーまー、男手として、荷物持ちにでも連れて行ってやってくれよ」

「…役に立つアルか?」

「コーヘーもステータスが低い割にはそこそこ戦えるんだが…リーラの前だと、どうだろうな」

ステータスが低いと言う発言に、リーラのこめかみからピシッと青筋が浮き上がる。

「本当に…役に立つアルか?」

「まーまー、コイツら夫婦だからさ、そこは勘弁してやってくれ」

「ちょ…メイさんっっ!」

またしてもな扱いに、神木公平が焦って反論の声を漏らす。しかしそれを遮るように、リーラの口から諦めたような溜め息が零れ出た。

「だったら仕方ないネ。足だけは引っ張らないで欲しいアル」

それでどうやら納得してくれたらしい。サッサと御者台に乗り込んでいく。

「あーもう! 勝手にしてくれっ」

神木公平はわしゃわしゃと頭を掻きむしると、自分も馬車の荷台へと乗り込んだ。それからいつものように、佐敷瞳子に右手を差し出す。

しかし耳まで真っ赤に上気した佐敷瞳子は、暫くその手を取ることが出来なかった。

   ~~~

馬車は王都の外周を、外壁に沿って進んでいく。

そのまま西側にある主要門までたどり着くと、そこから西に向かって延びる街道に合流した。

まずは馬車で3時間ほどの場所にある、小さな農村を目指すことになる。

そこから更に3時間ほど行った先に、「ワイバーンの寝床」と云う人の寄り付かない沼地がある。

そこに「クコヨシノ」があるかは定かではないが、リーラはその場所に僅かな可能性を抱いていた。
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