最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十章 護衛任務

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護衛任務に就く前日の夜、佐敷瞳子は暗いリビングの食卓にひとり座って、星の砂の入った首飾りのボトルを眺めていた。

卓上に立てたそのボトルは、周りが暗いと淡い光を放ち始める。星の砂と呼ばれる所以である。

今は神木公平がお風呂に入っており、佐敷瞳子は一人で時間を潰していた。部屋で待っていると、お風呂上がりの彼にドギマギしてしまうので、コチラに避難しているのだ。

「何だいトーコ、そんな珍しい物、どこで手に入れたんだい?」

そのとき突然、背後からメイに声をかけられた。

「星の砂なんて、久しぶりだねー」

「そうなん…ですか?」

安易に貰った物なので、そんなに貴重な物だとは思ってなかった。普通に考えたら光る砂なんて珍しいに決まってるのに、ちょっとファンタジーに毒されていたのかもしれない。

「ああ、シルキーラインの川底にある砂なんだけどさ、あの頃は観光地としても有名だったよ」

「シルキー…ライン?」

「ネルーネにあった綺麗な川さね。もう何十年も前に滅びた国でさ、今頃は魔物の観光地にでもなってるかもな」

「魔物…」

佐敷瞳子は口元に左手を添えると、考え込むように星の砂を見つめた。

「それより、風呂場が狭くて済まないねー」

「……え?」

突然変わった話題に付いて行けず、佐敷瞳子の目がクリっと丸くなる。

「もう少し広ければ、コーヘーと夫婦二人で入れただろうに」

「…へあっ⁉︎」

ニヤニヤとしたメイの瞳に見つめられ、佐敷瞳子はまるで茹で蛸のようにポンと真っ赤に上気する。

それからゆっくりと顔を伏せると、ひと言ボソッと呟いた。

「まだ……無理」

   ~~~

翌朝、傭兵組合の本部前でチェルシーと合流し、神木公平と佐敷瞳子は西側主要門前で待機していた。

すると、6人の騎兵を伴って2台の頑丈そうな馬車が到着する。

先程グレイスから聞かされた今回の任務内容は、王立騎士団の騎兵と共に、結界魔法士を護衛することである。

何でも、最後の神域である「水晶湖」に張られている地脈結界には、定期的なメンテナンスが必要になるらしい。

本来その結界魔法士の護衛は王立騎士団で請け負っているのだが、前線の魔物の活動が活発になり、王都の要員が不足してしまっていた。

そこで傭兵組合に、護衛の依頼が回ってきたと言う訳である。

「私は護衛小隊の隊長を任されたアイゼンだ。君たちが補充の傭兵か…」

面長の精悍さ溢れる四角顔に黒い短髪の男性。広い肩幅、厚い胸板の身体には鉄色の甲冑鎧プレートアーマーを着け、カーキ色のスラックスに黒のブーツ、背中には白いマントを翻していた。

「若いな…それに見ない顔だ。頼むから、足手纏いにはなってくれるなよ」

それだけ言い残して、仲間の元へと去って行く。

あー何と言うか、鉄板だなー……

その背中を眺めながら、神木公平は思わず苦笑いを浮かべた。
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