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第十章 護衛任務
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「まだ、空を旋回…してる」
佐敷瞳子は同一円状をグルグルと周回する黄色いタグを確認しながら、その状況を逐一チェルシーに報告していく。
チェルシーも、佐敷瞳子の指差す辺りを、見えないながらもしっかりと見据える。
「…あっ⁉︎」
そのとき黄色いタグが下方向へと動きを変え、佐敷瞳子は短い叫び声を漏らした。
獲物を狙い定めたのか、猛スピードでの降下に佐敷瞳子の実況が間に合わない。
「あ、赤い屋根の家に…向かってる!」
何とかその場所を指し示して、必死にそれだけ絞り出した。
チェルシーは、瞬時に佐敷瞳子の指差す方向に視線を巡らせる。すると赤い三角屋根の、大きな家の存在に気が付いた。
(あった、赤い屋根ですっ!)
透かさず意識を一点に集中させる事で、ライフルのスコープを覗き込んだように、視界の一部がズームアップする。…と同時に、乳白色の巨大な梟の姿を視界に捉えた。
「見つけたですっ!」
チェルシーは流れるように大弓の弦を引き絞ると、一切の迷いなく、その矢を射ち放つ。
「すっげ…」
そのとき背後で見ていた神木公平には、青いワンピースの小さな背中から、ブワッと一陣の風が吹き抜けたように感じられた。
~~~
「お見事です」
レトはひとり別の建物の屋根の上から、その矢の行方を見つめて微笑んだ。
「まさか爪を立てる前に仕留めてしまうとは、正直想定以上です」
喉を射抜かれ壁に縫い付けられた猿喰梟の周囲に、一体何事かと人々が集まり出す。
両手を両親と繋いだ小さな女の子も、背後で起きた突然の出来事に、訳も分からず両目をまん丸に見開いていた。
「おっといけない。そろそろ彼らが下りて来てしまいます。早く司祭に、塔の使用許可を貰っておかなければ…」
レトは慌てたように振り返ると、何やらボソッと口にする。すると同時に靴が淡い光を放ち、まるで羽のように軽やかに屋根の上を駆けて行った。
~~~
「皆さん、どうでしたか?」
神木公平たちが鐘つき塔の階段を下りて礼拝堂への扉を開けると、いの一番にレトが声をかけた。
ここの神父であろう白髭の老人の元から、慌てた様子で駆け寄ってくる。
「チェルシーがちゃんと決めてくれた! スッゲー格好良くて、レトにも見せたかったよ」
興奮気味の神木公平に早口で褒め称えられ、チェルシーは顔を赤らめて照れたように頭を掻いた。
「流石ですね、チェルシーさん。では後は、怪我人の対処を司祭さまにお願いしておきます」
「えっと、大丈夫…必要ない」
再び駆け戻ろうとするレトの背中を、佐敷瞳子が呼び止める。
「…えっ⁉︎」
「襲われる前に、仕留めた…から」
「まさか…空中で射抜いたのですか⁉︎」
レトから驚きの表情で見つめられ、チェルシーは真っ赤な顔で「ナハハ」と笑った。
「自分でも驚きですー。トーコさんに選んで貰ったこの弓、スゴ過ぎですー」
佐敷瞳子は同一円状をグルグルと周回する黄色いタグを確認しながら、その状況を逐一チェルシーに報告していく。
チェルシーも、佐敷瞳子の指差す辺りを、見えないながらもしっかりと見据える。
「…あっ⁉︎」
そのとき黄色いタグが下方向へと動きを変え、佐敷瞳子は短い叫び声を漏らした。
獲物を狙い定めたのか、猛スピードでの降下に佐敷瞳子の実況が間に合わない。
「あ、赤い屋根の家に…向かってる!」
何とかその場所を指し示して、必死にそれだけ絞り出した。
チェルシーは、瞬時に佐敷瞳子の指差す方向に視線を巡らせる。すると赤い三角屋根の、大きな家の存在に気が付いた。
(あった、赤い屋根ですっ!)
透かさず意識を一点に集中させる事で、ライフルのスコープを覗き込んだように、視界の一部がズームアップする。…と同時に、乳白色の巨大な梟の姿を視界に捉えた。
「見つけたですっ!」
チェルシーは流れるように大弓の弦を引き絞ると、一切の迷いなく、その矢を射ち放つ。
「すっげ…」
そのとき背後で見ていた神木公平には、青いワンピースの小さな背中から、ブワッと一陣の風が吹き抜けたように感じられた。
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「お見事です」
レトはひとり別の建物の屋根の上から、その矢の行方を見つめて微笑んだ。
「まさか爪を立てる前に仕留めてしまうとは、正直想定以上です」
喉を射抜かれ壁に縫い付けられた猿喰梟の周囲に、一体何事かと人々が集まり出す。
両手を両親と繋いだ小さな女の子も、背後で起きた突然の出来事に、訳も分からず両目をまん丸に見開いていた。
「おっといけない。そろそろ彼らが下りて来てしまいます。早く司祭に、塔の使用許可を貰っておかなければ…」
レトは慌てたように振り返ると、何やらボソッと口にする。すると同時に靴が淡い光を放ち、まるで羽のように軽やかに屋根の上を駆けて行った。
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「皆さん、どうでしたか?」
神木公平たちが鐘つき塔の階段を下りて礼拝堂への扉を開けると、いの一番にレトが声をかけた。
ここの神父であろう白髭の老人の元から、慌てた様子で駆け寄ってくる。
「チェルシーがちゃんと決めてくれた! スッゲー格好良くて、レトにも見せたかったよ」
興奮気味の神木公平に早口で褒め称えられ、チェルシーは顔を赤らめて照れたように頭を掻いた。
「流石ですね、チェルシーさん。では後は、怪我人の対処を司祭さまにお願いしておきます」
「えっと、大丈夫…必要ない」
再び駆け戻ろうとするレトの背中を、佐敷瞳子が呼び止める。
「…えっ⁉︎」
「襲われる前に、仕留めた…から」
「まさか…空中で射抜いたのですか⁉︎」
レトから驚きの表情で見つめられ、チェルシーは真っ赤な顔で「ナハハ」と笑った。
「自分でも驚きですー。トーコさんに選んで貰ったこの弓、スゴ過ぎですー」
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