最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十一章 フィアホルン攻防戦

93 番外編 9

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「何が……起きたの…?」

地面に投げ出された鳴神ひかりは、頭を押さえながら何とか上半身を起き上がらせた。そばには白石和真や騎士団員が倒れている。

「カズっぺ⁉︎ 皆んなっ!」

鳴神ひかりの声に反応するように、騎士団員の面々が何とか起き上がり始める。しかし爆心地にいた白石和真はダメージが大きいのか、呻き声を漏らすだけで、うつ伏せのまま動かない。

「カズっぺ、しっかりして……あぅっ」

心配になった鳴神ひかりが白石和真のそばに寄ろうと身体を動かした時、その全身に激痛が走った。どうやら身体中に、打撲やら裂傷があるようだ。

「ひかり…ちゃん」

白石和真は、鳴神ひかりの小さな呻き声に細目を開けると、必死に右手を伸ばした。

「エリア…ヒール」

その瞬間、若緑色の魔法陣が輝きを放ち、6人の身体を優しい光が包み込む。直後に、白石和真は跳ねるように立ち上がった。

「アーイーツーらー…ひかりちゃんを、こんな目に合わせやがってーーっ!」

(起きたか、小僧)

同時に白石和真の頭の中に、少女の声が響き渡る。

「な…っ⁉︎」
「えっ…?」

白石和真が自分の頭を押さえて目を見開いた時、同じように鳴神ひかりも驚きの声を漏らした。見ると周りの騎士団員も、同じく騒ついている。

(まー何と言うか…申し訳ないが今のお主では、どう逆立ちしても奴らには勝てん)

「はあっ⁉︎ お前何言って…」

(じゃから、一撃…渡したダガーで何とか一撃入れてくれ)

「それなら自分で…っ」
(声を出すでないっ!)

反論を即座に遮られ、鳴神ひかりは撫然としつつも心の中で思い浮かべた。

(一撃だけなら、自分でやればいーじゃない。何でカズっぺに頼むの?)

(儂で同じ結果を求めるならば、半殺しにまで追い詰めねばならん。2対1のこの状況で、流石にそれは骨が折れる)

(それって…どーいう意味?)

(お主らは、…と言う事じゃ)

「答えになってねーよっ!」

白石和真は聖銀の大盾のそばに落ちていた黒いダガーを拾い上げると、左手で鞘を抜き放つ。

「何をする気か知りませんが…全く無駄ですわよ」

するとルサルサが、白石和真のその行動に、目を細めて嘲笑った。

「当てるだけなら、ウチだってーーっ!」

そのとき鳴神ひかりが、冥杖バルキエラを両手で構えてルサルサに向ける。直後に杖の先端に、1メートルに達する金色の魔法陣が浮かび上がった。

「サンダー…ビィーーム!」

次の瞬間、波動砲のような巨大な光線が、一瞬でルサルサの全身を包み込む。

そのままその後方にあった丘の一角を、地形が変わる程に吹き飛ばした。

モウモウと舞い上がる土煙りの中、10秒にも及んだ光線が静かに収束していく。

やがて風が少しずつ土煙りを運んでいくと、その中から人影が姿を現し始めた。

「ウ…ソ」

鳴神ひかりは、言葉に詰まって目を見開く。

「今、何かしたかしら?」

ルサルサは涼しい顔を見せながら、少し乱れた髪を右手でフワッと整えた。
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