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第七章 チェルシー危機一髪!
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「ほらよザイード、アンタはこっちだろ?」
メイは身の丈以上もある片刃大剣を両手でヒョイと持ち上げると、ザイードの背中に向けて声をかけた。しかし当のザイードは、右手の幅広剣をマジマジと見つめながら沈黙している。
「おい、どーした?」
「あ、いや…」
再び背中越しに声をかけられ、ザイードはメイの方に振り返った。
「メイどの、せっかく愛しの天使どのが選んでくれた物であるし、少し表で試し振りをしても構わぬだろうか?」
「あ…ああ、構わないが」
ザイードの真剣な表情に気圧されるように、メイは大きく頷く。
それから人通りの少ない場所に移ると、ザイードが剣をヒュンヒュンと勢いよく振り回し始めた。そうして次第に、その表情が綻んでいく。
「おおっ、我、神託を得たりっ!」
そして最後に剣を天高く掲げながら、ザイードは声を張り上げた。
「これ程シックリくる武器は初めてですぞっ!」
溢れんばかりの笑顔を浮かべると、そばで様子を見ていたメイにググイと詰め寄る。
「メイどの、今日はこの剣を頂こう!」
「そ、そうかい? 毎度どーも」
「であればっ!」
続いてザイードはグインと身体ごと店の入り口に向き直り、そのまま勢いよく駆け出した。
「天使どのっ!」
「ひっ、ごめん…なさいっ」
突然店内に駆け込んで来たザイードに、佐敷瞳子は思い切り両肩を掴まれる。全然違う武器を選んで怒らせてしまったのかもしれないと、両目を閉じて身体を強張らせた。
「我に盾を、盾を見繕って下されっ!」
「え…た、盾…?」
ザイードのその言葉に緊張の糸が途切れたのか、佐敷瞳子はヘナヘナとその場に尻もちをついた。
~~~
「よくやったよ、トーコ。あの変態に、剣と盾の他に鎧まで買わせるとはね」
ザイードが帰ったあとに、メイはホクホク顔で佐敷瞳子の右腕をパンパンと叩いた。
「鎧は…メイさんが、勝手に…」
「いいんだよっ」
困り顔を見せる佐敷瞳子に、メイは更に満面の笑みを浮かべる。
「お客が満足してくれたんだから、それはトーコの功績さね」
そうなのだ。鎧に関しては、佐敷瞳子の言葉を騙ったメイによって、半分押し売ったような形なのだ。
しかしお世話になってるメイにここまで喜んで貰えると、何だかこれで良いような気もしてくる。気が付くと、佐敷瞳子も「フフッ」と優しく微笑んでいた。
そのとき丁度、おつかいに出ていた神木公平が戻ってきて、佐敷瞳子の笑顔を目撃する。
「ただいま、何か良い事でもあった?」
「トーコが高額商品を3点も販売したもんだから、褒めてたとこさね」
「へー、凄いじゃないか」
「そ、そう…かな」
神木公平にも真っ直ぐに褒められ、嬉しさのあまり頬が真っ赤に染め上がる。
「ったく、旦那が褒めると素直さね」
メイに呆れたように突っ込まれ、佐敷瞳子は恥ずかしくなって顔を伏せた。
メイは身の丈以上もある片刃大剣を両手でヒョイと持ち上げると、ザイードの背中に向けて声をかけた。しかし当のザイードは、右手の幅広剣をマジマジと見つめながら沈黙している。
「おい、どーした?」
「あ、いや…」
再び背中越しに声をかけられ、ザイードはメイの方に振り返った。
「メイどの、せっかく愛しの天使どのが選んでくれた物であるし、少し表で試し振りをしても構わぬだろうか?」
「あ…ああ、構わないが」
ザイードの真剣な表情に気圧されるように、メイは大きく頷く。
それから人通りの少ない場所に移ると、ザイードが剣をヒュンヒュンと勢いよく振り回し始めた。そうして次第に、その表情が綻んでいく。
「おおっ、我、神託を得たりっ!」
そして最後に剣を天高く掲げながら、ザイードは声を張り上げた。
「これ程シックリくる武器は初めてですぞっ!」
溢れんばかりの笑顔を浮かべると、そばで様子を見ていたメイにググイと詰め寄る。
「メイどの、今日はこの剣を頂こう!」
「そ、そうかい? 毎度どーも」
「であればっ!」
続いてザイードはグインと身体ごと店の入り口に向き直り、そのまま勢いよく駆け出した。
「天使どのっ!」
「ひっ、ごめん…なさいっ」
突然店内に駆け込んで来たザイードに、佐敷瞳子は思い切り両肩を掴まれる。全然違う武器を選んで怒らせてしまったのかもしれないと、両目を閉じて身体を強張らせた。
「我に盾を、盾を見繕って下されっ!」
「え…た、盾…?」
ザイードのその言葉に緊張の糸が途切れたのか、佐敷瞳子はヘナヘナとその場に尻もちをついた。
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「よくやったよ、トーコ。あの変態に、剣と盾の他に鎧まで買わせるとはね」
ザイードが帰ったあとに、メイはホクホク顔で佐敷瞳子の右腕をパンパンと叩いた。
「鎧は…メイさんが、勝手に…」
「いいんだよっ」
困り顔を見せる佐敷瞳子に、メイは更に満面の笑みを浮かべる。
「お客が満足してくれたんだから、それはトーコの功績さね」
そうなのだ。鎧に関しては、佐敷瞳子の言葉を騙ったメイによって、半分押し売ったような形なのだ。
しかしお世話になってるメイにここまで喜んで貰えると、何だかこれで良いような気もしてくる。気が付くと、佐敷瞳子も「フフッ」と優しく微笑んでいた。
そのとき丁度、おつかいに出ていた神木公平が戻ってきて、佐敷瞳子の笑顔を目撃する。
「ただいま、何か良い事でもあった?」
「トーコが高額商品を3点も販売したもんだから、褒めてたとこさね」
「へー、凄いじゃないか」
「そ、そう…かな」
神木公平にも真っ直ぐに褒められ、嬉しさのあまり頬が真っ赤に染め上がる。
「ったく、旦那が褒めると素直さね」
メイに呆れたように突っ込まれ、佐敷瞳子は恥ずかしくなって顔を伏せた。
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