最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第八章 決闘!

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「チェルシー! 貴女のためにも、半日ほど意識を刈り取って差し上げますわっ!」

1メートル程もある長柄の斧を両手で構え、ロートがチェルシーに向けて突進する。

袖だけ通した前開きの白い外套をまるでマントのように翻して、赤いビキニアーマーを臆面もなくさらけ出す。

「わわわっっ⁉︎」

不意を突かれたチェルシーは、矢をつがえる隙もなく、ロートの接近を許してしまった。

「華奢で未熟な貴女には、あの方の責め苦は辛いだけ…せめてものよしみですわっ!」

「ひっっ」

振り上げられた長柄の斧を見た瞬間、チェルシーは思わず恐怖で両目を閉じる。しかしいつまでたっても衝撃は訪れず、恐る恐る両目を開いた。

すると目の前に、亜麻色のブレザーを着た力強い背中が、チェルシーを守るように立っていた。

   ~~~

「何なのよ…貴方」

ロートは渾身の一撃を神木公平に受け止められ、恐怖に似た感情をあらわにする。斧の刃部分を受け止めた神木公平の左籠手は、傷が付いた気配さえ感じられない。

しかし当の神木公平も、この状況にかなり困惑した表情を見せた。

相手が魔獣であれば、残った右手で思い切り殴りつけてやれば良い。ところが目の前にいるのは半裸の美しい女性である。今は目のやり場にさえ困ってしまう状況であった。

「…コーヘーさん、何だか顔が赤いですー」

そのときチェルシーが、ムスッとした顔で非難の声を漏らす。

「し…仕方ないだろっ、こんな綺麗な人を間近で見るのは初めてなんだからっ!」

「男なんて、結局皆んな野獣ですー」

「……本当に何なの、貴方たち?」

ロートが呆れた表情で、二人のやり取りに両目を細める。それから斧を引き戻そうと力を込めるが、その斧がピクリとも動かない事に気が付いた。

「な…っ、離しなさいっ!」

「俺はアナタを殴れません。だからこの武器も返せません」

そう言って神木公平は、困った表情で笑みを浮かべた。

   ~~~

ハイスは我が目を疑った。

目の前の小娘が、陽炎のように消え去っていく。

次の瞬間、複数のバレーボール大の水の泡がハイスの周囲を取り囲んだ。

咄嗟に目の前に迫る数個を、高速の連続突きで破壊する。しかし背後からの攻撃に対処が間に合わず、多重の衝撃が全身を駆け巡った。

「かはっっ」

肺の中の空気を全て吐き出し、ハイスは数歩よろけて膝から崩れ落ちる。それから霞む目で前を見上げたとき、佐敷瞳子が銃を構えながら冷めた目でコチラを見下ろしていた。

「そこで…じっとしてて。アナタがいれば、あの魔法も…撃てないから」

「馬鹿ね、聞いて…なかったのかしら?」

ハイスは乱れた髪も直さずに、壮絶な笑顔を佐敷瞳子に向けた。

「さあ、あの方の衝動を…私たち全員で、受け止めましょう!」
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