最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第七章 チェルシー危機一髪!

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「何だ、貴様?」

突然割り込んできたデカ男に、ハルベルトは苛立ちを込めた視線をぶつけた。

ボサボサした茶色の短髪に、少し垂れた目尻、口の周りには無精髭が生えている。するとその姿を見たチェルシーが、ハッとして驚きの声をあげた。

「ザイードさ…」

しかしそのとき、ザイードは手のひらをチェルシーに向けて、「黙っておけ」とジェスチャーする。

「いくら悪を断ずる決闘と言えど、己れの私有地で行えば、それは私闘と変わりませぬぞ」

「む…」

ザイードの発言に、ハルベルトが渋々ながら理解を示した。無闇な私闘は法で禁じられている。それを破れば、貴族であっても処罰は免れない。

「それに何より誰も証人のおらぬ状況では、負けを認めない彼奴らに後々ゴネられ、面白くない状況になるやもしれぬ」

「確かにそうだ。卑怯者が負けを認めない可能性は大いにある」

ハルベルトが得心したように大きく頷いた。それを見て、ザイードがニヤリとほくそ笑む。

「であればコチラで場所を提供する故、この決闘、傭兵組合に預けては貰えぬだろうか?」

「ほう…では、あの訓練場が使えると?」

「上に掛け合い、何としても」

そのときザイードが、腰を直角に折り曲げ深々と頭を下げた。

「よし分かった、お前に任せる。ただし日時は明日の朝だ。これだけは決して譲らぬ」

「了解致した。それともう一つ、よろしいか?」

そう言い残して去ろうとするハルベルトを、ザイードが無理矢理引き留める。

「…何だ?」

「万に一つの可能性であの者たちが勝った場合は、日輪熊討伐の功績はアチラ側にあると、認めて貰いたい」

「何…だとっ!」

その瞬間、熱気のようなオーラが、ハルベルトの全身から噴き出した。しかしそんな事は気にも留めずに、ザイードがハルベルトの耳元に顔を寄せる。

「建前ですぞ、建前。あの者たちにも何かメリットがないと、指名手配もやむなしと逃走を謀るやもしれませぬ」

その提案に納得したように不敵に笑うと、ハルベルトは胸を張って声を張り上げた。

「良かろう。万一俺に勝つことが出来たら、我が家の威光を以って、その罪を帳消しにしてやろう」

   ~~~

「ホントに助かったですー、ザイードさーん」

「いやなに、愛しの天使たちが困ってるとあれば、見て見ぬ振りなど出来よう筈もない」

半泣きのチェルシーの頭を撫でながら、ザイードが「ガハハ」と豪快に笑う。

「しかし、ザイード…」

そのときメイが「やれやれ」と頭を掻きながら、面倒そうに呟いた。

「あのお坊っちゃんは、一応それなりの実力者だ。そこの嬢ちゃんは、それほど強いのかい?」

「えっ、私ですか⁉︎」

チェルシーが驚いたような表情を浮かべる。

「メイどの、何を言われるか。チェルシーなぞ新米も新米。あの御曹子の足元にも及ぶまい」

「…寝言は寝てから言うもんだよ?」

「まあまあメイどの、チェルシーが嘘など吐く筈がなかろう。日輪熊を倒したのが本当にそこの兄チャンなら、あの御曹子を倒す事など容易いて」
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