最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十章 護衛任務

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神木公平たちが水晶湖の施設に着いたのは、日付の変わる直前であった。

夜間の行軍と言う事もあり魔獣への警戒を強めていたが、結局何事もなく無事に到着した。

避暑地のリゾート施設らしく、白を基調とした西洋風の建物で、二階建てながらも「コ」の字状に造られ部屋数も多い。人数分の部屋の確保も、充分に出来そうだ。

施設の維持や清掃は、ハンタリオンで人を雇って定期的に行われている。今回は宿泊も予定されていたので、ベッドメイキングも済まされていた。

そうして神木公平たち傭兵組は、入り口に程近い一階の三部屋に並んで割り当てられた。

この日は大浴場にお湯は張っていなかったので、各自部屋のシャワー室を使用する事になる。

食堂の施設も一応あるが料理人が常駐している訳もなく、入手した材料で、翌朝に騎士団の面々が担当する手筈になっていた。野営する事も多い彼らにとって、料理の技能も必須だったりするのだろう。

勿論この件に関して遊ばせて貰える筈もなく、ある程度技能のある佐敷瞳子とチェルシーが、朝から駆り出される事になる。

一日中馬車に揺られ続けた長旅の疲れもあってか、神木公平はベッドに潜り込むと、直ぐさま深い眠りに引き込まれていった。

   ~~~

結界の要となる祠の洞窟は、ここから馬車で30分ほど行った先にある。

翌朝になり、水晶湖の周りを囲む森林を縫うように作られた並木道を、3騎の騎兵と1台の馬車が駆けていた。

この水晶湖は元々魔獣の少ない場所だが、アイゼン隊長を含む3人の騎士と神木公平たち3人が、念のため現地の様子を見るために先行している。

今回レトは先輩方と同じ馬車に乗る事になり、3人の騎士もその護衛として残っていた。

「わー、ホントに鏡みたいですー」

朝の澄んだ空気を浴びながら、チェルシーが馬車の窓から身を乗り出して声を張り上げる。窓際に座っている佐敷瞳子も、興味深そうに外の景色を眺めていた。

木々の間から見える水晶湖は、朝の光に照らされてキラキラと光り輝いている。

そうして波ひとつ無い湖面には、向こう岸に見える森の木々やその奥に連なる山々を、まるで鏡のように写し出していた。

「ホントにスゲーな、これ」

佐敷瞳子の左横に座る神木公平も、その圧倒的な風景に、食い入るように身を乗り出す。

「む…コーヘーさん、ちょっと近過ぎです」

それに気付いたチェルシーが、二人の身体を引き離すように腕を割り込ませた。しかし直ぐさま佐敷瞳子が、神木公平の右腕に、自分の両腕を絡みつかせる。

「公平くんも…景色が観たいんだから、チェルシー邪魔しないで」

「だったらコーヘーさんは、こっち側の窓際に座ったらいいですー」

窓の正面に立っていたチェルシーが、自分の背後の座席を指差した。

6人掛けの馬車には、3人掛けの座席が二つ用意されている。進行方向に向けて正面向きと背後向き。チェルシーが指差したのは、背後向きに設置された座席であった。

「そっちは後ろ向きだから、酔うかも…しれない」

「う…」

元々チェルシーも、神木公平の左横に正面向きで座っていた手前、そんな事ないとは言い出し難い。

「これで勝ったと思うなですー!」

チェルシーはそれだけ言い放つと、再び自席に戻って、神木公平の左腕に自分の腕を絡みつけた。
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