最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第八章 決闘!

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「アイツ…貴女達がここにいるのに、あの魔法を止める気配がないんだけど?」

神木公平は斧を掴んだまま、後衛に陣取るハルベルトを不思議そうに眺めた。今やその火球は、3メートルに届く程まで膨らんでいる。

「当然ですわ。あの方の劣情を受け止めるのは私たちの役目。私たちが何処にいようと、あの方が魔法を中断する事など有り得ませんわよ」

すると特に慌てる様子もなく、ロートがキッパリと断言した。その瞳には、どこか恍惚とした色が浮かび上がっていた。

「まさかだってあれ程の規模、いくら防護魔法の効果があってもタダでは済まないですーっ」

同じように神木公平の背後から火球を見上げていたチェルシーが、真っ青な顔で声を張り上げる。

そのとき訓練場内に、傲慢で高らかなハルベルトの笑い声が響き渡った。

「よくやった、お前たち。勝利の暁には、最高級の回復薬を使って、この俺自ら身体の隅々まで労ってやるからな」

「ああー、ハルベルト様ー」

その声に呼応するように、ハイスとロートがそれぞれの場所で同じように身体をよじる。

「ホントに仲間ごと、お構いなしかよっ!」

その瞬間、ロートの鋼鉄製の斧が、大きな音をたてて粉微塵に砕け散った。

睨みつける神木公平の金色の双眸が、激しい怒りでその輝きを増す。

そして、ハルベルトが魔法杖を頭上から前方へと振り下ろすのと同時に、神木公平は風の刃エアブレードを振り抜いていた。

一瞬で巨大火球の真ん中に光の筋を残し、周りを保護する魔法結界をも一気に斬り裂く。

次の瞬間、ハルベルトの頭上で火球が大爆発を起こし、爆風が周囲に襲いかかった。

小さな屋台は吹き飛ばされ、観戦者の中から転倒する者が続出する。更に周辺にも衝撃波が伝わり、通行人や家屋にも被害が及んだ。

当然、訓練場内にも激しい爆風が吹き荒れる。しかし神木公平の背後にいたチェルシーだけは、比較的大きな影響を受けずに済んだ。

「チェルシーさん、今だっ!」

「は、はいですっ!」

そのとき、振り返った神木公平の金色の双眸に見つめられ、チェルシーは半ば反射的に、弾けるように駆け出していった。

   ~~~

「ぐぅ…一体、何が…?」

ハルベルトは頭上からの爆風に晒され、周囲の塀まで吹き飛ばされていた。全身に激しい痛みを感じながらも、なんとか上半身を起き上がらせる。

しかし次の瞬間、右肩に激しい衝撃を受け、ハルベルトは塀に強く押し付けられた。

未だ霞む意識の中、ハルベルトが呻き声とともに視線を上げる。するとその瞳の中に、右肩を押さえ付ける左足のニーハイブーツが飛び込んできた。続いて丈の短い青色ワンピースから伸びる、綺麗な太腿の内側が目に入る。

更に上へと顔を上げると、ギリリと弓を引き絞った体勢でコチラを睨みつける、翡翠色の瞳と視線がぶつかった。

「お前か…チェルシー」

「さあ、降参するのですっ! 私にこの弓を撃たせないで欲しいのですっ」
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