最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十章 護衛任務

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これは一体、どーいう状況なんだ…?

両手に花と言えば確かにそうだが、何だかそんなに嬉しい状況でもない気がする。

さっきまでのなごやかな状況から一変して訪れた今の状況に、神木公平は苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。

そうこうしている内に到着したのか、馬車が唐突に急停車する。それと同時に、外から騎士たちの騒ついた声が聞こえてきた。

「門が破られてるですー」

不審に思ったチェルシーが、馬車から降りて焦った声を出す。

祠の洞窟の入り口を塞いでいた頑丈な門が、何者かの手によって破壊されていた。

「多数の気配を感じます。恐らく野盗の類いではないかと思われます」

感知スキル持ちの女性騎士が、隊長のアイゼンに報告している。それを受けて、アイゼンが腰のロングソードをスラリと抜いた。

「こんな時に、くだらない事をしてくれた物だ。とにかく、気付かれる前に一掃する」

「……違う」

そのとき、チェルシーに続いて馬車を降りようとしていた神木公平は、佐敷瞳子の囁くような声に足を止める。

振り返ると、佐敷瞳子は未だ座席に座ったまま、前方斜め下をただジッと見下ろしていた。

「瞳子…?」

「人間でも、魔獣でもない…オレンジ色」

彼女のその呟きに、神木公平の背筋に訳も分からず悪寒が走る。

「隊長さん、違う! 下にいるのは、人間でも魔獣でも無い何かだ」

神木公平の声を聞きつけて、アイゼンがちょうど洞窟に入る手前で振り返った。

「貴様、言ってる意味が分かっているのか? では何がいると言うのだ?」

「何って…」

返答に詰まった神木公平は、馬車を降りてきた佐敷瞳子に顔を向ける。

「小鬼…大鬼」

小鬼ゴブリン大鬼オーガだと?」

佐敷瞳子の回答に、アイゼンの口から高らかな嘲笑が発せられた。

「傭兵としての危機管理は大した物だが、こんな所に魔物がいる訳など無かろう」

そう言って男性騎士と女性騎士の部下二人に、洞窟に先行するように指示を出す。

「弱腰の足手纏いなど不要だ。貴様らは万一に備えて、馬車の護衛でもしてるがいい」

   ~~~

「ダメ…やっぱり、勝てない」

暫く黙って俯いていた佐敷瞳子が、そのとき震える声で呟いた。

小鬼の表示は半数ほどに減らしたが、それでもまだまだ残ってる。しかも2体の大鬼と接触した途端、アイゼンたちのタグが激しく明滅し始めた。

そのうえ周囲を小鬼のタグに囲まれて、逃げ出す事も出来そうにない。

このままじゃ、本当に死んでしまう……

佐敷瞳子は息が詰まって、顔が真っ青になる。

「こ、公平…くん」

「俺なら、やれるんだな?」

佐敷瞳子の掠れたような声に、神木公平は真っ直ぐな瞳で応えた。

「……うん」

「ちょっ、ちょっと待つですーっ! 何を言ってるですか、トーコさん!」

ゆっくりと頷く佐敷瞳子に、チェルシーが思わず抗議の声をあげる。

「下がホントに魔物の巣窟なら、コーヘーさんひとりが行ったところで勝てる訳ないですー!」

「…心配してくれてありがとな、チェルシー」

そのとき神木公平が、顔一杯に笑みを浮かべながらチェルシーの頭を優しく撫でた。

「だけど、瞳子が俺に出来るって言う時は、いつも絶対出来るんだ。だから今回も大丈夫だ」
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