最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十一章 フィアホルン攻防戦

95 番外編 11

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「ひかりちゃん、あのデカブツに向けて、魔法でオレを吹き飛ばして」

白石和真はキツく唇を引き結ぶと、真剣な眼差しで鳴神ひかりに顔を向けた。

「……え⁉︎」

しかし一瞬何を言われたのか理解が出来ず、鳴神ひかりは目を丸くする。

「アイツなら的も大きいし、何とかなると思う」

「ちょ、ちょっと待ってカズっぺ! 吹き飛ばすってウチ…」

漸く理解が追いついて、鳴神ひかりは慌てたように声を張り上げた。

「ウチ、攻撃魔法しか撃てないよっ⁉︎」

「分かってる……だから、コイツに向けて頼むよ」

そう言って白石和真は、聖銀ミスリルの大盾を背中に背負い込む。

「本気…?」

「あーでも、ちょっとは手加減してくれると助かるかなー」

少し頼りない笑顔を見せる白石和真に、鳴神ひかりはクスリと微笑んだ。

「分かったー。特大の一発を、思い切りブチかましてあげるー」

「え…ちょっとひかりちゃん、話聞いてる?」

「聞いてるー。カズっぺのカッコいいとこ、見せてくれるって話だよねー?」

「お…おう、その通り! それはもう、遠慮なくやってくれ!」

白石和真はヒクつきながらも、鳴神ひかりに向けて右手の親指をビシッと立てた。

   ~~~

「(ミニ)サンダービィーム!」

「ひかりちゃ…その魔法は…うぎぃーーっ!」

一瞬、白石和真の脳裏に、消し飛んだ丘の光景が浮かび上がる。しかし次の瞬間、凄まじい加速力に顔の筋肉が歪んだ。

(行けっ、小僧!)

同時に目の前の地面で火球が弾け、バフンと煙幕が噴き上がる。

そのまま射出するように煙幕を抜けると、エルアーレの跳び上がっての上段攻撃を、バグナーが両腕で防いでいるところだった。

恐らくは微塵も警戒されていない。

白石和真はガラ空きの脇腹へ、正面衝突するままにダガーを突き刺した。

見た目を裏切らないバグナーの体表の硬さに、白石和真の全身がミシミシと悲鳴をあげる。

「ぐ…ぎ、リカ…バー」

最初から止まる算段など無かった白石和真は、瞬時に己自身に回復魔法を唱えた。

「へへ、やったぜ。どーだ、デカブツ」

その後しっかりと脇腹に突き刺さっているダガーを確認して、白石和真が勝ち誇った表情を浮かべる。

「よくやった、小僧!」

するとエルアーレが、クルクルとバク宙を繰り返してバグナーから距離を取った。

「まさか…人間如きの武器が、私たちに傷を…?」

驚きの表情を見せるルサルサが、ゆっくりとエルアーレに目線を動かす。

「何か…しましたね、エルアーレ?」

「さあ、どーだかのう?」

エルアーレはニヤニヤと笑いながら、ルサルサの視線を受け流した。

「ゴロス…ゴロス…」

同時に、地の底から響くような声が、バグナーの口から溢れ出る。

「いけません、バグナー。落ち着きなさい!」

「ニンゲン、ゴロスーーッ!」

しかしルサルサの制止も聞かず、バグナーは身体を反らせて天に向かって吠えた。

その瞬間、傷口から黒い影が大量に噴き出し、ダガーと共に白石和真を吹き飛ばす。

「な…なんだあ⁉︎」

偶然エルアーレの近くに飛ばされた白石和真は、倒れたまま焦った顔で少女を見上げた。

「これで倒せるんじゃ、ないのかよ!」

「こんな事で倒せるものか。やっと本性を表したのじゃ」

「本性…?」

「ま、本気を出したという事じゃ」

「おま…話が違う…」

「やっと見つけましたよ」

そのとき突然、白石和真の横で声が響く。

そこには、肩の開いたメイド服を着た見た目は小学生くらいの少女が、先端に青い水晶が輝いている純白の杖を携えて立っていた。
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