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第十章 護衛任務
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「もしかしたら、守備隊も気付いてないかもしれません」
レトが、守備隊の警戒体制が上空に向いていない事に危惧を抱く。
「だけど猿喰梟が、こんな人里まで下りてくるなんて信じられないですっ! 普通は森の奥で、ジッと獲物を待ち伏せしてる筈です」
「外壁に押し寄せた魔獣の群れを、たまたま追いかけて来ただけかもしれないですね」
そのとき思わず声を荒げるチェルシーに、レトが憶測を交えた推論を述べる。
「しかし、これはマズい事になりました」
それから夜空を見上げるレトの表情が、より一層厳しく変化する。
「猿喰梟から見たら、街の人間なんて鈍重な獲物以外の何物でも有りません」
猿喰梟とは、夜行性の鳥型魔獣である。
ピンク色の目蓋に乳白色の身体、両翼を広げた姿は2メートルにも達し、その名の通り中型の哺乳類や大型の鳥類を主食とする。
「じゃー何で、直ぐに襲って来ないんだ?」
レトの説明を聞いて、神木公平は浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「恐らく連れ去るのに適した、手頃な獲物を探しているのだと思います」
そう言ってレトは、佐敷瞳子とチェルシーの方に顔を向ける。
「トーコさんやチェルシーさんも、もしかしたら危ないかもしれません。ですが、これだけの住民の中で誰が狙われるかなど、流石に予想が付きません」
レトは再び夜空に顔を上げると、依然厳しい表情で唇を噛んだ。
「それでも何としても、被害者が出る前に討伐しなければなりません。ここが餌場と認識されてしまったら、この先どんな被害が出るか分かりません」
「だけど、どうやって…? 俺には全然全く何も見えない」
「残念ながら、私にも見えないですー」
同じく夜空を見上げる神木公平とチェルシーも、焦った声をあげた。間の悪い事に、月もその姿を隠している。
「ひとつだけ…方法があります」
するとそのとき、レトが全員の顔をゆっくりと見回した。
「猿喰梟が獲物を連れ去る瞬間を、狙い撃ちするのです」
猿喰梟は獲物を狩るとき、鋭い脚の爪を獲物の背中に突き立て、そのまま絞め殺して連れ去ると云われている。
そしてレトはその一瞬、獲物を絞め殺すための一瞬を利用するしか方法はないと、心底悔しそうに歯噛みした。
「でもでも、何処に来るかも分からない相手から皆んなを守るなんて…」
「チェルシー…お願い」
さすがに無茶振りが過ぎると抗議するチェルシーの手を、佐敷瞳子が両手でギュッと握り締める。
「私が…目になる。カッコいいとこ…見せて」
真っ直ぐに自分を見つめる佐敷瞳子の瞳に、チェルシーは思わず息を飲んだ。
それから両目を閉じて、背中に背負っている新しい青い大弓にそっと触れる。
カッコいいとこ見せる…そうだ、そのために貯金をはたいて新調したんだ。
チェルシーは勢いよく両目を見開いた。
「女は度胸ですーーっ!」
天を仰いで声を張り上げる。
「私に、任せるですーーっ!」
レトが、守備隊の警戒体制が上空に向いていない事に危惧を抱く。
「だけど猿喰梟が、こんな人里まで下りてくるなんて信じられないですっ! 普通は森の奥で、ジッと獲物を待ち伏せしてる筈です」
「外壁に押し寄せた魔獣の群れを、たまたま追いかけて来ただけかもしれないですね」
そのとき思わず声を荒げるチェルシーに、レトが憶測を交えた推論を述べる。
「しかし、これはマズい事になりました」
それから夜空を見上げるレトの表情が、より一層厳しく変化する。
「猿喰梟から見たら、街の人間なんて鈍重な獲物以外の何物でも有りません」
猿喰梟とは、夜行性の鳥型魔獣である。
ピンク色の目蓋に乳白色の身体、両翼を広げた姿は2メートルにも達し、その名の通り中型の哺乳類や大型の鳥類を主食とする。
「じゃー何で、直ぐに襲って来ないんだ?」
レトの説明を聞いて、神木公平は浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「恐らく連れ去るのに適した、手頃な獲物を探しているのだと思います」
そう言ってレトは、佐敷瞳子とチェルシーの方に顔を向ける。
「トーコさんやチェルシーさんも、もしかしたら危ないかもしれません。ですが、これだけの住民の中で誰が狙われるかなど、流石に予想が付きません」
レトは再び夜空に顔を上げると、依然厳しい表情で唇を噛んだ。
「それでも何としても、被害者が出る前に討伐しなければなりません。ここが餌場と認識されてしまったら、この先どんな被害が出るか分かりません」
「だけど、どうやって…? 俺には全然全く何も見えない」
「残念ながら、私にも見えないですー」
同じく夜空を見上げる神木公平とチェルシーも、焦った声をあげた。間の悪い事に、月もその姿を隠している。
「ひとつだけ…方法があります」
するとそのとき、レトが全員の顔をゆっくりと見回した。
「猿喰梟が獲物を連れ去る瞬間を、狙い撃ちするのです」
猿喰梟は獲物を狩るとき、鋭い脚の爪を獲物の背中に突き立て、そのまま絞め殺して連れ去ると云われている。
そしてレトはその一瞬、獲物を絞め殺すための一瞬を利用するしか方法はないと、心底悔しそうに歯噛みした。
「でもでも、何処に来るかも分からない相手から皆んなを守るなんて…」
「チェルシー…お願い」
さすがに無茶振りが過ぎると抗議するチェルシーの手を、佐敷瞳子が両手でギュッと握り締める。
「私が…目になる。カッコいいとこ…見せて」
真っ直ぐに自分を見つめる佐敷瞳子の瞳に、チェルシーは思わず息を飲んだ。
それから両目を閉じて、背中に背負っている新しい青い大弓にそっと触れる。
カッコいいとこ見せる…そうだ、そのために貯金をはたいて新調したんだ。
チェルシーは勢いよく両目を見開いた。
「女は度胸ですーーっ!」
天を仰いで声を張り上げる。
「私に、任せるですーーっ!」
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