最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第五章 薬師リーラ

35 番外編 1

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ユミルはミサの指示に従って、騎士団本部内に何もない空き部屋をひとつ用意した。

入っていた荷物を運び出し、ある程度の清掃が終わった頃にタイミングよくミサが現れる。

「あ、使徒さま、どうでしょうか? とりあえず部屋の方を用意してみたのですが」

「充分すぎるくらいです。どうもありがとうございます」

ミサは軽くお辞儀をして、ニッコリ微笑んだ。

「それでは運び込んでいきますね」

「あ、お手伝い致します。何処に取りに行けば良いですか?」

ユミルが慌てたように声をあげた。場合によっては人員を出す準備も出来ている。

「必要ありません。直ぐに済みます」

そう言ってミサは、聖杖の青水晶を用意された陳列台の方に向けた。するとその向けた先に、数個の武具が音もなく出現する。

そのまま聖杖を横にスライドさせていくと、それに伴って台の上に次々と武具が姿を現した。

ちょうどその時、白石和真を先頭に到着した勇者組3人が、ミサの手際を目の当たりにする。

「おお、スッゲ」

「ミサさん凄~い。ホントの魔法使いみたーい」

白石和真と鳴神ひかりの感嘆の声を背に、ミサの作業はどんどんと進んでいく。

「確かに凄いな」

咲森勇人は両腕を組んで入り口の壁に背を預けながら、右手の中指で眼鏡をクイッと持ち上げた。

   ~~~

ユミルが合図をすると、3人の男性女性が部屋に入ってきて、彼女の後ろに並んで控えた。

「それでは、鑑定士の彼らが内容を確認していきますので、もう暫くお待ち下さい」

「いや、必要ない」

咲森勇人は壁から背中を離すと、無造作に部屋を縦断していく。

「ユート…さま?」

ユミルが困惑の視線をその背中に向けたとき、少年の身体から銀色の炎が揺らめき立った。

同時にまるで呼応するように、部屋の一番奥にある剣から同じく銀色の炎が立ちのぼり、咲森勇人のオーラと1本に繋がる。

「俺は、これでいい」

呼び合うように咲森勇人が白銀の剣を手にすると、急速にその現象が収束していく。

「あの剣は何っ⁉︎」

ユミルが驚いたように、後ろに控える鑑定士たちに声をかけた。

「鑑定…出来ません」

「何を、言って…」

鑑定士の返答に、思わず声を詰まらせる。

「使徒さま、あの剣は一体何処で…?」

「ああ、思い出しました」

ユミルからの問い掛けに、ミサはにこやかな笑顔で両手を叩いた。

「一番初めに魔境となった、エルフの霊峰で見つけた物です」

「あの霊峰で……あっ⁉︎」

そのときユミルが何かを思い出したように、口元に手を当て大きな声をあげた。

「太陽剣シャムシェール! ただの言い伝えだとばかり…まさか本当に実在するなんて」

震える声でユミルがポツリと呟く。

その瞳に映る咲森勇人の神々しい姿に、彼女は畏敬の念を抱き始めていた。
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