最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第七章 チェルシー危機一髪!

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「街は救国の英雄の話題で一杯でしたよ」

おつかいで頼まれた物を整理しながら、神木公平が見てきた様子を話題にあげる。

今より2日前のこと、咲森勇人たち3人のお披露目が王宮の広場で催された。

出遅れた神木公平たちは何とか広場には入れたが、殆ど最後尾での参加となった。

3階ほどの高さのテラスに、王族とともに咲森勇人たちが姿を現す。すると広場の民衆の間から、割れんばかりの大歓声が起きた。

先の見えない不安から、自分たちを救い出してくれる英雄への、強い期待の表れである。

物理的にも実力的にもかけ離れている咲森勇人の姿を見上げながら、それでも必ず追いつくと神木公平は改めて決意を示す。

しかしそのとき神木公平は、確かに咲森勇人とお互いに瞳が合った。

距離が離れ過ぎて、目の位置さえも分からない。

それでも神木公平には、不思議な確信があった。

「もう帰りましょう」

神木公平は呟くように、一緒に来ていた佐敷瞳子とメイに声をかけた。すると佐敷瞳子が、神木公平の左袖をキュッと掴む。

「公平くん…いいの?」

「そうだよコーヘー、使徒さまにお願いすれば、ちゃんと挨拶出来る筈さね」

「大丈夫です、挨拶は済ませました」

そう言って微笑むと、神木公平は再びテラスへと顔を向けた。しかし視線が交錯するあの感覚は、もう感じることは出来なかった。

「早く来いと、発破をかけられましたよ」

「…アンタが良いなら良いんだけどね」

メイは納得したように大きく頷くと、回れ右して出口へと歩き始める。

「それにしても英雄さまは、エルフのご神刀に選ばれたと言うじゃないかい。一度で良いからそんな凄い剣を、この目で拝んでみたいもんだよ」

頭の後ろで両指を組みながら、メイは心底羨ましそうに呟いた。

   ~~~

佐敷瞳子が高額商品を売上げてから翌日、神木公平と佐敷瞳子は初めて二人で南の森に来ていた。

何度か来たことのある、研磨材の収集である。

馬車の乗り方は以前からの付き添いで、既にメイから手解きを受けている。

基本的にレンタル馬車の馬は素直な馬が多いので、神木公平にも何とか覚えることが出来た。

そうしていつもの泉に馬車を停めると、先に別の馬車が停まっていた。今日は先客がいるようだ。

それから二人はヘッドホンを装着すると、神木公平は感応金属オリハルコンの籠手も装備する。

イヤリングの羽飾りは、佐敷瞳子が魔獣の接近に気付いてから付けても、どうやら問題ないようだ。

しかし結局何事もなく、断層の崖までたどり着く。

泉からのルート上にある珍しい物は粗方取り尽くしてしまい、目新しい物は何も無かった。

神木公平と二人で研磨材を集めていると、佐敷瞳子の視界の右隅にピコンと小さなタグが立った。しきりに明滅を繰り返している。

初めての現象に不思議に思い、佐敷瞳子は立ち上がって右手側に振り向く。併せてタグの内容を確認すると、体力が半分以下に減っていた。

そしてその近くに、黄色いタグも新たに跳ねる。

「誰かが…襲われてる」

佐敷瞳子は震える声で呟いた。
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