最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第七章 チェルシー危機一髪!

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「メイどの、居られるかー?」

神木公平と佐敷瞳子がメイの店で働き始めて一週間が過ぎたころ、図体のデカい男がのそりと現れた。

ボサボサの茶色の短髪に、少し垂れた目尻、口の周りには無精髭が生えている。そして厚い胸板にはパツパツの革製鎧レザーアーマーを着けていた。

「い、いらっしゃい…ませ」

ここのところ店番を任されていた佐敷瞳子が、その男のあまりの風体に怯えながらも、精一杯の勇気で声をかける。

「やや、見間違いか…っ! こんな所に愛らしい天使が降臨なされた」

すると突然、男は野太い声で興奮しながら、ドタドタとレジカウンター越しに詰め寄ってきた。佐敷瞳子は思わず椅子から立ち上がり後退るが、直ぐに壁に突き当たってしまう。

男はそのままレジカウンターに両手をつくと、佐敷瞳子の足先から頭の天辺まで、舐め回すように全身を見回した。

「おいザイード、その汚らわしい目でトーコを見るんじゃないよ」

そのとき店の奥からメイが姿を現す。その瞬間、今にも泣き出しそうだった佐敷瞳子が、ホッと安堵の息を吐いた。

「汚らわしい目とは心外な…っ、我はちっこい天使を等しく愛でる紳士ですぞっ!」

「だからそれが汚れてるって言ってんだ」

堂々と胸を張るザイードを見て、メイは呆れた声で溜め息を吐いた。

「で、今日は一体何の用だい?」

「おお、忘れていたっ」

ザイードは頭を掻きながら「ガハハ」と笑うと、店内をグルリと見回す。

「救国の英雄も現れたことであるし、いっちょ武器を新調して名を上げようかと」

「新調って…ウチは再生屋だよ。新品が欲しいなら他所へ行っておくれ」

「ご謙遜なさるな。この店の品は新品と見紛う逸品ばかり。下手な新品より信頼出来ますぞっ」

「あー、ホント面倒めんどいなー、コイツ」

メイはガシガシと頭を掻くと、心底嫌そうな表情で溜め息を吐いた。

「トーコ、何か適当に見繕ってやんな。サッサと用件を済ませてお帰り頂こう」

「え…私?」

「頼むよ」

メイに両手を合わされ拒めなくなる。佐敷瞳子は困り顔で店内を見回した。

(この人に、一番合う武器…)

そして佐敷瞳子は、ザイードの大きな身体を見上げながらボソッと呟く。すると視界の左手にある大きな剣にタグが絞り込まれた。

「あの…コレ」

レジ前から移動し自ら持ち上げようとしたが、ズシリとかなり重い。

「おお、コレですかな?」

そのとき佐敷瞳子の背後からニュッと肉太な腕が伸び、その剣を片手で持ち上げた。

「や…っ」

驚いた佐敷瞳子は、思わず身を縮こませて、ザイードから距離をとる。すると逃げた先にいたメイが、佐敷瞳子の背中を支えて受け止めた。

「流石のトーコでも、これはチョイと意地悪が過ぎたかね?」

「え…?」

メイのその言葉に、佐敷瞳子は意味も分からずキョトンとする。

「試すような事して悪かったね。ザイードは両手持ちの片刃大剣バスターソードを力任せに振り回すだけの脳筋さね」

そう言ってメイは、佐敷瞳子の背中を優しくポンと叩いた。
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