最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十二章 指名依頼

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「さて、事態が大きく変わってしまいましたので、皆さんへの依頼も少し内容が変わります」

「分かってる」

レティスの改まっての発言に、神木公平も姿勢を正してゆっくりと頷く。

「俺たちも、水晶湖について行けばいいんだな?」

「出来れば、ですが」

「まあどのみち、エルアーレとも会いたいしな。アイツは瞳子と、何となく仲が良かったから」

そんな神木公平の声を聞きながら、佐敷瞳子は胸元にある、星の砂の首飾りにそっと触れた。

(始まりの、予感がする…)

理由は、佐敷瞳子本人にも分からない。

だが彼女の中で、何故だか確信めいたものが確かにあった。

「よーし、またまた水晶湖ですねー。もっと活躍出来るよーに、もっともっと頑張るですー」

その時、チェルシーが勢いよく立ち上がり、フンスと両手を握り締めて気合いを入れる。

「あ、ちょっと待ってください」

しかしその瞬間、レティスが右手を伸ばして制止をかけた。

「申し訳ありませんが、今回はチェルシーさんを連れて行けません」

チェルシー、一瞬の沈黙…

「……え、ええええええ⁉︎」

やがて言葉の意味を理解した彼女の口から、張り裂けんばかりの声が溢れ出した。

~~~

「ちょちょちょ、何で私は駄目なんですか⁉︎」

「では、逆に聞きます。チェルシーさん、魔物との戦闘経験はありますか?」

「え…⁉︎」

レティスから向けられた突然の真剣な眼差しに、チェルシーは思わず息を飲んだ。

「そそそ、そんなの無いに決まってるです!」

「では…単独での、魔獣の討伐履歴は?」

「そ、それも……無い、です」

彼の言わんとしている事に気が付いて、チェルシーの声のトーンがしぼみ始める。

「今回の依頼は、何が起きるか分かりません。今のチェルシーさんの実力では…」

「わ、私だって成長してるです! 今までの実績が無いからって理由だけで…っ」

「それなら、本部長殿にも聞きましょう」

一向に納得しないチェルシーから視線を逸らし、レティスはグレイスへと目線を向ける。

「今の彼女がフィアホルンの最前線に出て、生き残る事は出来ますか?」

レティスの問いにグレイスは瞳を閉じると、右手を頬に添えて「ふぅ」と溜め息を吐いた。

「無理ね」

「お、お母さん…っ!」

「だったらチェルシー、としてアナタに聞くけど……自分にはその実力があると、本気で思ってるの?」

「……」

母親のその言葉に、チェルシーは口をつぐむ。

一人前の傭兵。その最初の一歩は、自分の実力を正確に把握する事。無謀な作戦への参加は、仲間の生命を危険に晒す可能性があるからだ。

「……足りない…です」

チェルシーは悔しそうに呟くと、ギュッと唇を噛み締めた。
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