最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十二章 指名依頼

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「成る程、人間でも魔獣でも、魔物でもない少女ですか」

佐敷瞳子の発言に、レティスは妙に納得したように頷いた。

「これは僕自身が、直にこの目で確認しなければならないようですね」

それから背後に振り返ると、頼りになる従者へと目線を向ける。

「カチュア、どうやら急を要します。どのくらいで出られますか?」

「傭兵組合から物資の援助が受けられるなら、今直ぐにでも」

カチュアは一度、キツネのモフモフ尻尾をふわりと揺らすと、両手をお腹にそっと添えて、姿勢正しく頭を下げた。

レティスはカチュアの返答に頷くと、今度はグレイスへと向き直る。

「本部長殿。片道分の旅の物資と馬車を、借り受ける事は出来ますか? 勿論、費用は後ほど、王宮の魔法士団へとご請求くださって結構です」

「ええ、勿論」

ある程度の予測はついていたのか、グレイスは両腕を組んで、大人の色香漂う笑みを見せた。

「替えの馬車も必要でしょう。ハンタリオンの支部へと連絡を入れて、馬車を一台、街道をコチラに向けて出発させておきます。勿論、費用は別途、頂きますが…」

「それで構いません。助かります」

若干の苦笑いを見せながら、レティスはグレイスの進言に承諾する。その後、入り口付近で控えているアイゼンへと顔を向けると、背筋を伸ばして表情をキツく改めた。

「貴重な情報を感謝します。しかし王宮の老獪たちでは、騎士団の派遣までに時間が掛かり過ぎてしまうでしょう。アイゼン隊長は急ぎ騎士団本部へと戻って頂き、私の名を以て団長殿に援軍を要請してください。私は先行して出発します」

「は! 直ちに!」

アイゼンは踵を鳴らしてビシッと敬礼すると、くるりと回れ右して部屋から出て行く。

それを見届けてから、レティスはフッと柔和な表情を取り戻した。それからソファーに座る、神木公平たちへと目線を向ける。

その視線の先には、ポカンと間抜けな表情を浮かべる、三人の友人たちの姿があった。

~~~

「皆さん面白い顔をされて、どうされましたか?」

レティスは再びソファーに戻ると、おどけた風を装って口を開いた。

「あ、いや、レトが……違った。レティス様が…」

「コーヘーさん」

何だか煮え切らない態度で笑う神木公平に、レティスが少し強い口調で言葉を遮る。

「良ければ今まで通り、レトと呼んで頂けると嬉しいのですが…」

「あー…良いのか?」

「出来れば」

「はあああ、助かったー」

その瞬間、緊張の糸が解けたように、神木公平の肩から力が抜けた。

「いやあ、いきなりあんなの見せられて、やっと実感したって言うか、ホントめっちゃ焦った」

「公平くん、キョドり過ぎ」

「でも私は複雑な気分ですー。レトがレティス様…この事実をどう受け止めたらいいのか、全然分からないですー」

目の前の友人たちをやや緊張気味に見つめていたレティスも、そんな彼らの変わりない態度に、気付かれないように安堵の溜め息をそっと吐く。

その様子に気付いたカチュアも、澄まし顔の端っこに、微笑みの表情を浮かべるのだった。
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