最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十二章 指名依頼

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「どうやら上手くいった様ですね、コーヘーさん」

漸く合流を果たしたレティスが、神木公平の無事を確認し、ホッと安心した表情を見せた。その後ろには、同じ様に微笑む佐敷瞳子の姿も見える。

「まあ、何とかな」

神木公平は、申し訳なさそうに頭を掻くと、木の幹に背中を預けて座る少女に顔を向けた。

そんな彼女に気付いた佐敷瞳子が、慌てた様子で駆け寄っていく。

「エルアーレ、身体は…大丈夫?」

「おう、お主も来てくれたのか、サシキトーコ」

自分を気遣う佐敷瞳子に、エルアーレは満面に笑顔を浮かべ、

「心配せずとも大丈夫じゃ。儂の身体は、ちーとばかり特別じゃからの」

両手でグイッと、サムズアップを決めてみせた。

確かに彼女のステータスは、もの凄い早さで回復している。どうやら自然治癒力そのものに、雲泥の差があるようだ。

「お初にお目にかかります。自分は、レティス=ギルフォードと申します」

その時レティスが、エルアーレに向けて礼儀正しく頭を下げた。

「何者じゃ、お主?」

「僭越ながら、王宮で、筆頭魔法士の位を受けております」

「筆頭魔法士とな…⁉︎」

エルアーレは驚いた声で両目を丸くすると、流れるようにその目を細める。

「それはまた、とんだ大物が釣れたようじゃ」

しかしその瞬間、

「え⁉︎」
「ぬっ⁉︎」

佐敷瞳子とエルアーレが、まるで揃えた様に、湖面へと顔を向けた。

同時にパァンと甲高い音が鳴り響き、佐敷瞳子の身体が弾かれたように吹き飛んでいく。

「あ、と、瞳子っ⁉︎」

一瞬走った胸部の痛みも気付かずに、神木公平が倒れる少女の身体を慌てて抱き止めた。

そんな彼女に気を掛ける余裕もなく、更に二発の水弾が、追撃とばかりに迫り来る。

「くそっ!」

エルアーレは咄嗟に悪態吐くと、両手で火球を撃ち出した。

「切り裂けっ! 嵐双牙!」

それと同じタイミングで、レティスは風で創り出した二匹の狼を、掛け声とともに撃ち放つ。

水弾の迎撃によって発生した二つの爆発を回り込んで、空中をはしる二匹の狼が、水面に立つひとつの影に襲い掛かった。

しかしその人影の足下から噴き上がった螺旋の水流が、二匹の狼を跡形もなく消し飛ばす。

「あの姿でなお、この強さですか」

レティスが見つめるその先には、黒いナイトドレス姿の女性が、湖面にひとり佇んでいた。

「じゃから、強者つわものを寄越せと申したのじゃ」

右腕の肘から下はもはや無く、空洞と化した左目から頬にかけて深い亀裂が走っている。

ルサルサの姿は、正に満身創痍。それでも尚、右目に宿る真紅の瞳には、激しい憎悪の炎が燃え盛っていた。

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