108 / 114
第十二章 指名依頼
108
しおりを挟む
その姿は、七つの首を持つ巨大な蛇だった。
鎌首をもたげた高さは五メートルを優に超え、長い尾は湖の水中に消えている。
頭部の真ん中の一本は、ルサルサの上半身の姿をしており、その左右に三本ずつ、まるでキングコブラのような頚部の広い首が生えていた。
鋭く吊り上がった両眼が不気味な赤い光を放ち、それぞれの頭部が思い思いに、ひとりのゴスロリ少女をジッと見下ろす。
「なんじゃ、こんな小娘相手に、いきなり派手な演出じゃのう」
エルアーレは半ば呆れたように、遥かな巨体を見上げて苦笑いを浮かべた。
「同族のよしみで、苦しまないよう、一思いに殺して差し上げましょう」
二重に聞こえる重低音の効いた艶めかしい声を合図に、四本の蛇の頭が口を尖らせ、まるでレーザーのような水流を噴き出す。
同時に跳び上がったエルアーレの足下で、地面が砕けて湖の水が流れ込んだ。
次の瞬間、空中に居るエルアーレに向けて、二発の巨大な水弾が差し迫る。瞬時にエルアーレは同じく二発の豪炎弾を迎撃に飛ばし、更には日傘を開いて自分の前面を覆い隠した。
ジュッという急激に火の消える音が響き、相殺し切れなかった水弾が、無数の水滴となってエルアーレに襲い掛かる。
身を屈めて日傘の陰に隠れていた少女は、その威力に、後方の地面にまで押し戻された。更にはその場所に二発の巨大水弾が着弾し、地面が砕けて大量の水が流れ込んだ。
直後にバシャンと水飛沫が舞い上がり、水中からエルアーレが勢いよく飛び出す。それから結界の祠の水没を懸念して、逆方向へと距離を取った。
しかしそんな思考が読まれたのか、ドンピシャのタイミングで迸った水流のレーザーが、エルアーレを飲み込むように地面を抉り木々を薙ぎ倒す。
「危ないじゃろ!」
既のところで立ち止まったエルアーレは、後方に跳躍しながら、畳んだ日傘を七つ首の蛇に向けて振り抜いた。
瞬時に生み出された三発の業火球は、それぞれ曲線を描いて、ルサルサの上半身へと左右と上から襲い掛かる。
そのまま全弾が次々と着弾し、複数の爆発音とともに、激しい炎が燃え上がった。
しかしその炎も透明な球体の表面を踊るのみで、やがてその勢いを弱めていく。
「あー全く、ほんに厄介じゃのう」
いつの間にかシャボン玉のような水の膜に覆われていたルサルサを見上げて、エルアーレは金髪縦ロールの頭をボリボリと掻いた。
そんなエルアーレを見下ろして、ルサルサが怪訝な表情を見せる。
「いつまでその姿で、戦うつもりかしら?」
「儂は、あの姿が嫌いでの」
「何を巫山戯た事を…っ」
その瞬間、ルサルサの足元(?)の水中から、三本の巨大な岩石の釘が胴体目掛けて突き出した。
ところが同時に水面から吹き上がった水のカーテンによって、岩石の釘の先端が砕け散る。
「馬鹿な…何故、刺突岩が水の防御を貫けぬ⁉︎」
戦闘が小康のうちに接近していたのか、守備隊を率いた部隊長が、蒼ざめた顔で呟いた。
鎌首をもたげた高さは五メートルを優に超え、長い尾は湖の水中に消えている。
頭部の真ん中の一本は、ルサルサの上半身の姿をしており、その左右に三本ずつ、まるでキングコブラのような頚部の広い首が生えていた。
鋭く吊り上がった両眼が不気味な赤い光を放ち、それぞれの頭部が思い思いに、ひとりのゴスロリ少女をジッと見下ろす。
「なんじゃ、こんな小娘相手に、いきなり派手な演出じゃのう」
エルアーレは半ば呆れたように、遥かな巨体を見上げて苦笑いを浮かべた。
「同族のよしみで、苦しまないよう、一思いに殺して差し上げましょう」
二重に聞こえる重低音の効いた艶めかしい声を合図に、四本の蛇の頭が口を尖らせ、まるでレーザーのような水流を噴き出す。
同時に跳び上がったエルアーレの足下で、地面が砕けて湖の水が流れ込んだ。
次の瞬間、空中に居るエルアーレに向けて、二発の巨大な水弾が差し迫る。瞬時にエルアーレは同じく二発の豪炎弾を迎撃に飛ばし、更には日傘を開いて自分の前面を覆い隠した。
ジュッという急激に火の消える音が響き、相殺し切れなかった水弾が、無数の水滴となってエルアーレに襲い掛かる。
身を屈めて日傘の陰に隠れていた少女は、その威力に、後方の地面にまで押し戻された。更にはその場所に二発の巨大水弾が着弾し、地面が砕けて大量の水が流れ込んだ。
直後にバシャンと水飛沫が舞い上がり、水中からエルアーレが勢いよく飛び出す。それから結界の祠の水没を懸念して、逆方向へと距離を取った。
しかしそんな思考が読まれたのか、ドンピシャのタイミングで迸った水流のレーザーが、エルアーレを飲み込むように地面を抉り木々を薙ぎ倒す。
「危ないじゃろ!」
既のところで立ち止まったエルアーレは、後方に跳躍しながら、畳んだ日傘を七つ首の蛇に向けて振り抜いた。
瞬時に生み出された三発の業火球は、それぞれ曲線を描いて、ルサルサの上半身へと左右と上から襲い掛かる。
そのまま全弾が次々と着弾し、複数の爆発音とともに、激しい炎が燃え上がった。
しかしその炎も透明な球体の表面を踊るのみで、やがてその勢いを弱めていく。
「あー全く、ほんに厄介じゃのう」
いつの間にかシャボン玉のような水の膜に覆われていたルサルサを見上げて、エルアーレは金髪縦ロールの頭をボリボリと掻いた。
そんなエルアーレを見下ろして、ルサルサが怪訝な表情を見せる。
「いつまでその姿で、戦うつもりかしら?」
「儂は、あの姿が嫌いでの」
「何を巫山戯た事を…っ」
その瞬間、ルサルサの足元(?)の水中から、三本の巨大な岩石の釘が胴体目掛けて突き出した。
ところが同時に水面から吹き上がった水のカーテンによって、岩石の釘の先端が砕け散る。
「馬鹿な…何故、刺突岩が水の防御を貫けぬ⁉︎」
戦闘が小康のうちに接近していたのか、守備隊を率いた部隊長が、蒼ざめた顔で呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる