58 / 114
第八章 決闘!
58
しおりを挟む
「チェルシー! 貴女のためにも、半日ほど意識を刈り取って差し上げますわっ!」
1メートル程もある長柄の斧を両手で構え、ロートがチェルシーに向けて突進する。
袖だけ通した前開きの白い外套をまるでマントのように翻して、赤いビキニアーマーを臆面もなくさらけ出す。
「わわわっっ⁉︎」
不意を突かれたチェルシーは、矢をつがえる隙もなく、ロートの接近を許してしまった。
「華奢で未熟な貴女には、あの方の責め苦は辛いだけ…せめてものよしみですわっ!」
「ひっっ」
振り上げられた長柄の斧を見た瞬間、チェルシーは思わず恐怖で両目を閉じる。しかしいつまでたっても衝撃は訪れず、恐る恐る両目を開いた。
すると目の前に、亜麻色のブレザーを着た力強い背中が、チェルシーを守るように立っていた。
~~~
「何なのよ…貴方」
ロートは渾身の一撃を神木公平に受け止められ、恐怖に似た感情をあらわにする。斧の刃部分を受け止めた神木公平の左籠手は、傷が付いた気配さえ感じられない。
しかし当の神木公平も、この状況にかなり困惑した表情を見せた。
相手が魔獣であれば、残った右手で思い切り殴りつけてやれば良い。ところが目の前にいるのは半裸の美しい女性である。今は目のやり場にさえ困ってしまう状況であった。
「…コーヘーさん、何だか顔が赤いですー」
そのときチェルシーが、ムスッとした顔で非難の声を漏らす。
「し…仕方ないだろっ、こんな綺麗な人を間近で見るのは初めてなんだからっ!」
「男なんて、結局皆んな野獣ですー」
「……本当に何なの、貴方たち?」
ロートが呆れた表情で、二人のやり取りに両目を細める。それから斧を引き戻そうと力を込めるが、その斧がピクリとも動かない事に気が付いた。
「な…っ、離しなさいっ!」
「俺はアナタを殴れません。だからこの武器も返せません」
そう言って神木公平は、困った表情で笑みを浮かべた。
~~~
ハイスは我が目を疑った。
目の前の小娘が、陽炎のように消え去っていく。
次の瞬間、複数のバレーボール大の水の泡がハイスの周囲を取り囲んだ。
咄嗟に目の前に迫る数個を、高速の連続突きで破壊する。しかし背後からの攻撃に対処が間に合わず、多重の衝撃が全身を駆け巡った。
「かはっっ」
肺の中の空気を全て吐き出し、ハイスは数歩よろけて膝から崩れ落ちる。それから霞む目で前を見上げたとき、佐敷瞳子が銃を構えながら冷めた目でコチラを見下ろしていた。
「そこで…じっとしてて。アナタがいれば、あの魔法も…撃てないから」
「馬鹿ね、聞いて…なかったのかしら?」
ハイスは乱れた髪も直さずに、壮絶な笑顔を佐敷瞳子に向けた。
「さあ、あの方の衝動を…私たち全員で、受け止めましょう!」
1メートル程もある長柄の斧を両手で構え、ロートがチェルシーに向けて突進する。
袖だけ通した前開きの白い外套をまるでマントのように翻して、赤いビキニアーマーを臆面もなくさらけ出す。
「わわわっっ⁉︎」
不意を突かれたチェルシーは、矢をつがえる隙もなく、ロートの接近を許してしまった。
「華奢で未熟な貴女には、あの方の責め苦は辛いだけ…せめてものよしみですわっ!」
「ひっっ」
振り上げられた長柄の斧を見た瞬間、チェルシーは思わず恐怖で両目を閉じる。しかしいつまでたっても衝撃は訪れず、恐る恐る両目を開いた。
すると目の前に、亜麻色のブレザーを着た力強い背中が、チェルシーを守るように立っていた。
~~~
「何なのよ…貴方」
ロートは渾身の一撃を神木公平に受け止められ、恐怖に似た感情をあらわにする。斧の刃部分を受け止めた神木公平の左籠手は、傷が付いた気配さえ感じられない。
しかし当の神木公平も、この状況にかなり困惑した表情を見せた。
相手が魔獣であれば、残った右手で思い切り殴りつけてやれば良い。ところが目の前にいるのは半裸の美しい女性である。今は目のやり場にさえ困ってしまう状況であった。
「…コーヘーさん、何だか顔が赤いですー」
そのときチェルシーが、ムスッとした顔で非難の声を漏らす。
「し…仕方ないだろっ、こんな綺麗な人を間近で見るのは初めてなんだからっ!」
「男なんて、結局皆んな野獣ですー」
「……本当に何なの、貴方たち?」
ロートが呆れた表情で、二人のやり取りに両目を細める。それから斧を引き戻そうと力を込めるが、その斧がピクリとも動かない事に気が付いた。
「な…っ、離しなさいっ!」
「俺はアナタを殴れません。だからこの武器も返せません」
そう言って神木公平は、困った表情で笑みを浮かべた。
~~~
ハイスは我が目を疑った。
目の前の小娘が、陽炎のように消え去っていく。
次の瞬間、複数のバレーボール大の水の泡がハイスの周囲を取り囲んだ。
咄嗟に目の前に迫る数個を、高速の連続突きで破壊する。しかし背後からの攻撃に対処が間に合わず、多重の衝撃が全身を駆け巡った。
「かはっっ」
肺の中の空気を全て吐き出し、ハイスは数歩よろけて膝から崩れ落ちる。それから霞む目で前を見上げたとき、佐敷瞳子が銃を構えながら冷めた目でコチラを見下ろしていた。
「そこで…じっとしてて。アナタがいれば、あの魔法も…撃てないから」
「馬鹿ね、聞いて…なかったのかしら?」
ハイスは乱れた髪も直さずに、壮絶な笑顔を佐敷瞳子に向けた。
「さあ、あの方の衝動を…私たち全員で、受け止めましょう!」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる