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第六章 ワイバーンの寝床
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リーラは腰の後ろにクロス状に差している2本の三日月刀を、逆手でスラリと抜き放った。そうしてそのままの勢いで、くるりと刀を半回転させて順手に握り直す。
そのあとシャンシャンと2本の刃を擦り合わせ、右手を前に、左手を斜め下に構え、両足を前後に開いて腰を落とした。
「いくアル」
掛け声とともに前に出してる右足で、軽く地面を踏み抜く。
その瞬間、複数の小さな影が、リーラに向けて地中から一斉に襲いかかった。
リーラはその全てを、まるで舞うようにクルクルと回転しながら華麗に斬り裂く。三日月刀の刃の軌跡に炎が走り、一瞬遅れて弾丸穴鼠が燃え上がる。
次々と襲いくる弾丸穴鼠を20体ほど斬り落とした頃だろうか、御者台にいたオモクロが不意に「ニャー」と鳴いた。
それが合図であったかのように、リーラは三日月刀をクルリと半回転させて、逆手でシャキンと鞘に収める。
「だ、大丈夫なんですか?」
リーラのその躊躇いの無さに、神木公平は思わず警戒の声をあげた。
「大丈夫…逃げた」
代わりに答えた佐敷瞳子が、馬車の右手方向を真っ直ぐに指し示す。
「もう…ずっと向こう」
「…そうか、なら良かった」
佐敷瞳子の言葉を聞いて、神木公平は安心したようにホッと胸を撫で下ろした。
~~~
その沼は体育館ほどの広さがあった。
一番深い所でも水深は5メートルもないが、透明度は低く、水底は全く見えない。
周囲には膝丈ほどの水生植物が生い茂り、沼の淵を曖昧な物にしてしまっていた。
「どうやら居ないアル」
かなり離れた場所に馬車を停めて、木陰から様子を伺っていたリーラがホッと安堵の息を吐く。
それから後ろに控えていた神木公平と佐敷瞳子に目線を向けると、緊張した表情で口を開いた。
「それじゃ行くアル」
「はい」
神木公平と佐敷瞳子も予め決めていた通り、ヘッドホンだけを耳に装着してリーラの後について行く。
沼地に近付くにつれて、佐敷瞳子の瞳に複数のタグが散見し始めた。そうしてタグに意識を注ごうとした瞬間、沼底に黄色いタグがピンと跳ねた。
咄嗟に沼地へ視線を向ける。
「何か…いますっ!」
佐敷瞳子の声と同時に、水草の浮かぶ水面から、ムチのような物がリーラに向けて飛び出した。
一瞬反応の遅れたリーラは直撃こそ避けるが、赤いチャイナドレスの裾を弾かれてしまう。
次の瞬間、まるで腐食でもしたかのように、チャイナドレスの裾がボロボロと崩れ落ちた。脛まであった裾丈は膝上にまで短くなり、スラリと伸びた白い足があらわになる。
「しまったアルっ!」
咄嗟に裾を押さえると、リーラは盛大な舌打ちを打ち鳴らした。
そんな彼女の姿に釘付けの神木公平の袖口を、佐敷瞳子が不機嫌そうな表情でグイッと強く引っ張る。それから緊張した面持ちで、リーラの方に目線を向けた。
「代官…蛙、です」
「知ってるアル。コイツの粘液は、繊維質を溶かすから注意するネ」
「そんなベタな、異世界あるある…」
そう言いながらも、神木公平はあられもない妄想を止めることが出来なかった。
そのあとシャンシャンと2本の刃を擦り合わせ、右手を前に、左手を斜め下に構え、両足を前後に開いて腰を落とした。
「いくアル」
掛け声とともに前に出してる右足で、軽く地面を踏み抜く。
その瞬間、複数の小さな影が、リーラに向けて地中から一斉に襲いかかった。
リーラはその全てを、まるで舞うようにクルクルと回転しながら華麗に斬り裂く。三日月刀の刃の軌跡に炎が走り、一瞬遅れて弾丸穴鼠が燃え上がる。
次々と襲いくる弾丸穴鼠を20体ほど斬り落とした頃だろうか、御者台にいたオモクロが不意に「ニャー」と鳴いた。
それが合図であったかのように、リーラは三日月刀をクルリと半回転させて、逆手でシャキンと鞘に収める。
「だ、大丈夫なんですか?」
リーラのその躊躇いの無さに、神木公平は思わず警戒の声をあげた。
「大丈夫…逃げた」
代わりに答えた佐敷瞳子が、馬車の右手方向を真っ直ぐに指し示す。
「もう…ずっと向こう」
「…そうか、なら良かった」
佐敷瞳子の言葉を聞いて、神木公平は安心したようにホッと胸を撫で下ろした。
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その沼は体育館ほどの広さがあった。
一番深い所でも水深は5メートルもないが、透明度は低く、水底は全く見えない。
周囲には膝丈ほどの水生植物が生い茂り、沼の淵を曖昧な物にしてしまっていた。
「どうやら居ないアル」
かなり離れた場所に馬車を停めて、木陰から様子を伺っていたリーラがホッと安堵の息を吐く。
それから後ろに控えていた神木公平と佐敷瞳子に目線を向けると、緊張した表情で口を開いた。
「それじゃ行くアル」
「はい」
神木公平と佐敷瞳子も予め決めていた通り、ヘッドホンだけを耳に装着してリーラの後について行く。
沼地に近付くにつれて、佐敷瞳子の瞳に複数のタグが散見し始めた。そうしてタグに意識を注ごうとした瞬間、沼底に黄色いタグがピンと跳ねた。
咄嗟に沼地へ視線を向ける。
「何か…いますっ!」
佐敷瞳子の声と同時に、水草の浮かぶ水面から、ムチのような物がリーラに向けて飛び出した。
一瞬反応の遅れたリーラは直撃こそ避けるが、赤いチャイナドレスの裾を弾かれてしまう。
次の瞬間、まるで腐食でもしたかのように、チャイナドレスの裾がボロボロと崩れ落ちた。脛まであった裾丈は膝上にまで短くなり、スラリと伸びた白い足があらわになる。
「しまったアルっ!」
咄嗟に裾を押さえると、リーラは盛大な舌打ちを打ち鳴らした。
そんな彼女の姿に釘付けの神木公平の袖口を、佐敷瞳子が不機嫌そうな表情でグイッと強く引っ張る。それから緊張した面持ちで、リーラの方に目線を向けた。
「代官…蛙、です」
「知ってるアル。コイツの粘液は、繊維質を溶かすから注意するネ」
「そんなベタな、異世界あるある…」
そう言いながらも、神木公平はあられもない妄想を止めることが出来なかった。
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